「人狼・ぼくは」30首【第61回短歌研究新人賞 受賞後第一作】

雑誌『短歌研究』2018年10月号で発表された「短歌研究新人賞受賞第一作」30首の「人狼・ぼくは」をここに公開いたします。

※短歌研究新人賞受賞作品「この人を追う」30首はこちらから読めます。
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52227154.html

短歌の総合誌の新人賞を受賞すると、直後に「受賞後第一作」というのを依頼されます。雑誌『短歌研究

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第61回短歌研究新人賞応募作 「youth」

velleityたとえばきみの告白は雨がやんでも聞こえない声

患者にもわざと描きあげない絵にも同じシーツをかける屋上

人間を食べた国には朝靄のオブジェクトだけそこに残った

真っ白な立て看板のあるホーム雲が広告を出したのだろう

六月にアイスクリーム掬うときスプーンに張った膜こそが嘘

更衣室の床がいちばんやさしいとなぜわかるのかは聞けずじまいに

冱つこころ死者が両手を拱いているような波うち

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工藤吉生の短歌まとめ・第二十九期【2018年7-9月】20首

▼この時期の主な出来事
中城ふみ子賞の次席に入選。
短歌研究新人賞を受賞、授賞式に出席。
受賞後第一作30首を発表。

〈1〉
宇宙から声がとどいて靴下はきのうのやつをもう一度履く

〈2〉
意地悪なクイズ出してる十歳のオレに会ったよクスリ屋の前

〈3〉
メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく

〈4〉
公園の禁止事項の九つにすべて納得して歩き出す

〈5〉
てのひらで暴力団

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【短歌30首】第61回(2018年)短歌研究新人賞応募作「詩塵、舞う。」/とわさき芽ぐみ

錠剤がころころ溶けて口のなか朝が来たかと思ってしまう

肺の中発酵していることばからファンタジー臭嗅ぎ分けている

名刺がね白紙のままだ きみが呼ぶ名前を書くからどうか叫んで

シュレッダー小さく呻くような気がした いくつもの裁断跡地

肩書きに付随してゆくさみしさをさとみとしとさに分けて がごごご

永久に噛み砕くなど出来なくて乳歯ばかりで口応えする

「省エネ」のマーク三日月 快くことばを半分

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