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スナックミー体験とは

スナックミー体験という言葉を積極的に使い始めたのは2018年の秋頃だったと思う。当時、成長の踊り場に差し掛かっており、サービスのpivotも本気で考え始めていた。社内の雰囲気も良いとは言えず、”会社の方向が見えません。”という声もあがり、その後辞めてしまうメンバーもいた。


XX体験といえば、スターバックス体験、が有名だ。商品、店舗の内装、雰囲気などに加え、サービスを提供する店員(パートナー)が店舗での体験にとって大事な要素となる。

スターバックスは、2008年前後に株式市場からの短期的な成長圧力に押され、体験を軽視した拡大路線によって、(短期的には投資家を満足させたが)スターバックス体験が損なわれ、顧客満足度が下がり、さらに景気後退の影響もあり、その後業績が悪化した。

そこから、創業者がCEOとして戻り、(数百万ドルの機会損失を出して)店舗を1日閉めてバリスタの教育をし、売上の数%を占めるに至っていた朝食用のサンドイッチを(チーズの匂いが店舗でのコーヒー体験を損ねるという理由で)やめ、バリスタの顔が見えずコミュニケーションを阻害する背の高いエスプレッソマシーンを背が低く性能の良いものに入れ替え、香りのためにコーヒーを粉でなく豆で店舗に納品する、などをしてスターバックス体験を取り戻した。(その後、業績は戻った)

単に、コーヒーの質を上げるといった商品そのものの見直しだけではなく、"顧客が店舗で過ごす時間"という視点で変革をしたと言える。この期間、出店ペースを落とし、一部店舗は閉店し、既存店の売上も減らしながら店舗での体験改善にフォーカスした。


スナックミーは2018年頃、サービスの方向性が曖昧なまま成長を目指してしまっていた。コンビニやスーパーで売っているお菓子よりもちょっと良いものをちょっと高い価格で販売するのか?商品に特徴を持たせ機能性で勝負するのか?それとも、全く別のサービスを目指すのか?

インタビューを繰り返した結果、お菓子そのものもだけど、snaq.meのサービスに満足頂いていることがわかった。食べている時間よりも、実はBOXを開けた瞬間が一番テンションが上がる。snaq.meが届いたという通知があると、その日は仕事が頑張れる、など。

ここで気がついたのは、自分たちが気が付かないうちにモノを売ろうとしてしまったこと。自分たちはモノではなく、体験を提供できるし、そうすべき、ということに改めて気がついた。

その頃から、スナックミー体験、という言葉を使い始めた気がする。

お菓子はモノ、おやつは体験と言葉も使い分け、スナックミーはお菓子じゃなくておやつを提供するということを強く意識するようになった。おやつは八つ時(午後2時頃)が語源。つまりモノではなく時間を表している。

ちなみに、たまに誤解されてしまうのだけど、これはモノとしてのお菓子を軽視しているということでは全くなく、サービスとしてどのような姿を目指すのか、という話。お菓子そのものへのこだわりはもちろん捨てていないし、美味しさには妥協をしないというのは以前から変わっていない。


ただ、そのスナックミー体験、という言葉も曖昧さを含んでいた。

モノ+ α =良い体験

という数式のイメージ。つまり、モノとしてのお菓子に何かしらの価値を付加することで体験に昇華させる、という発想。例えば、スナックミーでいうと、

質の高い美味しいお菓子
 +パーソナライズ ✕ サブスク
 +冊子などコンテンツ
 +毎回変わるBOXデザイン
 +デジタル接点(マイページ、ソーシャル、ライブなど)
 +カスタマーサポート
 =良いスナックミー体験

間違ってはいないのだけど、なんとなくの違和感があった。商品を開発した後、コンテンツを追加することでそれは良い体験になるのか?

詳細は省くけど、そもそものスナックミー体験の価値を深堀りをした結果、コアは"楽しさ”という事がわかった。だとすると、お菓子に楽しいコンテンツを載せれば、それは楽しいスナックミー体験と言えるのか?

何となくモヤモヤしているときに、インターネットサービスの師匠とも言える方から聞いた話を思い出した。

自動運転車の話

自動車メーカーは、”自動車”を自動化する、という発想でつくる

テスラなどは、”コンピューター”に車輪をつける、という発想でつくる

つまり、主語が違う。

”自動車”が主語になるのか、”コンピューター”が主語なのか。

主語が異なると、出来上がってくるプロダクトの体験が全く異なるものになる。(テスラに乗ったことはないから知らんけど。)

モノ+α=良い体験

というイメージは、モノが主語であり、それに何かを付加することで楽しい体験が実現できるようなイメージだった。しかし、楽しい体験、を主語にする事もできる。

つまり、良いスナックミー体験を、

"楽しさ"をおやつを通じて届ける

という発想で考えることで、理想的な体験の実現に近づけられるかもしれない。

スナックミーはデジタル発の新興メーカーとして、先の自動運転の例のように、楽しい体験を主語にすることができる。(もちろんお菓子そのものについても手を抜かない。)


お菓子が主語じゃない菓子メーカーなんておかしな話なのだけど、”楽しさ”を提供することを事業ドメインとするのであれば、(かなり)広く考えれば、ネットフリックスや任天堂、ディズニーとかが競合とかになるってことか、、、、オラ、ワクワクすっぞ。



ということで、一緒にわくわくしたい方はこちら↓から



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