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一流の経営者に共通する「税制改正の捉え方」とは。

税理士として様々な経営者さんに関わるなかで、気付いたことがあります。それは「年商1億円を超える方には共通点がある」ということです。
シリーズ「大きく成長する財務戦略-年商1憶を超える経営者の共通点-」では、一流経営者の方々が身に着けている財務力を私なりに紹介していきます。今回のテーマは「税制改正への対応の速さ」です。


インボイス制度のドタバタ劇から思うこと

インボイス制度が2023年10月からスタートしました。ニュースでは反対の声が多く取り上げられています。しかし、思うのです。
「その反対表明はあまりに遅いのでは?」と。

実のところ、インボイス制度は平成28年に導入することが決まっていました。私もクライアント様に対して情報共有し、何年も前から準備をする経営者さんの姿を見てきました。今になって反対を叫ぶのは、自分の準備不足を責任転嫁しているように見えないでしょうか。少なくとも法改正の情報をしっかり認識して準備していれば、慌てることはなかったはずです。

税制は変わり続けるもの

確かにこれまで免税されていたのが、「免税を取るか、失注リスクを取るか」の二択を迫られる状況はマイナスに感じるかもしれません。しかし税制改正を止めようと反対運動に身を投じるよりも、「税制は社会の変化に合わせて変わっていくものだ。やれることをやろう」と前向きに考える方が生産的だと思うのです。

実際のところ、社会情勢に合わせて税制改正は繰り返されてきました。私の会社員時代、先輩税理士さんから「社会の変化を10だとすると、税制は6程度しかカバーしきれていない」と教わったのを覚えています。社会の変化が先で、税制がそれを後追いで改正されている、ということです。これは税金に限った話ではなく法律全般に言えることでしょう。

年商1億円規模の経営者の方々は、早い段階で対応しています。税制改正の素案が出てくる段階で、私のような税務パートナーと相談し、対策して実行しています。自分の管理下にあることに集中して行動しているのです。

税制の歴史

社会情勢と税制が連動してきたことを、事例で説明したいと思います。私の主観も入っていますが、税制の歴史を簡単に紹介します。

明治 -年貢からの脱却-

近代的な社会インフラの急速な整備が必要になった時代です。年貢制度の根幹だった米は、凶作・豊作の変動や市場価格の不安定性があり、政府の収入源としては不安定でした。この時期から近代的な税制整備が始まりました。日清制度の後に法人税や所得税が生まれ、来る日露戦争に向けた戦費に充てられました。

大正 -社会的弱者の救済-

第一次世界大戦の好景気で企業数が大幅に増えた時代です。成金という言葉が生まれるなど、貧富の格差も大きくなりました。高収益による法人税の増加、政府による所得免税点の引き上げなどで政府の財政には余裕が生まれ、社会的弱者の救済に税制の力点が置かれました。扶養控除が生まれたのはこの時期です。

昭和 -現代税制の基礎が生まれる-

第二次世界大戦後、財閥解体を主な目的として財産税という制度が限定的に施行されました。財産が大きい場合は90%もの税率が課されました。そしてGHQにより現在の税制の基礎が作られました。源泉徴収制度、青色申告制度、消費税が生まれたのもこの時期です。戦争で疲弊した経済の立て直しのために、所得税や法人税の引き下げも行われました。

平成 -大規模組織再編への対応-

世の中は不景気に突入しました。生き残りのために企業合併やM&Aが繰り返された時代です。大資本による企業買収に金融手段が取られることも多くなり、「企業は誰のものなのか?」といった観点から「ステークホルダー」という用語が生まれたのもこの時期です。ドラマ「ハゲタカ」や「半沢直樹」はこの頃のドラマですね。税制としては、組織再編税制や連結納税制度、グループ法人課税制度などが新設されました。

令和 -個の躍進-

終身雇用の崩壊、年金制度への不安などから、個人が自立してキャリア形成を図る時代になりました。フリーランスのエンジニアのように自分のスキルを活かす人や、Youtuberや仮想通貨トレーダーなど新しい業態で高い所得を得る人も増えています。インボイス制度は、こうした「個」の流れに沿った制度と言えるでしょう。

今後はどうなっていくのか

個の躍進が注目される一方、一人で事業の拡大と継続に限界を感じる人が増えています。そこで「チーム」を作り、お互いの強みを生かし合って事業展開するスタイルが見られます。雇用関係も資本関係もない、ビジョンや目的・目標で繋がった緩い集まりです。
例えば、お互いに仕事やお客さんを紹介し合ったり、業務を委託し合う関係になったり、YouTuberさん同士でコラボしたり、オンラインサロンのようなコミュニティ内で事業を立ち上げたり、広さも深さも様々です。今後はチーム形成をしながら事業展開する経営者さんが多くなると考えられ、法制度も何らかの形で追随していくのではないでしょうか。
年商1億円の方々はほとんどの場合、なんらかのチームを持っています。私自身も様々な方と契約関係抜きでパートナーシップを結び、事業展開をしています。経営者さん同士をつないだり、一緒に事業を立ち上げることもあります。もし今の経営に限界を感じている方がいたら、「チーム」について情報収集してみるのも良いかもしれません。

橋本美菜税理士事務所は、
「社長の時間を生み出す財務パートナーに。」
「社長の成長を後押しする伴走者として。」
をミッションに掲げて経営者の方々のお手伝いをしています。お気軽にお問い合わせください。


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