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たったひとつのことをすると。

「アイデア」ということばをね、
口で言うのはかんたんだけれども、その
「アイデア」を、実際に
考え出すのはとってもむつかしい。

「アイデア」とは何か?
というのを考えるとき、
ぼくが真っ先に思い出すのは、かつて
任天堂の宮本茂さんが言われていたという
【アイデアというのは
 複数の問題を一気に解決するものである】
ということばです。つまり、
「アイデア」とは、なにかしらの
「問題」を「解決する」ものであり、
そして、なおかつ、
「複数の問題」を「一気に解決する」ものである。

「問題」とは言っても、ここでは
学校のテスト等で解くような問題ではない、と思う。
学校のテスト等の問題は、解くときにおいて
「解決」とは言わないから。それは、
言うとすれば「解答」でしょうか。
そして、その「解答」が
当たっていたら「正解」となる。

「問題」とは、この場合においては、
ある困難を良いふうにしたい、
みたいなことだとは思うけれども。
前回noteでも申しましたWEBサイト
「ほぼ日刊イトイ新聞」での平成19年9月連載の
岩田聡さんと糸井重里さんの対談の中でも、
宮本さんの言われていたという
【アイデアというのは
 複数の問題を一気に解決するものである】
についてお話しされておりました。

以下、引用を申しあげます。。。

岩田 あれは、ゲームをつくってるときに、
   宮本さんが言ったんですよ。
   ですから、宮本さんは
   ゲームをつくるときのひとつの方法論として、
   おっしゃってたんですけど、
   わたしは、ゲームづくりに限らず
   万能な考え方だと思うんですよね。
糸井 そうですね。
岩田 どんなものでもそうだと思うんですけど、
   なにかをつくるときって、
   「あちらを立てればこちらが立たず」
   という問題がつねにあるわけです。
   だから、なにかのことに対して、
   「こうしたらよくできる」
   「こうしたら悪くなる」
   という選択があるわけですが、
   現実になにか商品をつくるときには、
   「ひとつだけ困ったことがある」という
   恵まれた状態になることなんてまずなくて、
   あちこちに困ったことがいくつもあるんです。
糸井 はい、はい。
岩田 それは、商品だけじゃなくて、
   組織もそうだし、対人関係もそうだし。
   そういったことに対して、
   「これは、こうだから、こうしたらいいんです」
   って、ひとつだけ改善したとしても
   全体を前進させることはできない。
   ひとつ努力してよくしたとしても、
   なんらかの副作用が出てきますし、
   いままでうまくいってたことが
   うまくいかなくなったりもします。
   だから、アイデアを出す会議などで、
   「この問題をどうしよう?」
   ということを話し合っているときに、
   当然いろんな人がいろんなこと言うんですけど、
   たいていそれは、ひとつの問題を解決するだけで、
   ほかの問題を解決させるわけではない。
   つまり、汗をかいた分しか前進しないんです。
糸井 もう、おっしゃるとおりですね。
岩田 で、ゲームの話に戻っていうと、多くの場合、
   おもしろさが足りなくて悩むわけです。
   当然ネタがたくさん仕込まれてるほど、
   おもしろいわけだし、人は満足してくれる。
   でも一方で、つくるのに割り当てられる
   人材の量や時間は有限です。
   有限の中で「多いほどいい」って言われたって、
   解決できないわけですよね。
   でも、ときどき、たったひとつのことをすると、
   あっちもよくなって、こっちもよくなって、
   さらに予想もしなかった問題まで解決する、
   というときがあるんですよ。

『任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。』第1回より

つまり、あらゆる困難な状況において
「ひとつだけ困ったことがある」
という場合なんてなくって、
あちこちに困ったことがいくつもある。
そんなときにたいてい言われるような考えとは、
そのうちのひとつの問題を解決するだけで、いわゆる
「あちらを立てればこちらは立たず」とすれば、
あちらを解決したとしても、
こちらは解決できてなかったり、もしくは、
あたらしく問題が発生してしまうこともある。

そんなときにね、でも、あるとき、
たったひとつのことをすると、
あっちも、こっちも、さらに
予想もしなかった問題までも解決できてしまう。
このたったひとつのことが「アイデア」である、と、
宮本さんや岩田さんはお話しなされていた。

このことを読んでから、ぼくも
「アイデア」というものを、
あらためて考えるようになったのですが、
そうとは言ってみても、それ以来、
ぼくは、真の「アイデア」を
考えつけたことなんて一度も無いやもしらないか。
でも、思うのはね、
「アイデア」を考えるうえで大切なのは、まずは
「問題」に着目すること、そして、
「問題」をひとつずつ解決しようとするのでは
「あちらを立てればこちらは立たず」なのだと知ること。

そんなことをね、日々、思えたいなあ〜。

この対談の回でもお話しされているですが、
ほんとうの問題とは何か?
というのを、考えられるようであれたい。

令和6年4月5日


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