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「ポケモンコンシェルジュ」感想! 本流のグラフィック技術の向上とは違うポケモンの新しい映像表現の可能性!

 こんにちは!今回は、Netflixオリジナル作品、「ポケモンコンシェルジュ」についての感想を語っていきたいと思う。すごく、ほのぼのしていてる印象の今作だが、正直ポケモンコンテンツとして、新しい可能性の1つを切り開いたといっていいほどの傑作だと思っている。今作の凄さとは何なのかをこれから説明していこう。


○目的性の希薄な世界観だからこそ描けるポケモンの多様性!

 この作品は、ストーリー的にはシンプルで、主人公のハルという女の子が、人間とポケモンがお客としてやってくるリゾートで働いている姿を描く、お仕事物である。

 そして面白いのは、今作にはポケモン的な目的性が希薄である。普通はポケモンといえば、バトルで勝つこと。コンテストで優勝すること。ポケモンを捕獲する事などの明確な目的がある。しかし今作では、もちろん、ポケモン達にリゾートで楽しんでもらおうとはするのだが、何か明確な物語上の目的(ゴール)がある訳ではない。曖昧で緩い世界観なのだ。

 そして、そんな世界観だからこそ、ポケモン達の多様性がすごく良く描かれている。
 例で言うと、泳げないコイキングであったり、暗闇を怖がるゴーストタイプであったり、そういった他とは違う個性を持ったポケモンがいてもいいじゃん。というような描写が多い。

 ポケモンコンシェルジュの目的性に囚われていない世界観だからこそ、このポケモンはこうあるべきという考えから解放されて、ポケモンたちの個性が尊重されるようなストーリーを描く事が出来るのだ。この辺など非常に現代的であると言えるだろう。

○ポケモンパペットの質感や繊細な動きの拘りによる生物としてのリアリティ!

 そして、今作の映像面では、ストップモーションが使われている。ストップモーションとは、ポケモンのパペットなどを少しずつ動きをコマ撮りし、それをアニメーションにする手法である。

 そして、ストップモーションに使われるポケモンのパペットは、ポケモンの毛並みや質感までこだわり抜かれている。それに加えてパペット特有の存在感もあり、ポケモン達が実際に存在する生物に見えるほど不思議なリアリティがあったのだ。

 それに加えて、ストップモーションの動きも、ポケモン達の個性を組み込んだ繊細な動きが表現されており、さらにポケモンの生き物としての説得力が増している。

 今まで、アニメやゲーム、映画のCGなど、様々なポケモンの映像が作られて来たが、それらの中でも、一番生物感が強いのは、今作のポケモンだと思っている。

 この、生物感や温かさは、アニメやゲームのグラフィック技術が向上しても得ることが出来ない、ストップモーションやパペットならではの魅力であると感じた。

 そういった事もあり、今作は、動物園的な楽しみ方が出来ると思った。実際に生きているポケモン達の生態を覗いているようなワクワク感があるのだ。

 ちなみに僕は小さい頃、ポケモンカードが好きで集めていた。そしてポケモンカードの中には、パペットやミニチュアのようなポケモンが描かれているカードがあり、その見た目に非常に魅力を感じていた。そして、今回のポケモンコンシェルジュで、そのカード野中のポケモンがそのまま動いているような表現が見れて、非常に懐かしく嬉しい気持ちである。

○ポケモンの本流と支流! 最新グラフィック技術にはない「ポケモンコンシェルジュ」の新しい映像の可能性!

 そして、比喩的に言うなら、今作はピカチュウ(本流)ではなくコダック(支流)である。
 ポケモンというコンテンツの本流は、やはりゲームやアニメである。この本流があり、そこから派生するように、細分化されたポケモンコンテンツの支流があるというようなイメージだ。そして、今作のストップモーションのポケモンはやはりメインの本流ではなく支流である。

 そして、今回のポケモンコンシェルジュは、支流の1つとして、間違いなく成功した作品といっていい。なぜなら、パペットとストップモーションを使った、リアリティのあるポケモンの生き物感や、目的性の希薄な、緩い世界観により描ける多様なポケモン達の温かいストーリーは、本流にはない物であり、ポケモンコンテンツの新しい可能性を見いだしたといっていいからだ。

  Netflixさんは、お願いだからポケモンコンシェルジュに予算を割いて、一刻もはやく続編を製作してほしい。Netflixさん待ってます!

 

 

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