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母みたいになれない。

私の母は18歳で結婚し、22歳で私を産んだ。

実家は飲食店を営んでいて、母はお店の手伝いもするし、帳簿をつけたりもするし、家計が大変なので朝からコンビニでバイトもするし、それから家事も普通にやってのける。

実家には弟が住んでるけど、父も弟も家事は一切しない。

母は口で頼んだり、指導したりするのが苦手ですぐ自分でやってしまうため、私含めて家族の家事スキルは全然上がらない。

新人バイトを育てたことがある人ならわかると思うけど、家事の指導というのは、新人バイトに仕事を教えるくらいめんどくさい。

パッと動けてしまう人は、家事は仕事でもないので、教える義務もないし、自分でやってしまうのだろう。

母はそういう人である。

私にはコンプレックスが沢山ある。

まず料理以外の家事が苦手なこと、自営業だから私も帳簿はつけなきゃいけないのに、そういった事務作業は泣くほど出来ないし、お金の管理も苦手で貯金も全然ないし、そして彼氏も出来ないし、付き合っても長続きしない。

ADD持ちなせいもあるけど、私は母が出来ることが何一つうまく出来ない。

子どもながらに、大人になったら自然と母が出来ることが自分も出来るのだろうと思っていた。

でも、成長するにつれ、母のように出来ず、レールからズレていくような気分になって、気がつくと自分は何も出来ないのではないかと思っていた。

今もたまに思う瞬間がある。

私はどちらかというと父親似で、父親は自我が強く、主体的に進めたい人間で、仕事人間である。

母に相談しても何か的を得ない返事ばかりだったけど、それもそのはず、母と私は全然違う。

本当は父親に相談した方がよほどいい答えが返ってくるのだ。

しかし、私は父親のことが苦手というか、同族嫌悪なのだ。

私はかなりのマザコンで、女の子には珍しいと自分でも思っていたけど、あまりに父親に似てるので、父親と同じく母親の存在が私も必要なのである。

母親似の男性ばかり好きになる理由もわかった。

自分の補完をする存在として母親を必要としているから、どこか父親が憎いのだろう。

私にはバイセクシャル的な性倒錯な傾向も自分に感じるが、それも母親が好き過ぎるからなのだと合点がいった。

娘だと思う瞬間に母とぶつかっていたけど無理もない。

母のようになりたいと思ってもなる才能なんてないし、実際母は私が羨ましいという、そういう関係なのだ。

自然に湧き上がる感情は変わらなくても、納得するだけで、心は落ち着くことがある。

だから私は、徹底的にメカニズムを考える。

母と結婚した父親が羨ましいし、私も母のようなパートナーが欲しい。

そう思うと、すごくクリアーになる。

母のことは参考にしなくてもいいし、なんなら相談しなくてもいいとすら思う。

親みたいになれる訳じゃないし、逆に自分が親を超えていることもある。

大人になっていくというのは、そういうことに一つ一つ気付くことかもしれない。

#エッセイ #日記 #ヒグチトモミ #母 #ADD #ADHD #ヒグチトモミのつれづれ日記



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