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いま、病院業界の変革へ。楽天MVP、freeeで売上200億へグロースを経験した私の次なる挑戦

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

今回お話を伺ったのは、営業企画・マーケティングを担う藤井浩平さんです。

藤井さんは、新卒で楽天へ入社。その後、freeeを経て、24年2月にヘンリーに入社しました。これまでのキャリアを経て、どうして医療や病院の世界を次なるチャレンジの場として選択したのか、詳しくお話を伺いました。

「業界を変える!」と意気込むスタートアップが陥りやすい罠

自身のキャリアについて話す藤井さん

— ヘンリーに入社するまでの経歴を教えてください。

新卒入社した楽天ではECコンサルタントとして3年間で約300店舗を担当しました。出店者の方々と信頼関係を築きながら、販売戦略を提案する仕事でした。その後、法人や個人事業主向けにクラウド会計ソフトを提供するfreeeへ。マーケティング全般を担うチームを統括するなど様々な経験を積ませていただきました。

freeeで7年間勤めた後、24年1月からヘンリーの仕事を徐々に始め、2月から営業企画として正式入社しました。

— 税務や会計領域のSaaS事業を経て、医療系SaaSであるヘンリーに転職するんですね。

そうですね。freeeでも、税理士向けの事業展開もしていたので、特定の業種に特化するバーティカルSaaSの難しさを痛いほど体感していました。

例えば、会計の専門家向けに提案すると、彼らにとってはすでに使い慣れたソフトウェアや長い期間続いてきた慣習が存在するため、変化をもたらすような仕様には強い抵抗感を示す場面が往々にしてありました。

「古い慣習を打ち破るぞ!」と意気込むスタートアップが陥りがちなのは、従来のやり方にこだわる顧客の言動を「不合理」と決めつけてしまうことです。しかし、それはとても危険です。なぜなら、そこには根深い理由があるからです。

以前、決算書の作成業務に立ち会ったことがあります。スクロールを超高速に繰り返しながら膨大な仕訳を処理する現場を見て、私たちが提案する当時の製品では、この作業が実現しないことに気付きました。そうやって現場を知ると、顧客が従来のやり方を変えたくない理由が見えてきたのです。顧客の体験やニーズの本質を深く理解する重要性を肌身で感じた経験でした。

このときの学びは、医療従事者の方々へ提案するヘンリーの仕事においても大切にしたいと思います。

なぜ、バーティカルSaaSに挑むのか?


— ヘンリーに入社することを検討したきっかけは何ですか?

freeeは素晴らしい組織でしたが、規模の拡大と事業基盤の整備が進み、ここに居続けることが最善の選択かどうか、ふと迷いが生まれました。僕は仕事を通じて社会課題の解決をしたいと常々思ってきました。入社当初と比べ事業も安定し、優秀な人もどんどん入り、見通しが良くなったこともあって、これから僕に貢献できる場所はどこなのだろうと考え始めました。

そんな折に、ヘンリーの共同代表で、楽天時代の同期でもある林と、知人の結婚式で久しぶりに会いました。そこで転職を検討中と話すと「今こんな事業をしているんだけど、どう?」と声をかけてくれたのです。すぐに本気にはしませんでしたが、何度かオフィスへ遊びに行ったり、もう一人の共同代表の逆瀬川さんと会ったりするなかで、最終的にヘンリーへの入社を決めました。

— 業種特化SaaSの苦労を知りながら、転職を決断したのはなぜでしょうか?

たしかに、苦労を知るがゆえに、事業の難易度の高さが分かりました。その点は面接でもストレートに尋ねました。その度にマーケットや事業を細かく分析した上で、どんな戦略を描き、どの程度の実現性があると考えているのかを、代表の二人が丁寧に話してくれました。難しい挑戦のはずですが、前向きに語る二人の姿が印象に残っています。

そして最後の決め手は、新卒時代と比べて激変した林の存在でした。同期の頃はのらりくらりと仕事をしていたイメージだったのですが、ヘンリーの代表としてビジョンを信じ、周りを巻き込んでいる姿を見ていると、今の彼なら世の中を変えられそうだと思いました。

— とはいえ、不安はなかったでしょうか?

一度目の転職のときとは年齢も異なり、家族も増えたので人並みに不安はありました。でも最後は直感で決めちゃうんです。論理的にやらない理由を探せば、いくらでも見つかるので、むしろ「よく分からないが、おもしろそう」というワクワクする気持ちの方を大事にしています。

だって毎日8時間椅子に座ってつまらないと思うことをやり続けるのは嫌じゃないですか。10代の頃、家庭でも学校でも大きな悩みもなく過ごしていたのに、急に自分が何のために生きているのか見失った時期があったんです。でも僕が死んだら悲しむ人がいるのも分かっていたのでどうしようと。そのときに「人生を一度きりのゲームとして楽しもう」と決めました。

ゲームで一つの街にずっと留まっていたらおもしろくないですよね。だから、失敗しても、才能がなくとも、諦めずに進み続けようと自分と約束しました。不安はありましたが、ワクワクした気持ちが湧いてきたことが大きな決め手でした。

「異世界転生したような気分です」

ヘンリーに転職してからを語る藤井さん

— 藤井さんのキャリアの中で医療業界は初めてだと思いますが、どのようにキャッチアップしていますか?

大きく三つあります。

一つ目は、ヘンリーが過去にやりとりしたお客様との打ち合わせ録画映像を片っ端から見たり、実際に病院を訪ねて現場を見学させていただいたり、医療現場の一次情報にたくさん触れています。ヘンリーはそういったことがしやすい環境なのがありがたいです。医療現場を徹底的に知ることがまずは重要なので。

二つ目は、社内公開されている医療現場の業務フロー図から学んでいます。医療現場の仕事の流れが可視化できるようにプロダクトチームが整えてくれたそうです。ここまで整理され、社内で活用されるフロー図がすでに出来上がっていることに当初は驚きました。

三つ目は社内の推薦図書や厚労省のホームページなどを通じて、独学で医療業界について勉強しています。気になった本はすぐにAmazonで買うので、積読本がどんどん増えています(笑)。

— 医療業界ならではの慣習で驚いたことはありますか?

正直、驚いてばかりで、もはや「異世界転生」したような気分です。

例えば、紙カルテが全体の5割を占めると耳にしていましたが、実際に倉庫まで毎回カルテを取りに行く姿を見たり、先生が達筆でカルテが読めなかったり、いろんな場面を現場で見聞きすると、なかなか大変な世界に飛び込んだと思います。しかし、freeeで学んだように、電子化が進んでいないのにはきっと根深い理由があるはずなんです。

まだ日が浅いなりに僕が感じるのは、従来のソフトウェアは導入コストが高くて採算が合わなかったのだろうと。仮に電子カルテに変えて業務時間が2割早くなったとしても、導入に何億円もかかれば経営上やはり簡単に手は出せない。加えて、紙カルテの方が便利なケースもきっとあるのでしょう。新たなメディアのYouTubeも良いけれど、昔ながらのテレビにも良いところがある、という関係と似ています。

だからこそ、使いやすく、これまでと比べて桁違いに安価なヘンリーのプロダクトがあれば、こういった根深い理由にお応えできると思うんです。実際にヘンリーのようなプレイヤーを待ち望んでいたと話す医療関係の方々もいらっしゃるので、一緒に新しい流れをつくっていきたいですね。

本来10年かかったものを、もっと早く実現させたい


— ここまでご自身のキャリアを振り返ってどんなことを感じますか?

計画性はないですが、意外と一貫してるなと。『ブルーロック』というサッカー漫画に好きな場面があります。主人公がライバルに負けて、その敗北の理由をコーチが解説するシーンです。ライバルが偶然ボールを拾えるポジションにいたがゆえにゴールを奪われたと思っていた主人公に「運はどこにでも存在する物じゃなく、その場所にいる者にしか舞い降りない」とコーチが語ります。ライバルはボールがこぼれて来たらシュートを打てる場所にいたが、他の選手はそもそもシュートができない場所にいた、そこに勝敗を分けた差があると。

僕自身のこれまでのキャリアでも、チャンスがありそう、そこに何かあるんじゃないか、と感じる場所に根拠はなくとも飛び込んできました。そういう感覚こそ案外大事なんじゃないかと最近は思っています。

— 最後に、藤井さんの今後の展望を教えてください。

ヘンリーが医療業界を最速で変えていく存在になれるよう貢献したいです。それは時間との勝負です。政府も電子カルテを推進しているので、時間をかければその世界は確実に来るでしょう。ですが、高齢化社会は待ったなしなので、本来実現までに10年かかったものを、7年、5年と縮めて早く実現させたい。それこそ、ヘンリーで僕が生み出したい価値の一つです。

やはり、子供たちが大人になったときに少しでも明るい日本であってほしいんです。自分の子どもが生まれてからは特に強く感じます。次世代へバトンを渡すためにも「やってやるぞ!」と意気込んでいます。

インタビュー:中田達大


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。


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