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街角で食パンをくわえた転校生にぶつかることはあるのか

 漫画やアニメ、映画をみていると、「現実でそんなことにならないだろ。」と思うあるあるの演出に出くわすことがある。

 例えば、私はこの世に生まれて24年、一度も食パンをくわえて走っている高校生を見たことがない(高校生に限らず)。あるいは、好意を寄せている異性とのデート中、あまりの幸せさに夢と現実の区別がつかなくなってしまい、頬をつねって夢でないことを確かめるシーン。または、空手の都大会で優勝した女子高校生が、近距離の銃弾を避ける演出。

 こういう演出が出てくると「ちょっと、(演出が)くさいな。」と思ってしまう。

 そもそも、遅刻ぎりぎりの人間は朝食なんて食べないし、夢を現実と間違えるならまだしも現実を夢と間違えることは実際には考えにくいし、井上尚弥であっても銃弾は避けられないであろう。

 しかし、「そんなバカな」と思っていた漫画等の演出を、先週の私は体感したのである。

 通常、私は6:15に起床して朝食、身支度等をして、7:20に家を出て職場に向かっている。職場到着は8:00過ぎ。始業までの20分間弱を、その日の準備などの時間に使っているのが毎日のルーティーンワークになっている。

 ところが、その日の起床は7:31。全身から血の気が失せて、血の気が引くとはこのことかと妙に関心をしつつも、遅刻は免れない時間である。

 急いで、洗顔を済ませて着替えを行い、10分もかからないで家をでた。朝食はおろか、水分すら口にしていない状況。この日は髪の毛がまとまっており、セットの必要がなかったことが不幸中の幸いである。

 家を出て、なかなか刺さらない家の鍵にイライラしつつも、急いで車に飛び乗る。ふと、隣の駐車場をみると、いつも出勤の時間がほぼ同じで、かつ同業者であろう人の車が停まっていた。おそらく、その日は出張か何かで出勤時間がいつもと違ったのだろう。なにも気にすることはないのだが、起きて10分も経っていない私である。

 私は、大真面目に自分の頬をつねった。


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