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公衆電話

NAMI

3年前

ずっと一緒にいたい、線香花火を見つめながら彼女は呟いた。社会人になり遠距離が続く中で、久し振りに見る彼女はどこか違っていた。コロナ渦の影響もあってオンライン上でしか会話できていなかったからなのかな。共に決心をしないといけない時期なんだと思う。次のステージに向けた、大きな一歩を。

3年前

#8 マスターのおすすめはミートソースのパスタ。訪れる度食べていた。彼女の大好物でもある。10分位すると運ばれてきた。わぁーと眼を輝かせて見つめる彼女。ごゆっくりと言い後にするマスターに感謝の意を伝え、食べようかと促す。程よい塩が効いたパスタに特製ソースが相まっていつも感動する。

3年前

#3 最初は1人だった。ある食事会で初めて会った時によく利用するカフェに訪れていることが分かった。そこから2人で会う時間が増え、いろんなカフェを巡るようになり、彼女のことをより知るようになった。当初の気持ちは聞いたことないけど、彼女も興味を示してくれていたのだろうか。

3年前

#3 白い肌、明るい笑顔。紫外線をもろともせず、白いワンピースと麦わら帽子をかぶって準備完了。行こーと子供みたく言い放ち車へ駆けていった。長いこと一緒にいるから彼女の無邪気さにはもう慣れっこ。俺が運転するんだからドア引いても開かないっつうの。そう心の中でツッコんで彼女の後を追う。

3年前

#5 変化のない生活を好まない彼女は頻繁に部屋の模様替えをする。時々それに僕も加担してやるけど、互いにこだわりが強いからか置いた場所を変えられるとイラッとする。ここに決めたんじゃんって彼女は怒ったりするけど、内心僕も怒ってるんだよ。まあ彼女が好きにやってくれたらそれでいいけどね。

3年前

#4 訪れたのは近くの工房。丁度風鈴祭りを開催していた。夏の南風に反応して風鈴たちが共鳴する。彼女は一つ一つデザインと音色を聴き比べながら廊下を進んでいく。どうやら気になった風鈴は購入できるらしい。30分ほどの格闘の末、決めた!と嬉しそうに駆け寄ってきた。なんと満足な笑顔だこと。

3年前

彼女はニッと笑った。蹲るように寝ている彼の姿を見たからだ。顔を洗いキッチンに立ち、いつも通り味噌汁を作る。中々目覚めない彼の頬をペチペチと叩いてから食卓についた。私の方が早く出るんだからね、と呆れ顔で言葉にする。あれ、彼休みだったっけ?今は自分のことで一杯みたい。

3年前

#7 やぁとマスターはいつも通りの挨拶。窓辺の1番奥のテーブル席に向かい合って座った。喉渇いたねーと運ばれた水をゆっくり飲んで早くもリラックスモード。メニューは置かないでもらったので、マスターに目で合図を送る。なーんだ予約してたんだねと一言。こっちの動きに気づいていないようだ。

3年前

ふと抱きついたポーズで寝ていることに気づいた。誰かの温もりや鼓動を欲してしまっている自分がそこにいた。君となら一緒にいてもいいと思えた夜。今と過去がぐちゃぐちゃに溶け合って欲望を高めていく。どこにあるわけでもない、この時間しか味わえない香りを味わうように。己の脚がつらないうちに。

3年前

#9 ふと彼女を見ると涙が溢れていた。どうやら亡きお母さんが作ってくれた味と瓜二つらしい。予想外の展開にマスターも驚きを隠せない様子。僕は彼女が食事を終えるまで何も話せなかった。ただ彼女が過去を懐かしむような嬉しさを含んだ顔をしていたのを今でも思い出す。本心は知り得ないけれど。

3年前

#2 言葉なんかいらない。長く一緒に居れば大体のことは雰囲気でわかる。経験で培った2人だけの約束を胸に秘めて仕事へ出かける。帰りはほとんど彼女が先。クックパッドのアプリとにらめっこしながら新しい料理を考案しようと躍起になっているのが毎日の流れ。いつもおいしい料理をありがとう。

3年前

#13 あの後、2人の4年記念日を祝してマスターがケーキを出してくれたんだけど、苺かチョコレートかの論争になった。一番ヒヤヒヤしたのはマスターだった気がする、ゴメンね。って振り返ったある日のことはまだ夢みたいだ。キラリと光る彼女の指輪が僕を現実に引き戻してくれていた。(完

3年前

外界の煩さにうんざりしつつ、ひとり静かに何もせず過ごす。そんな日々もたまにはあったっていい。孤独でいることにもメリットはある。基本何でも自由だから。でも、パートナーと共に過ごす時間もまた違った視点で見ることができる。自分と相手を共有して生きていくという事。それが夫婦生活の第一歩。

4年前

いつもの場所、いつもの時間、いつも笑顔で現れるキミの表情が少し暗い。どうしたのって聞こうとしたら、彼女の方から訳を話してくれた。僕は彼女がそんな風な扱いを受けていることなんて知らなくて、一緒に悔しくなった。同時に僕はキミが本当に好きなんだと感じた。一人で悩まないで、僕がいるから。

4年前

#4 イベントものには積極的に参加する間柄。食、歌、クラストマーケットなど。情報を拾ってくるのは大体彼女で、行こ行こと無邪気な少年のように承認を求めてくる。訪れる場所にはハズレがなくて、僕の方が彼女より楽しんでいることもある。誘ってくれる時点でもう既に嬉しいけどね。

3年前

君はなぜ、僕を知ったのか。僕はなぜ、君を知ったのか。目を閉じて考えてみる。遠くから足音が聴こえてくるように、僕たちは知り合い惹かれ合っていった。願いや望みはこれから生まれてくるだろう。今はただ、2人で一緒にいることができている時間を一分一秒無駄にせず、互いが互いを愛していくだけ。

4年前

#6 車中の彼女はいつにも増して笑顔だった。どこに吊るそうかなぁとか配置の構想を練りながら何食べるの?と聞いてくる。薄々勘づいてはいるようだが。やりとりをしている内に目的地に到着。訪れたのは小さな喫茶店。ほーと渡辺篤みたいに外観の感想を述べながら歩き回る彼女。落ち着け落ち着け。

3年前

#12 カナ、君が好きだ。絶対に君を幸せにしてみせる。完璧なんて世界はないけどさ。2人で補い合いながら歩んでいきたい。ぼ、僕と結婚してください。後日カナに聞いたらそう言っていたらしい。ちゃんとした想いを聞いたの告白以来だよって笑われたけど。まあそれも良い思い出にしておこう。

3年前