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超高齢化社会、社会インフラの一つである医療をどう支えていくのか

こんにちは、株式会社ヘンリーの代表をやっております林(@rintaro_h)と申します。
弊社は、社会課題をビジネスで解決することを目指して作られた会社で、現在は電子カルテ・レセプトコンピューター(保険診療の金額計算を行うシステム)の開発販売を行っております。

前回は、現在の事業を始めた背景と、この事業を通じてどのようなことを成し遂げたいか第一歩を書いてみました。お時間ある際にこちらも見ていただけると嬉しいです。

今回は 、今我々が行っている事業がどのようにして将来の課題解決につながるのか、社会保障という観点から書いてみました。

現在の日本の社会保障システムにおける医療

皆様「社会保障」と聞いてどのようなことを想起されるでしょうか?厚生労働省では以下のように定義されています。

社会保障制度は、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットです。  「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」からなり、子どもから子育て世代、 お年寄りまで、全ての人々の生活を生涯にわたって支えるものです。  社会保障制度は多岐にわたり、国のみならず都道府県や市町村など、 様々な主体がそれぞれに役割を担い、連携しながら実施しています。

難しいですよね。実際、日本の医療は様々な形の社会保障システム・財源によって支えられており、できるだけ多くの方に医療へのアクセスが担保されるようにしています。

1961年に「国民皆保険」が日本に導入されて以降の日本の医療の基本的な考え方は、「医療保険」で基本的に国民の医療費の大半をカバーするという考え方です。つまり、皆様が普段「社会保険料」として給与の中から天引きされている、もしくは「国民健康保険料」として支払っているお金を財源として医療サービスが提供されています。

医療費支払の一般的なパターン(3割負担)

この社会保険、国民健康保険というものは強制的に全国民が加入し拠出するもので、税金とは別に取り扱われます。75歳以上の方は後期高齢者医療制度という枠組みの中で医療サービスをうけますが、抑えておきたい基本的な考え方として、「保険料を支払える人たちの支払ったお金で全国民の医療サービスを給付する」という点が挙げられると思います。税金は「公費」としてより補助が必要な方々のために使用されますが、あくまで補助的な役割と考えられます。

今後予想される課題

「保険料を支払える人たちの支払ったお金で全国民の医療サービスを給付する」という枠組みは基本的に、労働人口が増えて経済が成長していく前提に立って成立している制度です。

一方で、皆さん広く御存知の通り日本はこれから総人口が減少していく時代に入っています。総人口が減る中で65歳以上の老齢人口は2040年まで増え続けるので、これから20年近く「医療サービスを受ける人が増え、医療サービスを提供する財源が減る」時代となるのです。

とてつもない増加が予想される医療費

さらに、問題は財源だけではありません。日本は人口1000人あたりの医師の割合が他の先進国と比較すると極めて低く、平成20年以降継続して医学部の定員増加など医師の供給拡大の政策を図ってきました。しかし、上述した社会の高齢化のペースにこちらは追いついておらず、2024年から2033年の間に均衡を迎えるまでの間は医療需要に対し慢性的に医師が不足することが予想されています。

すなわち、これから日本は「医療サービスを受ける人が増え、医療サービスを提供する財源が減り、医療サービスを提供する人も足りない」時代となるのです。

Henryのアプローチ

こうした目の前に明確に立ちはだかる課題に対し、我々Henryは短期、長期2つのアプローチで課題解決に取り組んでいます。

短期の取り組みは、医療の業務効率化です。単純にサービス受給者と提供者のバランスがどんどん取れなくなるので、医療業界は業界全体を通して業務効率化を図る必要があります。一方で、前回の記事に記載したとおり、未だ紙カルテを病院全体でバトンのように回さないと業務が遂行できない病院が日本中に数多く存在します。求めやすい価格で使いやすい電子カルテを提供することでそんな病院を一つでも減らし、医療サービス供給の効率性を上げていくことが現在我々が取り組んでいるアプローチです。

医療現場のワークフローの中心であるカルテから業務改善につなげていきます!

長期の取り組みでいうと、「医療費そのものの拡大を防ぐ」という点です。医療費削減の取り組みは現在でもマイナンバーを活用して医療費の見える化などを行っておりますが、基本的にこちらで共有可能なのは明確に医療費として計上された記録だけであり、より詳細な医療データが記録された電子カルテの内容はつながっていません。

Henryは、レセコン一体型で電子カルテもレセコンのデータも保有している利点を活かし、匿名化されたデータを医療費と治療の因果関係の分析に活用したり、疾病予防に活用したいと考えています。
さらには、医師の方々と一緒に共同研究を行い、機械学習による創薬・診断補助等を開発していくことも視野に入れています。

実現には10年、20年といった時間がかかるかもしれないですが、先進国の中で超高齢化社会に初めて突入する日本で世界のロールモデルを作ることができれば、弊社のゴールであるノーベル平和賞にもぐっと近づけると思っています。

上述した医療データの共有は、長い間日本の中でも方針や解決策が議論され続けてきた内容ですが、中々根本的な解決策が見えてこなかった領域です。もっとこの話を聞きたいと思われた方は、是非ご連絡ください!
医療の未来、日本の未来について話しましょう!!


参考文献