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なるべく上等な劣等感日記

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誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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2018年5月の記事一覧

恐怖は頭でつくられる

お化け屋敷に行った。物心ついてから、初めてのことだった。東京ドームシティにある五味弘文さんプロデュースの「怨霊座敷」。恋人が五味さんのお化け屋敷のファンで、これまでも作られるたびに足を運んでいたらしい。

恋人が行きたがっていたので、という理由に勝るモチベーションなんてそうそうない。ぼくは努めて「いいねぇ」と乗っかることにした。32歳にもなってお化け屋敷を妙に避けているのも、どこかで格好がつかない

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逃げて、逃げて、いつか振り向いて後ろを見て

ラブコメとアニメとスリラーとアクションが一緒くたになったような夢を見た。

ぼくの目の前で『ラブライブ!』のワンシーンが再生されていたかと思ったら、ふと気づくと声優さんが制服を着て主人公らしき男の子(ラブライブ!に男の主人公なんて出てこないけど)に次々に告白していた。

唐突に「好きです」と告げる人あり、雑談している中で一呼吸置いて「好きだよ!」と叫ぶ人あり、告白見本集みたいで何度もドキドキした。

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乾杯の挨拶に使えるひと言は、恋愛のマンネリにも効く

先日、乾杯の挨拶で「おめでとう、ありがとう」といった方がいてね。たしかに結婚報告があっての席だったのだけど、何に対しての「ありがとう」なのかわからないままに、みんなして「ありがとう……ありがとう⁈」って笑いながら乾杯した。

でも、よくよく思うと、結構いい挨拶なのかもしれない。その飲み会は高校の部活のOB会だったから、予定をあけて集まったみんなへの感謝とも取れるし、参加していた先生への長年のお礼で

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徳島で全裸にグッドフェローズを

東京出身のぼくは、徳島の東横インのベッドで腹ばいになって、今これを書いている。全裸で。

全裸なのは何かイイコトがあったわけではなくて、部屋がちょっと暑いのと、裸でシーツに触れるのが好きだからだ。一人用の部屋だから何をしてもいいだろうという開放感を表現する手段でもある。ホテルのさらさらしたシーツと裸をあわせるのは、人生のなかでも結構に上級な喜びのひとつだとおもう。恋人がいれば、なお最高だけれど。

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ポジティブな石川啄木

あの時、そうだね、と言えていたら。

言葉は「そうだね」でも「ちがうんじゃないかな」でもいいのだけれど、もし他のことを口にしていたら未来は変わったかもしれない。そんな戯れを想うのはろくでもないときである。

スカイツリーの真下で焼き鳥を食べた。友人にソファとテーブルを譲った帰り道、明るい時間から店の外まで座席を用意した店があいていた。いい天気だったので、外の席でサッポロビールの赤星を、友人と3本ほ

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