はたんきょー

平成生まれの農学生。果物に関する投稿が殆ど。月一くらいの投稿で緩く書いていきます。

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最近の記事

去年の果物の感想

リンゴ大崎での同人誌の即売会が無事に終了し、おせちも作り終えて、ようやく今年を振り返る時間が確保できた。 年末から書いていたら1月2日になっていました😭 去年の東北地方を中心に猛威を振るった霜害の反動の影響でリンゴ・西洋なしなどの品目では収量がかなり増えたものがある。その代わり、一昨年に度に豊作であったミカンは裏年でやや少ない。 ※訂正1月2日(月) 裏作であったのは一昨年。しかし、昨年は裏作傾向にあった一昨年よりも少なかった。 しかし、全国的に長期的に長雨続いた影響が響

    • スイカ革命「ピノガールと金色羅皇」

      暑い。外にいればジリジリと天火で焼かれるような暑さ、部屋にいてもスチームサウナのようでムシムシと息苦しい。エアコンがなければ生き地獄だ。そんな時に食べたくなるのがスイカだ。でも、なぜ暑いとスイカが食べたくなるのか自分でもよくわかっていない。確かに水分が多くてみずみずしいけど、別に桃とかでも良いのではないだろうかとふと思う。なぜスイカなのだろうか 夏といえばスイカこれは私なりに考えた結果だが、スイカ=夏の風物詩という認識が強いからであろう。私も小さい頃からスイカといえば夏だと

      • はたんきょーの野望

        大学では普通の大学生を装って生きてるがボロは出てしまうものである。ある時、大学の友達に「〇〇(私の名前)って、いつも果物のことを考えてそうだよね笑」と「まさか…!そんなことはないよ笑」と咄嗟に返したが図星なのである。 私は暇さえあれば果物のことをずっと考えている。これは幼稚園からの習慣なので止められない。 最初は「あの品種はどうなんだろう?」くらいで済んだが「日本の果樹産業を維持するには?」「若い人に果物をたべてもらうには?」などの途方のないことを考えてしまい、私の脳の処理

        • 日本人の果物の嗜好「糖度至上主義の現状」

          色々な品種を食べ比べていると日本人の嗜好がだんだんと掴めてきた。その嗜好の変化は非常にわかりやすく、果物の品種の遍歴から辿ることができる。その顕著な例で言えば「シャインマスカット」である。まずは「シャインマスカット」を例にとって話を進める。 若者文化に根付いたシャインマスカット たまたま流れてきたMVに「シャインマスカットのお団子」という歌詞が出てきて非常に驚いた。そのMVは48(フォーエイト)による『TikTok Winter 2021』という曲であり、いずれも10代〜

        去年の果物の感想

          ゆく年くる年〜今年の感想とこれからの果樹の展望〜

          今年もあっという間に一年が過ぎてしまった。コロナウイルスによる経済活動の停滞による消費の冷え込みだけではなく、今年2月の高知など襲った寒波や北海道の干ばつなどの異常気象も追い討ちをかける。特に春季に東北一帯を襲った霜害は類を見ないほどの被害を与えた。特に山形のオウトウ(さくらんぼ)は壊滅的な被害を受け全体の収量が例年と比較して3割も減少し、先日の山形新聞の記事によると3~5割減の農家が36%と一番多く5~8割減の農家も24%あったそう。りんごもサビが目立ち、豊作と言われた去年

          ゆく年くる年〜今年の感想とこれからの果樹の展望〜

          甘さと渋さは表裏一体「禅寺丸」

          私があまり紹介しない果物がある。それが柿である。柿は日本で古くから栽培があり、各地に多様な品種がある。ただグチュグチュになった柿を食べてから苦手になってしまったからである。柿は日本原産と表記されることがあるが、それは間違えであり15000年前頃の柿の化石が発見されているが、氷河期に一度絶滅したと考えられる。そのことを裏付けるように縄文時代などの遺跡からはモモやクリなどの痕跡は発見されているが、柿が利用されていた痕跡は見つかっていない。その後、弥生時代になると柿が利用されていた

          甘さと渋さは表裏一体「禅寺丸」

          国光「盛者必衰のことわり」

          国光(こっこう)という名前を50歳以上の方、りんご好き、もしくは青果市場関係者なら1度はこの名前を聞いたことがあるかもしれないが、見た事・食べた事がないという方が殆どだと思う。 戦後直後のりんごの木箱ラベル(当方所蔵品) 「国光」はフジの親であり、日本に初めてリンゴが導入された明治〜昭和40年後半までは1番栽培のあった品種なので、知名度は古い年代を中心にかなり認知されている。 昭和40年代初期まではリンゴと言えばほぼ国光か紅玉の時代が存在し、他にも品種は存在したが早くに出

          国光「盛者必衰のことわり」

          初めての食感「花嫁」

          しまった。もう10月では無いか!慌てて連絡をする。8月に前からどうしても食べてみたいリンゴがあり、購入の手筈はつけておいたのすっかり忘れていた。というのも自分もそのリンゴの収穫時期がわからなかったためである。なので適当に連絡して購入できればと思っていた。その考えはあまかった。慌てて連絡をすると既に収穫は終わっていて「ありますが柔らかくなってしまいました!」とのこと。そのメッセージを見た時に額に手をつけて「やっちまったなー」とテンプレート通りの仕草をする。しかし、柔らかくなって

          初めての食感「花嫁」

          甘いけど甘くないハナシ「今村秋」

          今の時期は梨がとにかく美味しい。やたらめったらに果物を買い漁る私だが、意外と美味しいから食べたいと思って買う果物は意外と少ない。 買う果物の性質上、お世辞にも美味しいとは言えない果物もかなりある……その度に「私は経験を買ってる!」と思って耐え忍んでいる。 ただ、この時期になると大玉のあきづき梨が置いてあるのを見るとパプロフの犬のようにヨダレが条件反射的に口内を駆け巡る。これぞ垂涎ものというものなのか? あきづきは1番美味しいと思う品種なのでぜひ食べて欲しい あきづきはシ

          甘いけど甘くないハナシ「今村秋」

          vol.3 「メロン栽培は貴族の嗜み~日本のネットメロンの始まりと品種の移行」

          前から続くスイカ・メロンの近代史のメロン編。メロン編もあまりにも長くなったので、3回に分けて分割する 高級な果物といえば大体の人はメロンを想像するだろう。ピンと張った緑のアンテナ、キメの細かい網目……その姿は作り物かと思わせる程で、美しさは芸術品の領域である。 値段もお高く千疋屋さんや高野フルーツさんでは安くても1万円以上、高ければ2万を超える。まさに高級フルーツと呼ぶのにふさわしい。 高野フルーツのメロン。正直に言ってかなり高い。写真は同社HPより 静岡のマスクメロン

          vol.3 「メロン栽培は貴族の嗜み~日本のネットメロンの始まりと品種の移行」

          スイカとメロンの近代史 vol.2「昔のスイカは縞がなかった/明治でも冬にスイカが食べれた」

          昔のスイカは縞模様がなかった?いまスーパーで見るスイカはたまに黒皮のものもあるが、殆どが緑と黒のコントラストのスイカである。しかし、前の記事で紹介した「富研号」は縞模様がない品種であり、縞模様のスイカが一般的になったのは意外と最近のことである。 先に品種の移行を説明した方がわかりやすいかと思い、前の記事で先に紹介した 前に紹介した通り江戸時代までのスイカは「くろかぶと」と呼ばれるような黒皮のものが多く、明治に米国から入ってきたアイスクリームはかなり薄い緑であった。アイスク

          スイカとメロンの近代史 vol.2「昔のスイカは縞がなかった/明治でも冬にスイカが食べれた」

          スイカ・メロンの近代史 Vol.1「日本におけるスイカの品種の移行」

          ウリ類はかなり古くから食べられ、奈良時代の遺跡からもその痕跡が確認されているほどだ。そのくらい私達日本人の生活に欠かせないものである。その中でもスイカとメロンについて vol.1「スイカの品種の移行」 vol.2 「昔のスイカには縞がなかった/明治でも冬にスイカが食べれた」 vol.3 「~メロン栽培は貴族の嗜み~日本のネットメロンの始まり/〜自粛すべき贅沢品〜戦争と不要作物」 の3回に分けて紹介する。 〜スイカ〜スイカは平安〜鎌倉時代に書かれた「鳥獣人物戯画」に描かれ

          スイカ・メロンの近代史 Vol.1「日本におけるスイカの品種の移行」

          出逢いは突然に……「紅魁」

          私は昔から古いリンゴを追い求めている。昔と言っても私が中学卒業したあたりからなのでちょうど5年くらい前からかな? 古い品種と言えば、青森における明治の7代品種(国光、紅玉、祝、紅魁、紅絞、柳玉、倭錦)が真っ先に挙げられる。 これを栽培してるところを見つけるのは本当に苦労した。紅玉、祝はまだ容易に手に入るが、 国光は手に入れるのにそこそこ苦労した。しかし、かつて栽培量1位を誇った品種。よく探せばまだまだ作っているとこは沢山あった。 だが残りの紅魁、紅絞、柳玉、倭錦の4種は文

          出逢いは突然に……「紅魁」

          翠玉色のりんご「祝」

          昔といってもまだ10年前くらいの話(私が8~10歳くらい?の頃) 小学校で見た海外の食文化を紹介する本で、アメリカの市場でワックスを塗られ翠玉のように煌々と輝く青リンゴに強い憧れを抱いていた。まして、その当時の青リンゴと言えばツヤがなく、そばかすが目立つ王林しか無かった。当時の私にはとてもつまらないものであった。 しかし、ある日デパートに連れられた時に艶のある青リンゴを見つけた、それがこの「祝」だった。 親とポケモンの映画を見た帰りだったので、ちょうど今くらい(8月の頭)くら

          翠玉色のりんご「祝」

          まだあるはずなのに見つからないモモ「大久保」

          ももの古い品種といえば白桃や天津などがあるが、私は「大久保」を思い出す 大久保は白桃の生みの親でもある岡山の大久保重五郎氏が自身の白桃園で偶然実生として発見した白桃系の品種で、昭和2年に「大久保」と命名されたかなり古い品種。 養賢堂「新選 原色果物図説」昭和46年より 手持ちの資料の「大久保」の初出典。タキイ種苗の昭和27年、カタログ 白桃よりも早く収穫することができ、果肉が硬く長距離輸送にも耐える事が出来たので昭和9年頃から徐々に栽培が増え、戦後〜昭和40年代にか

          まだあるはずなのに見つからないモモ「大久保」

          旬の錯綜

          私は果物で季節を感じることが多い。これは皆さんの中でも「冬はコタツでみかん」とか「夏はスイカ」、「クリスマスにはいちごの乗ったケーキ」とかの果物と季節が関連した認識があると思う。 今年はコロナの影響で春先までは家にひきこもっていたので、たまたま外に出たら桜が咲いていてビックリした記憶がある。その分、果物はスーパーとかに買い物に行くだけで旬を感じられる。 例えば今の時期だとサクランボが終わって桃が沢山出てきたとか、スイカが安くなったとか凄く季節感が反映されている。 何故か?っ