唯物論者よりも冷徹に 完全なる死がやってくる あたしは二度とこの世に転生しない 思い残すことは何も無いから 死後､人生を回顧することもない 死ぬと同時にこの世界とは縁が切れて この世にまつわる すべての記憶を投げ捨てる 完全なる解放 あまりの歓喜の深さに あたしはあたしを失う

愛しい人を待ち望むように 死を待ち望む 生まれてこなくて済んだら どれほどよかっただろう？ 地球が存在しなかったら どれほど素晴らしいだろう？ この世という檻から見上げる満天の星々 あたしもずっと還りたかった あぁ！ 死という栄光を早くあたしに！ 死という救いを早くあたしに！

天性の才能も 血の滲む努力も 関係ない｡ それが 自分のものなのか 他人のものなのかも 関係ない｡ なにを得ようと､ なにを失おうと｡ ただひたすら 醜さに直面させられるだけの 世界だから｡ ああ､ すこしでも早く死ねますように｡ そして二度とこの世界には 生まれてこない｡