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関節軟骨の構造と機能

関節可動域制限について理解していくために前回までに靭帯・関節包・滑液について紹介いたしました。

関節可動域制限を改善していくためには関節構造体を理解していくことが必須です。

今回は、関節面の骨表面を覆っている関節軟骨について紹介していきます。

本日も学習していきましょう!!


生体内には、硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨の3種類があります。関節軟骨は硝子軟骨です。

関節軟骨は水分、コラーゲン線維、プロテオグリカン、軟骨細胞などで構成されます。

スポンジのような弾性をもち、関節面のクッションとしての役割があります。また、滑液とともに関節を潤滑にし、円滑な関節運動に寄与します。


関節軟骨の構造

関節を構成する骨表面は薄い関節軟骨に覆われています。

関節軟骨は表層(浅層)ー中間層ー深層(放射層)ー石灰化層の4層になっています。石灰化層は骨(軟骨下骨)と強固に連結しています。

関節軟骨の厚さは約1mmで、70%が水分、20%がコラーゲン線維、10%がコラーゲン線維の間を埋めるプロテオグリカンです。そのなかに、軟骨細胞が散在しています。コラーゲン線維とプロテオグリカンの共存により絶妙な弾性と硬度をもち、荷重伝達と荷重緩衝に作用します。

また、関節軟骨には血管や神経が分布せず、栄養は主に滑液より供給されます。関節運動が行われることによりポンプ作用が働き、スポンジが水を吸い上げるように滑液が軟骨基質内へ浸透し、同時に古い滑液が出ていきます。

関節軟骨は適度な関節運動により栄養状態が保持され、構造と機能を維持しています。

関節軟骨の機能

関節軟骨の役割は、

①骨の保護 
②荷重の伝達
③関節運動を円滑にする

歩行、走行、跳躍などの運動では関節に体重の何倍もの荷重が加わっています。関節に荷重が加わるときに関節軟骨は急速に変形し、荷重応力を一様にして骨に伝わる衝撃を緩衝します。

また、100kg以上の荷重が加わり圧縮変形した状態でも、関節軟骨同士は直接接触せず、潤滑状態を保持することができます。この潤滑機序に関しては、境界潤滑と流体潤滑が状況に応じて働いているとされています。

境界潤滑

境界潤滑とは、関節軟骨の表面にある凹部に巨大分子であるヒアルロン酸ー蛋白質複合体が濃縮されたゲル状の膜を形成し、関節軟骨同士の直接的な接触を防いでいます。

低負荷あるいは低速度の条件では主に境界潤滑が働くと考えられています。

流体潤滑

流体潤滑は関節運動によって生まれる滑液の流れや圧が流体膜を形成し、関節軟骨間の距離を維持するものです。

その摩擦係数は境界潤滑よりもはるかに小さく、高負荷あるいは高速度の条件で主に働くと考えられています。

また、関節軟骨の変形により関節軟骨同士が平行に近い状態になることや、滑液が軟骨に出入りすることが流体膜の生成に有利に働くとされています。

まとめ

・関節軟骨は厚さ約1mm
・70%が水分、20%がコラーゲン線維、10%がプロテオグリカン
・栄養は滑液により供給される
・関節運動のポンプ作用により栄養状態が維持される
・関節軟骨の役割は、骨の保護、荷重伝達、関節運動の円滑化
・潤滑機序は、境界潤滑と流体潤滑が有力

今回の記事で参考にした書籍はこちらです↓

関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方


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今回の記事は以上になります。

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