移り変わり 色付くものへ

女心が解らないと男が言えば、男心の方が解らないと女が返す。

何十年も前から続く様式美のようなやり取りに、私はいつも感心してしまう。結局のところ、お互い知りたがってばかりいるのだ。愛する人の本心を、好きな人の本音を。心を支配するには言葉が足りなくて、身体を支配するには余りにも簡単すぎて。あやつり人形になりたいわけじゃない男女が、それでも一緒になろうと共に過ごそうと努力している。滑稽だけど無様ではな

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歳の差とは

歳の差 #とは 。初めに言っておくと、元々私は人見知りで友達は少なく、彼氏が画面から出てきてくれないの的な陰キャタイプの女子。初めましての人と和やかに会話なんてとてもじゃないが、自分から出来ないし子どもも苦手で、向こうも私に懐いたりしなかった。

しかし、大学デビュー(?)を果たし外国人の彼氏に有り余るほど影響を受け、修羅場もいくつか乗り越えたお陰で、今はどこへ行ってもマイホームの如くくつろぐ図太

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連載《教え子》19~塾講師と生徒~ 淡くてほんのり苦い物語

中間テスト1週間前。

 学校の部活はこの間お休み。勉強に専念することが目的だと言っているがそれは建前で、本音は先生がテスト問題作成にかかる時間を確保するため。

 自宅で勉強する生徒もいれば、塾に来ないと遊んでしまうと言って来る生徒もいる。

 彩子は、塾に来るタイプの生徒だった。

 俺は、小学生の授業が夕方から目一杯入っているし、中間テスト対策のテキスト作りで手一杯。塾に来て自習する生徒の質

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連載《教え子》18~塾講師と生徒~ 淡くてほんのり苦い物語

長かった夏期講習も終わり、学校が始まった。
 後期は中間テストと年間テストの2本立て。
 彩子は夏期講習でメキメキ実力を上げ、学区トップクラスの高校の合格ラインをクリアする模擬試験の結果を叩き上げた。
 その中でも、俺が教えている英語と社会は群を抜いて良く、偏差値70にまでなった。
 当然、塾では彼女を上のクラスに替えてはどうかという話になる。
「沢崎先生、いかがですか? 確か星野さんはあなたのク

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連載《教え子》17~塾講師と生徒~ 淡くてほんのり苦い物語

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 トントントン。

 飛び上がるほど驚いた。
 やっべえ、誰かに彩子と二人だけでいるところを知られてしまう。
 咄嗟に、俺たちは、テキストとノートを彩子のバッグから取り出し、質問に対応している振りをして、
「はい、どうぞー」
 と、努めて冷静に返事をした。
 入ってきたのは塾長だった。
「あ、いたんだ。もう面談終わったの?」
「あ、ええ、宿題でわからなかったところを見てました、な?

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連載《教え子》16~塾講師と生徒~ 淡くてほんのり苦い物語

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 塾の教室で、二人だけの空間で、彩子がキスをせがんできたのに正直カーッと血が上ってきた。
 咄嗟に入口のドアに付いているガラスを見やった。次に窓の外を窺った。
 今の時間帯は、他の講師陣は面談を各教室で行っており、塾長は塾長室で夏期講習の時間割作りに没頭している。だから、外からこの教室をガラス越しに見る人はいないに相違ない。しかし、面談を終えた講師や保護者・生徒が通りがかってチラ見

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11

他に好きな人ができれば先生への気持ちもなくなるはず、そんな安易な考えで、私はネットで出会いを探したり、いくつかのビアン合コンに参加し始めました。

結論から言って、私にはこういったものは合わないみたいで、好きな人ができることはありませんでした。相手の事を良く知らないと好きにならない私は、先生以上の人を見つける事ができなかったのです。

ネットでは主に、掲示板やSNSで繋がった人とメールのやりとりを

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連載《教え子》15~塾講師と生徒~ 淡くてほんのり苦い物語

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 6月の中旬頃から、ウチの塾では全ての生徒・保護者と三者面談を実施する。
 当然、受験学年、問題のある生徒から優先的にアポイントを取っていく。
 ここでいう問題のある生徒とは、休みがち、宿題忘れ、小テストで泣かず飛ばず、をさす。
 同時並行して、塾長は夏期講習のカリキュラム作りも進めていく。
 だから我々講師陣は手分けして生徒を割り振り自分の空き時間に次々と面談日程を埋めていく。

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10

精神的ストレスで体調を崩しがちだった私は、仕事だけをしてあとは何もしない、無理をしない生活を始めました。

彼氏とは別れ、先生からも離れ、私はぬけがらになりました。

しばらくは私のもう一つの趣味である、絵を描いたりお話を作ったりして、自分の気持ちを細々と昇華させていました。

体調が回復しても先生への気持ちは消えず、私はこのままではいけないような気がして、先生を諦める為の一歩を踏み出します。

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9

「あー…傘忘れた」

私は外に出ようとして、雨が降っているのを見て気付きました。

涙を手で拭って、教室に戻り、受付の人に傘を忘れたのを伝えました。

たった今、別れた先生と会うのはやっぱり気まずいので…

先生は半泣きの私を見ないようにして、困った様子で私の話を聞いてくれました。

帰宅すると、先生から長文のメールが届きました。

私を引き留める内容で少しやり取りしましたが、私の弱った心が動くこ

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