見出し画像

竹村公太郎『日本史の謎……』

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで公開してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。

(文字数:約1300文字)


  『日本史の謎は「地形」で解ける』
  著者:竹村公太郎
   (2013年初版 2017年第30刷 PHP文庫)


 いや高校時代から普通に疑問だったんだ。
 なぜ文系を選択しなければ、
 「地理」に「地学」が受けられないのか。

 地形に気候があって植生が生じて、
 植生に応じた生活をしていくうちに育まれるものが、
 宗教であり芸術であり歴史ではないか。
 地理・歴史・芸術は、
 もうどうあったって不可分ではないか。
 なぜそのように無慈悲かつ無謀な分類を設ける。

 分割して表面のみをなぞっても、
 面白くないばかりが本質としては、
 何事も分からないぞ。
 もっと困るのは本質的に何も分かっていないものを、
 大学に受かった程度で、
 ひと通り把握したかのごとく弁えてしまうぞ。

 というよりもさては包括的に把握し教え切れる者は、
 もしかするとそれほど多い人数いないな?

 と諦めて長年自己流の独学を貫いてきた中で、
 久し振りに胸がスッとした歴史書です。
 せやねん。
 せやからわて言うてたやないか。
 (いや公式に言うてへんから無駄やけどな)

 全部で18章ある中で、
 偏光感覚で特に面白かったベスト3:

  1、半蔵門は本当に裏門だったのか
    ある意味これがメインくらいの尺を取ってるけどね

  2、なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか
    関西圏に住んでいると、
    「あ。そりゃ焼くわ」感がすごかった。

  3、実質的な最後の「征夷大将軍」は誰か
    納得するかどうかは別。

 惜しむらくは関東出身の、
 建設省・国交省を経た、
 インフラ専門家である筆者様でございますが故に、

 九州は限界集落出身の、
 肩書き的に主婦の身には、
 メンタリティ的に同意しかねる点が、
 多々見受けられますが、

 それはそれとして興味深い。

 最も興味深かったのは「征夷大将軍」だったんだけども、
 「農耕民族VS狩猟民族」の解釈と結論は、
 農村出身の私とはだいぶ違う。

 もはや日本人、農耕民族ちゃうやろ?
 ってか世界中の主要都市は要するに、
 形を変えた狩猟・採集民族が支配してんのやろ?
 聖書は農耕民を永遠に呪われた民にしてしもうたからな。

 上記ベスト3には入らなかったけども、
 胸に突き刺さった上えぐった文章を抜粋:

 他人とは、情報を共有していない人を指す。
 仲間とは、情報を共有している人々をいう。
 アイデンティティーとは、それほど難しい概念ではない。
 情報を共有する仲間への「帰属意識」がアイデンティティーである。

274ページの抜粋部分。改行は偏光が独自の判断で追加。

 ……無いわけだよ!

 これが国交省で退官までを長く勤めてきた方のお考えなら、
 国中どこを探しても、
 私にはアイデンティティーが見つからないはずだよ!

 あ。個人的には文章とか全く、
 嫌いじゃないです。

 ええ。ですから大部分は面白く読み終えましたよ♪

この記事が参加している募集

読書感想文

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!