私見卓見

歴史は繰り返すのか

世界的な経済新聞である英フィナンシャル・タイムズ(FT)は米国の経営者団体が掲げた「脱・株主第一主義」について社説を掲載しました。

米国の経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが公表した声明文では「顧客や従業員、取引先、地域社会といった利害関係者に広く配慮し、長期に企業価値を高める」とステークホルダー配慮の姿勢が示されています。

このようなステークホルダー配慮の姿勢は英国では2006年会社法17

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統合報告書に必要なのは独自性

最近テレビ欄で見つけ、毎週見るようになった以下の番組があります。

ある製品で圧倒的なシェアを持つ企業を毎週1社を取り上げて、その歴史やその製品の開発秘話を聞くというものです。取り上げる製品は様々で、当然開発・拡販に至る経緯は異なります。しかしそれぞれ時機を捉え、社会に受け入れられるものだったからこそ、現在の姿に至っていると確信させられます。

タイトルにある統合報告書はまさにそのようなストーリー

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ROESGの3つの問題点

今朝の1面ではROESGスコアにて欧米企業が上位を占めており、同スコアが低い日本企業は投資マネーを引き寄せられないと警鐘を鳴らしています。

ROESGはROEにESGスコアを乗じた値だそうです。同指標には少なくとも3つの問題点があるとみています。

第1にROE(計算方法は以下に詳述)についてです。同指標で使われているROEは3期平均だそうです。ESG要因が特に影響を及ぼすのは長期のROE水準で

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ESG投資とリターンの関係

先週は以下の著書に関して記者勉強会を開催しました。

その内容と全く関係ないわけではありませんが、記者からの質問の1つにタイトルに示したものがあります。私からの答えには2つの側面があります。

1つはそもそもESG投資は財務的なリターンだけではなく、環境や社会への好影響をも追求するもので、後者の要素が含まれているというのがESG投資の特徴です。伝統的な投資では財務的なリターンの最大化が主な目的でし

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ESG要因の知見を取締役に求める機械・電機メーカー

スキルマトリックスの最終回は機械・電機メーカーです。前2回は以下から読むことができます。過去の投稿同様、それぞれの業種で取締役を目指している方は特に参考にしていただけたら幸いです。

機械・電機メーカーで今年の株主総会招集通知でスキルマトリックスを公表しているのは荏原製作所、栗田工業、ダイフク、イビデン、安川電機、太陽誘電の6社です。

過半数の企業が取り上げているスキルは以下のもので、素材・化学

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フランスは環境金融先進国か

私が運営委員を務めている日本サステナブル投資フォーラムで、ESG投資についての世界的なオンラインメディアであるResponsible Investorの記事タイトルを7月より一部日本語訳しています。

特に気になったのはフランスのエネルギー転換法173条に関する記事です。同条は投資家にESG要因の投資への考慮、およびポートフォリオに属する企業が排出する温室効果ガスへの報告を求めています。特に後者に

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船通勤先進都市ロンドン

東京都が船通勤の実証実験を24日から行っています。参加した人々からの様々な感想がSNSに投稿されています。

船通勤は以前私が7年ほど滞在していたロンドンでは実用化されていました。市の中心を流れるテムズ川でいくつかの業者が観光用、通勤用の船便を運航していますが、そのうちの1社にMBNA Thames Clipperがあります。

同社は1999年に1隻の船から事業を開始し、現在は年間400万人を乗

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ボリス・ジョンソン新首相とESG

英国では7月24日にボリス・ジョンソン氏(以下、ジョンソン)が首相に就任しました。独特の髪形や風変わりな言動で異端児ぶりをアピールしていることから、メディアでは批判的なトーンで語られることも多いようです。しかし英国の戦後史を振り返るとそのような異端児が歴史に大きく影響しており、そのような異端児を包摂する英国議会の懐の深さを実感することができます。

ジョンソン以前の異端児として有名なのはチャーチル

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銀行の取締役に求められる戦略立案能力

前回は素材・化学メーカーのスキルマトリックスについて内容を概観しました。

今回は銀行のスキルマトリックスを取り上げます。この業種で今年の株主総会招集通知でスキルマトリックスを公表しているのは三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、みずほフィナンシャルグループの4行です。

大きな特徴の1つとして社外取締役のスキルのみ公表しているこ

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就活生の親は、一歩下がった伴走者で

就活生の親は、口出ししたくなっても、自制しましょう。一方で、無関心も良くありません。一歩下がった伴走者という立場をとると良いと思います。
「こちらから口は出さないけれど、頼りたい時は頼ってくれて、質問がある時は質問してくれて、黙って愚痴を聞いて欲しい時は愚痴を言ってくれて構わない。こちらはずっと応援しているから」という暗黙のメッセージを送りましょう。
その際、親の時代と今とでは就職活動をめぐる状況

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