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【孫子の兵法・その8】提案の真価をトップが理解し、採用して貰えなければ宝の持ち腐れ


戦う前に考慮すべき五事と、情勢把握のための七つの視点について述べました。これら孫子の意見を、王がちゃんと聴くかどうか、聴いて生かすかどうかが問われます。

私が述べた意見を、王がもし聴いたならば、兵を用いて必ず勝つことが出来る。それなら私は、この国に軍師として留まろう。

ところが、王がもしそれらを聴かない場合、兵を用いても必ず負けることになる。そのときは、私は去るしかあるまい。

私の意見をもとに、こちらが有利であるということが分かったならば、勢を起こして外征のための補強をしよう。勢とは、有利な状況に従いつつ主導権を制することである。

《孫子・計篇その三》

※原文のキーワード
意見…「計」、分かる…「聴」、起こす…「為」、外征…「外」、補強…「佐」、従いつつ…「因」、主導権…「権」、制する…「制」

孫武

どんなに素晴らしい提案も、トップがその価値を理解し、採用されなければ「宝の持ち腐れ」となる

真価を分かってくれるトップの下でなら働けるが、そうでなければ何も出来ずに終わってしまう。それが、昔も今も変わらぬ軍師や戦略家の宿命です。

さあ、私の意見をもとに、自軍が有利であるということが分かったら早速準備を進めましょう。「勢」つまり有利な状況に従いながら、主導権を制すれば必ず勝てます。

その孫子の言葉には、軍師としての自信が漲(みなぎ)っていました。(続く)


東西文明が交代期にある今、国際政治も会社経営の現場も、鎬(しのぎ)を削る戦いの場となっています。食うか食われるかの陣取り合戦が起こっているのが、世界の現実です。

必要なことは、その厳しい現実から逃げることなく、巻き込まれて翻弄されることもなく、戦いの現場から如何にして進化と成長のエネルギーを吸収するかです。

そのための考え方と行い方を、きちんと示している兵法書が『孫子』です。

孫子は、人生の指標となる哲学書でもあります。人生も、天分や天性を生かして、勝利し、成功しなければ何の意味もありません。激動の時代を生き抜くための「東洋の智恵」を体得していきましょう!

【勝つための思考と行動~東洋の英知「孫子の兵法」】は、現時点で書籍化しておりません。そこで、noteの『定期購読マガジン』機能を活用して記事を配信させていただきます。2年間で読み切っていただけるように鋭意努力して参りますが、月4本は必ず配信させていただく所存です。
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林英臣 頓首
令和6年4月23日林英臣政経塾 第19期政治家天命講座 東日本合同講座 卯月例会
二日目の早朝に例会参加者と春の例大祭中の靖國神社を早朝参拝させていただきました

信長の、一体何が凄かったのか?

3月23日(土)に実施した、関西林英臣勉強会における「織田信長」の講義冒頭部分(約15分間)です。

我が国の歴史上の人物で人気の高い・織田信長の一体何が凄かったのか?について、要点を分かりやすくお話ししています。ぜひご覧ください。

☆令和6年度・関西林英臣勉強会

▼綜合テーマ:人物に学ぶ胆力と器量

第1回 3月23日(土)…終了しました
「織田信長」中世の既得権益を打破し、近世を興した人物の構想力とは
・信長の原点~内紛だらけの尾張に育ち、統一への強固な意志が芽生える
・信長の大局~日本全体を視野に、ゴール(天下統一)から発想出来た
・信長の本氣~天下布武、悪名を残してでも既得権益を打破する覚悟
・信長の徹底~使える物を残さず使い切る、豊かで斬新な発想力

第2回 6月15日(土)
「西郷隆盛」日本史第一の英雄と呼ばれる人物の、その大きさとは

・私心の無い政治を行い、上に立つ者は気の毒と思われるほどであれ
・人を相手にせず、天を相手にせよ
・時流を起こせ!ぐずぐずしていられるのは、義の心が足りないから 他

第3回 9月21日(土)
「勝海舟」幕府の幕引きを担った人物の、優れた洞察力と死生観

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第4回 12月21日(土)
「植芝盛平」宇宙の心と己の心を結び、合氣道に開眼した武道の達人

・合氣道には敵はいない、宇宙の心を己の心とせよ
・大勢のときは一人と思い、一人のときは大勢と思え
・世界は魂の救いを求めている、まず日本から出直せ 他

参加費:年間お申込の方1万2千円(大学生8000円、高校生以下無料)各講座3500円(大学生2000円、高校生以下無料)
お申込・お問合わせ:浜野夕希子さん info★hamanoyukiko.com


◇この人に何を加えてあげたら、もっと成長するだろうかと考えてみる◇

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