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宝塚「ファントム」感想

 先日、梅田芸術劇場版「ファントム」を視聴し、これがめちゃくちゃ面白く、今なら宝塚版も観れるらしいと話題に上がってたので観てみました。そのため、比較する内容が多くなるかと思います。


■ ファントムとは

 一応書いておきますが、ファントムとはオペラ座の怪人を別アプローチしたミュージカルになります。別のファントムの感想はこちら。


■ 配信先

 宝塚は過去作品の配信も期間限定でやってくれる。しかも880円とかなり安い。やったぜ! Amazonか楽天TVかU-NEXTで購入できます。

配信内容は雪組が2018年千秋楽に演じた公演とのこと。


■ 宝塚版と梅田芸術劇場版の違い

 宝塚版と以前観た梅田芸術劇場版(以下梅田版)の違い、かなり多いです。脚本も曲も一緒のはずなのに、キャラ解釈や演出がかなり違う。これが面白いんですよ~!

宝塚版はパーティー風演出が多め

 なんと言っていいかわかりませんが、パーティー風というか、色々な人が現れて歌いダンスする、という演出が宝塚では多い印象です。本作も同じくそんな感じ。良い言い方をすれば華やか、悪い言い方をすればごちゃついてます。個人的にはこの演出は1か所くらいあれば十分だなーと思うので、ここはちょっと合わないかな。

服飾が華美

 パーティー風の演出が多めなのでドレスももちろん多いです。そうなるとどうなるか?服飾がめちゃくちゃ豪華なんだよな~!画面越しに観てるだけですごさを感じます。
ファントム自身も何度もお色直しするくらいファッションに気を遣ってますし、クリスティーヌは田舎の農家出身と言うより貴婦人に見えますし、服装が違うとキャラの印象も異なるんだな~と感心しました。

宝塚版はファントムがカッコいい

 キャラ解釈と言えば、根本的に違うのがファントム(エリック)のキャラ解釈。梅田版はWキャストですがどちらの解釈もファントムの性格はかっこよくありません。そのかっこよくない、人間的なファントムがかなり好きなのですが、宝塚はも~~カッコいい!そもそも「醜い顔」のはずなのに普通に観客に顔を見せるしその顔もカッコいい。ていうかただのカッコいい痣に見える。
梅田版は母親の愛を求めてるのが根底にあって子供っぽい雰囲気があります。Wキャストの片方は完全に中身子供って感じでした。だからこそ同情してしまう。
けど宝塚版は違う。若干子供っぽい要素はあるのですが、宝塚だからこそカッコいいイケメンの影がある男!という感じ。ファントムは恋愛に振り切ってる感じがするんです。あと結構暴力的で自己主張激しいです。最初の殺人は「顔が見られたから」と言うより自分から殺しに行ってるし、クリスティーヌを近くで見守りたいがために途中でいきなりオペラの指揮者になりだすし、シャンデリア落とすし。この辺めちゃくちゃ面白くて笑ってしまいました。なので全く同情できなかったな。
ストーリーは一緒のはずでも解釈によってここまで差が出るファントム像。これがめちゃくちゃ面白かったです。

宝塚版クリスティーヌもかなり異なる

 ファントム以外に意外なキャラ解釈がもう一人。クリスティーヌです。
宝塚版は貴婦人みたいなクリスティーヌ。梅田版よりファントムと距離が近い印象で、さらに流されやすい雰囲気でした。しかしクリスティーヌ自ら望んでファントムの顔を見た時、宝塚版では悲鳴をあげて即逃げます。……えーーー!?悲鳴あげるの!?梅田版では「怖いんだけどなんとかその場にいようと努力してでもダメだった、逃げてしまった」感があり、宝塚版は「無理無理こわいこわいこわい!」感がものすごく伝わってきました。
 ちなみに宝塚版と梅田版、同じ人が演じているのにこの差があります。数年で解釈がものすごく変わってる。面白いな~!

 また、宝塚版はファントムと距離が近い(恋人みたいな雰囲気)のため、途中でフィリップと恋仲になった時は雰囲気に流されたのかな……と思いますし、「あなたを愛してるから顔を見せてくれ」とファントムにお願いするシーンも雰囲気に流されたのかな……となります。宝塚版は恋多き女って印象でした。梅田版はたぶん母性なんですよね。アプローチが全然違う。

知らないキャラ・シーン・セリフがある

 宝塚版を観て「知らないキャラやシーンやセリフがいっぱい……」と驚きました。おそらく、宝塚版の方が元の脚本に忠実なんだと思います。あと翻訳家さんも異なるのでセリフのニュアンスも結構異なります。
個人的には梅田版のが好き。いらない要素をそぎ落としてわかりやすくしてる感じがありました。

エンディングが異なる

 おそらくオリジナルのエンディングが足されています。梅田版も宝塚版もファントムの願いにより父親の手にかかり、クリスティーヌが見守って死ぬところは一緒。けれど宝塚版はその後、地下に訪れたクリスティーヌがファントムを偲んでいると復活します。これが幽霊になって名実ともに幽霊になったということなのか、それともクリスティーヌが見た幻覚(ファントム)なのかはわかりません。けれどクリスティーヌの中ではファントムは復活する。これが面白い!

宝塚版はショーがある

 ファントムの作品が終了したあと、お祭り空間みたいな、エンドロールみたいな形でショーがあります。宝塚は基本、ミュージカルとショーが一体になっており、話が長いものだとこういうエンディングソングのような形でショーをするっぽいです。作中の歌を歌いながら色々な人が色々な服を着て出てきてくれます。これがお祭り感あって好き。


■ まとめ

 宝塚版も面白かったです!演出やキャラ解釈によってまさかここまで変わるとは。ファントムがもっと好きになれました。見せてくれてありがとう宝塚!

備忘録用メモ。Twitterでの実況です。


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