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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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2016年12月の記事一覧

Grieg Piano Concerto Movt. I (2)

グリーグのピアノコンチェルトの第一楽章のカデンツァのところ。

DmからE7の動きは原調のイ短調、次のGm7からA7の動きは下属調のニ短調になっている。E7にはいる直前のD#の音は倚音でEに解決する。A7の直前のG#も倚音でAに解決する。

次のBbの和音は、イ短調上のナポリの6度である。形どおり第一転回形(バスに第3音のDが来る)となっている。普通のナポリの6度であれば、これにすぐドミナント(こ

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Tchaikovsky Piano Concerto No.2 Movt. 1

あの印象的な第一番にくらべて、演奏機会の圧倒的に少ない、気の毒な曲である。CDも出ているが、第一番が数え切れないのに対し、ごくわずかである。

作曲の経緯などはWikipedia に詳しいので省略するとして、第一楽章の最初のテーマだが、私は長年勘違いしていた。お恥ずかしい限りだが、小節頭からの開始だと思っていた。正しくは4分の4拍子、一拍分のアウフタクトから始まる。

堂々たるものだが、むしろ第3

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Mozart Piano Concerto No. 24 c moll KV.491 Movt. 1

この曲の冒頭は絃楽器とファゴットのユニゾンなのだが、転調が多く、これをソルフェージュで初見視唱の課題に出されたらつらい。音はこちら。

単旋律で聴いていると40番交響曲の第4楽章にもそういうところがあるが、ほとんど12音音楽である。番号を振ってみたが、11小節目までで12音すべてが登場している。

このメロディーの肝は丸でかこったAsの音で、ハ短調と思わせて、Asの音を出すことで、VIの第二展開(

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