マガジンのカバー画像

王道ショートショート集

14
自作の王道ショートショート集です。過去作が気になった方はこちらを読んでくだされば
運営しているクリエイター

記事一覧

竜の背に

 赤い竜の子ドトゥルは、自分がちゃんと藁のベッドの上で目を覚ましたことに安心しました。幼…

はつみ
3年前
8

気前の良さ(ショートショート)

 とある島に一隻の船がやってきた。ただし乗船していたのは海の略奪者、海賊たちである。 「…

はつみ
4年前
16

5分でわかる

「ただいま混み合っておりますので、あと5分ほどお待ちください」  受付係の言葉に青年は内心…

はつみ
3年前
8

日光東照候群(ショートショート)

 ある男が日光東照宮に参拝に来ていた。彼は最近の政治家達に失望していた。だからこそ250年…

はつみ
4年前
12

物知りな大人たち(ショートショート)

 ある子供が両親に質問した。 「人間ってなんのために生きてるの?」  母は返答に困る。子…

はつみ
4年前
13

分身の術

 巷では忍術が大流行していた。忍術を教えてくれる忍者道場は急増し、私もそれに通っていた。…

はつみ
4年前
5

到来(ショートショート)

「やったぞ。ついに我々は辿り着いたんだ」  窓の外に浮かぶ地球の姿を見て、宇宙船の中では歓喜の声が上がった。 「見たまえ、あの大地を包み込むような深々とした緑と、それを取り囲む青い海。まるで巨大な宝石のようではないか」 「はい。長い旅路でしたが、あれらを持ち帰ることができれば、我々の星も生まれ変わるでしょう」  感動のあまり、涙ながらに会話している彼らは、遠くの惑星からやって来たゲム星人である。 「元々は、ゲム星もあのような姿だったのでしょうか」 「おそらくは、そうなのだろう

ハイセンスマンション

 ハイセンスマンションと呼ばれる場所は、その国で最も高い建物だった。正式名称は、もっと芸…

はつみ
4年前
15

多弁症物語

 その男が多弁症を自覚したのは、大学入試の際中で隣に座っていた学生にいきなり話かけてしま…

はつみ
4年前
11

ウサギとカメとスポンサー

「我がイナバ社は、ウサギの勝利を応援します」  長きに渡る因縁、兎と亀のリベンジマッチが…

はつみ
4年前
7

お望みの日常(ショートショート)

 原因不明の難病にかかっている少女は、同じ年頃の子供たちが騒いでいる姿を、病院の窓から恨…

はつみ
4年前
14

永遠のプレゼント(ショートショート)

 その男の悩みは、サンタからのプレゼントが届き続けることだった。  世間の家庭では、何歳…

はつみ
4年前
16

幸せの壺

 喫茶店の奥の席では、微笑む女性と冴えない男性が喋っていた。 「この壺は著名な芸能人の方…

はつみ
4年前
5

クジラが降ってくる日常

「今日の天気は雨、北地区ではクジラが降って来るでしょう」  朝食を食べ終えた後、天気予報を確認し家を出る。これが毎日の習慣になっている。  クジラ達はある日突然空から降ってきた。当時は死傷者の数こそ少なかったものの、家や車は押し潰されかなりの被害が出たと言われている。しかし、観測データが蓄積されるうちに、降ってくる場所が限られていることが判明し、それを基にセーフティスポットにおける都市計画が実行された結果、安全地帯を繋ぐように全国的な都市展開がなされ、今までの中央一極集中が