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100周年企画にふさわしい、次の100年を見据えたプロダクトが誕生【LIXIL&ヘラルボニー】

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに、企業様とさまざまなカタチでコラボレーションし、社会課題の解決を目指しています。
 今回登場いただくLIXILとは、2022年より協創を開始。タイル名称統一100周年企画の一環として、LIXILオンリーワンの技術で作られる内装機能タイル「エコカラットシリーズ」に、ヘラルボニーのアートを起用していただきました。
 LIXILとヘラルボニーが出会ったきっかけや取り組み、成果や今後の抱負まで。タイル事業部事業部長・木野謙さんにお話を伺いました。

今回のコラボレーションで起きたこと

  •  主力商品を通して「多様性の尊重」を推進

  • ストーリーの力で営業のモチベーションが向上し、自発的な取り組みが生まれた

  • 100周年記念企画をより会社の価値観に沿ってより本質的でインパクトあるものに

100周年にふさわしい企画のひとつとして、コラボレーションタイルが誕生

――2年前、タイル名称統一100周年記念企画に協力させていただいたことから、コラボレーションがスタートしました。

 木野謙さん(以下、木野):はい。2022年にタイル名称統一100周年を迎えるということで、LIXILのDNAでもあるタイルについて盛り上げるためにも、3年前に私が所属するタイル事業部や営業部も含め、タイル名称統一100周年プロジェクトが立ち上がりました。

2014年の入社以来、弊社に大きな変革をもたらしてきた取締役・代表執行役専務・Chief People Officerのジン・ソン・モンテサーノにも、「思いっきりやりましょう」と背中を押されましたね。

そして、「インクルーシブな社会を目指すSDGsのメッセージをエコカラット*で伝えたい」というコンセプトでアイデアを出し合うなかで、「障害のある方のアートとコラボレーションしたらどうだろうか」という意見が出ました。それに対して、プロジェクト参加者全員が「それ、いいね」と賛成したのです。

 *湿度調整、脱臭、室内の有害物質を低減、お手入れ簡単という4つの特徴を持つ内装機能タイル 。

――その時点でヘラルボニーとコラボレーションしようというお話は出ていたのですか?

 木野:この段階で、障害のあるアーティストの作品を取り扱う団体や企業をいくつか検討しました。そのなかでもヘラルボニーは、コンセプトが非常に卓越していて、障害のあるアーティストの方々に利益を還元するビジネスのプランニングがしっかりできている点も高評価でした。

そして、満場一致でヘラルボニーに決まりました。

取締役のジンにも、ヘラルボニーとコラボレ―ションすることを伝えると、アートもD&Iのストーリー性という点でも「素晴らしい」と絶賛していました。そこからコミュニケーションのチームも参加して、鹿島アントラーズの内田篤人さんがこのプロジェクトについて宣伝してくれたりと、どんどん盛り上がっていきました。

――とてもありがたいです。内田さんにはプライベートでもポップアップショップやアート展にご来場いただきました。

木野:そうやって同時期に、社会でもヘラルボニーの認知度がどんどん上がっていきましたよね。

ヘラルボニーのアートを起用したエコカラットの試作品が完成し、社内審査が通ったタイミングで、ちょうどNHKのニュース番組でヘラルボニーの特集をしていまして。香取慎吾さんがヘラルボニーを心から応援してくださっていたんですね。それを見て、「このプロジェクトは絶対成功する!」とガッツポーズしたのを覚えています。

 ――番組内で香取さんは「ヘラルボニー!」と叫んでくださいましたからね(笑)。弊社としても、あのエコカラットにヘラルボニーのアートが起用されると聞いて、「これはすごいことだ」と盛り上がりました。6種類のアートを選んでいただきましたが、これはどのように決められたのでしょうか?

木野:弊社のデザイナーとヘラルボニーとで話し合いを進め、技術面で実現可能なアートを選んでいきました。

というのもこちらのタイル、30㎝角のタイル×8枚のセットで1面が完成します。

そのためこの1枚1枚のタイルにプリントして、8枚合わせたときに違和感なく、正確にアート作品を再現できるかどうかを検証する必要がありました。

さらに、それぞれの絵のコンセプトですね。作家さんの想いや、どういったバックグラウンドで描かれた作品であるかも参考にさせていただきました。

 ――タイルにアート作品をプリントするには、非常に高度な技術が必要と伺いました。そうして完成したものをご覧になっていかがでしたか?

6柄×2形状から選ぶことができる

木野: まず、純粋にアートとしてかっこいいと感じました。またLIXILでは、インパクト戦略において、「多様性の尊重」を優先取り組み分野の1つとしていますが、今回の取り組みは、商品そのものを通して「多様性の尊重」をメッセージとして伝えられる点も素晴らしいと思いました。 

一方で、タイルにこういった細かい柄を印刷できるのはLIXILのオンリーワンの技術であり、2018年に技術革新があったからこそ実現できたものです。

そう考えるといろいろな意味で100周年にふさわしい、非常にインパクトある商品になったと思います。

「提案していて楽しい」という営業の声も

 ――社内の反応はいかがでしたか?
木野:とにかく営業の反応が良いですね。エコカラットを提案するときに、ヘラルボニーのアートが良いフックとなってくれるという声が多いです。

また、従来弊社の商品をお客様に提案するとき、トイレが節水であるとか、機能に関する説明が多かったのですが、ヘラルボニーのストーリーやアール・ブリュットの素晴らしさをお伝えすることに、新鮮な楽しさがあるようで。「提案していて楽しい」という声も多く聞かれています。

 例えば、「夏の魔物」という作品。

「夏の魔物」小林 覚

こちらは一見線画のようですが、目を凝らしてみると、そこにはスピッツの「夏の魔物」という歌の歌詞が描かれているんです。お客様に「どこに字が書いてるかわかりますか?」と問いかけると、驚きとともに非常に良い反応が返ってくるそうです。

――ご自分で工夫を凝らして、素敵なプレゼンにしてくださったのですね。

木野: はい。また別のチームはリフォーム業者さん向けにエコカラットの提案会を開催したのですが、営業30人がおそろいのヘラルボニーのマスクを着けて臨んだそうです。お客様は、「え、これって何だろう?」と不思議に思い、エコカラットの説明を聞けば、その疑問が解消されるという仕掛けですね。

社員からこういう自発的な取り組みが生まれやすくなったのも、ヘラルボニーのストーリーの力だと思いますし、ヘラルボニーとの協創の成果だと考えています。

――素晴らしいです。社外の方々の反応はいかがですか?

木野:私たちにとってのお客様とは、ハウスメーカー、工務店、リフォーム業者、建築デザイン事務所などになりますが、皆さん本当に反応が良くて。あるハウスメーカーからは「自社の事務所に貼りたいから提案してほしい」と言われたり、これは半分冗談ですが、「うちで独占したいから、他社には営業しないで」と言われたり。予想以上の反応が見られるようです。
 
――お客様の反応が良いと営業の方も嬉しいですし、もっともっと提案したいと思いますよね。

木野:はい。結果的に営業のモチベーションの向上にも繋がっていると感じています。

アートを通じて、誰もが一緒に進める社会を目指す

――最近新築の家にアール・ブリュットデザインのエコカラットを設置してくれた方がいるのですが、お客さんが家に来ると必ずといっていいほど(エコカラットに目を留めて)「アート好きなの?」と聞かれるそうです。そこから自然に話が広がって、ヘラルボニー、そしてサステナビリティやD&Iの話をカジュアルに伝えられるとおっしゃっていました。 

木野:それは良かったです。従来のヘラルボニーのプロダクトは、アパレルなどのその時々に着用されたりするものが多かったと思います。対して、エコカラットのように、定常的に置いておくものが受け入れられるのか、少し疑問でした。なので今その話を伺って、今回のコラボレーションが非常に有意義だったと改めて実感できました。

 ――やはり「家」は特別な空間で、そこにずっと設置しておくということは、家族とも、訪れた人とも価値観を共有することになります。こんな素敵なプロダクトを作ってくださり、本当にありがとうございます。

最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください。

 木野: 先に述べた通り当初ヘラルボニーとのコラボレーションは、タイル名称統一100周年記念企画の一環でした。しかし社内外からの反響と期待感が大きかったこともあり、これからも共創を継続し、エコカラットに2024年には新たに2つのアートを追加することになりました。

弊社はタイル以外にもさまざまな住宅設備機器を取り扱っていますので、今後他のプロダクトでもコラボレーションを進めていけたらいいですね。

その過程で、弊社が掲げる「多様性の尊重」を叶え、ヘラルボニーとともに、すべての人の生活の質の向上に貢献していきたいと考えています。

 ――こうして自然と輪が広がっていくのは、とても嬉しいです。ご存じの通り、社会的には、D&I、ESG、サステナビリティが当たり前という雰囲気になっていて、人的資本の情報開示も義務化されています。でも私たちは、義務だからやるのではなく、「楽しい」「面白い」からやる。それによって社会が良くなる、という次の段階にチェンジしていきたいんです。それを一緒に叶えていけたらと思います。


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