マガジンのカバー画像

映画

1,619
映画コラム 某ブログでも書いています。
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

東京の休日 145 〜【アフタヌーンティー】天空のロビーで薔薇の季節のお祝いを〜

まもなくやってくる 薔薇の季節。 それに先がけ 「ローズインスピレーション アフタヌーンティー」 を味わってまいりました。 その様子を今回はご紹介いたします。 会場は、 ザ・リッツ・カールトン東京 45階の 「ザ・ロビーラウンジ」。 天空のお城のように感じてしまうのは 広い窓からの眺めと ピアノの生演奏があまりに 麗らかなものだからでしょうか。 (演奏は、12:45~16:25となっております。) さて、今回の 「ローズインスピレーション アフタヌーンティー」の

シネマレビューと失踪 #1

叶が失踪した。 「メンヘラでごめんね」の丸っこい文字がもの寂しげに謝る。 遺書のような手紙を眺めながら、それにしても丸っこい字だなあ、とまるで緊張感のない感想を思い浮かべる。三枚ほどの便箋には謝罪と懺悔に加え、僕へのダメ出しの言葉が並んでいる。 自分が全部悪かったこと、あなたも少しは悪かったこと、それ以上に自分が悪かったこと、もう探さないでほしいということ、やっぱりあなたも同じくらい悪かったこと……が長々と書き連ねられている。 全てを読み終えた僕は短編小説さながらの読後

【ハードボイルド過ぎる高校生活へ】映画『BRICK ブリック』感想【ようこそ】

『BRICK ブリック』は学園モノとハードボイルドを掛け合わせた異色の青春映画だ。監督は『LOOPER ルーパー』、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン。主演は『500日のサマー』、『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョセフ・ゴードン=レビットがつとめている。 今やすっかり有名監督となったライアン・ジョンソンだが、長編デビュー作である今作もサンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞するほか多数の映画賞を受賞・ノミネートされており、既にその才能を発揮させ

【作品から読み解く】ちいかわを考察するVol.3【謎と作風】

ちいかわ、それは「なんか小さくてかわいいやつ」の略称である。イラストレーターのナガノさんによって生み出されたSNS発のキャラクターだ。 今や『ちいかわ』の人気は凄まじい。フジテレビ系列の「めざましテレビ」ではアニメが放映され、毎週何らかの新商品やグッズが発売している。 最近ではスマホ/PC向けゲームの『シャドウバース』とコラボをしたり、明星食品の『明星チャルメラ』のCMでタレントの本田翼さんと共演も果たすなど、その勢いはおとろえることを知らない。 「ちいかわ」がここまで

『デッドプール3』にヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンが登場する!もう観れないと思っていただけに、これは嬉しいニュース!『デッドプール3』は2024年公開ということでまだ大分先だけど楽しみが増えた!

12月16日公開『ケイコ目を澄まして』

【その美しさに魅入られる】映画『シルビアのいる街で』感想

『シルビアのいる街で』は2007年に製作されたスペイン・フランスの合作映画だ。監督はスペイン出身のホセ・ルイス・ゲリン。 この作品、あらすじはとても簡単。男が女をつけまわす、ただそれだけ。台詞もほぼない。果たしてそんな内容で面白いのか?と思う人もいるかもしれない。確かにアクションやサスペンスなどエンタメ的な面白さを期待したら肩透かしを感じるだろう。 そもそも誰かをつけまわすという行為自体アウトだし、自分がつけまわされる立場でも気持ちが悪い。だが、本作はそんな気持ち悪さを越

途中下車、サイレントヒル

ユニオン駅からナイアガラ方面に2時間弱。まだ午前中とはいえ、辿り着いたブラントフォード駅は突き刺すような陽射しに焼かれていた。さっきまで観光客で溢れていた電車内から一転、駅構内はしんと静まり返っている。 それとも、私だけ別の世界に降り立ってしまったのだろうか。何しろ、この町には恐怖に満ちた裏世界への入り口が存在するのだから。 2005年、大規模な開発を間近に控えたブラントフォードの中心街は映画『サイレントヒル』のロケ地として使用された。ゴシック風デザインの建物や狭い路地と

【悪人はいない】映画『ウェンディ&ルーシー』感想【ただ世界は不寛容だ】

仕事を探しにアラスカへ向かう最中のウェンディは、立ち寄った町で車が故障してしまう。足止めされ資金も少ないウィンディはスーパーで万引きをするが、店員に見つかり警察に捕まってしまう。長時間の拘留から釈放されたウェンディだったが、今度は愛犬のルーシーとはぐれてしまう。ルーシーを必死で探すウェンディだったが… 『ウェンディ&ルーシー』はケリー・ライカート監督によって2008年に製作された作品だ。『マリリン 7日間の恋』、『テイク・ディス・ワルツ』のミシェル・ウィリアムズが主演をつと

初めて観たゴダール作品は『気狂いピエロ』だったなぁ。 観終わった後「?」になったことを覚えてる。 しかし、今年は訃報が多い…

ジャン=リュック・ゴダール監督-逝去される

ゴダール監督の残したものは、大きい・・ 1960年公開の初期の代表作でもある「勝手にしやがれ」でフランス映画界にヌーベルバーグ(新たな波)を起こし、長年にわたり異端的な革命児であり続けた映画監督ジャン=リュック・ゴダール監督は13日、スイス西部の自宅で逝去された。91歳だった。フランス紙リベラシオンによると、スイスで認められている、死を選んだ人が医師処方の薬物を自ら使用する「自殺ほう助」により亡くなったと言うことだ。一部の関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と述べた。

わたしが映画として見た「Tokyo Summer」(公開されなかったプロット)

Mounties - Tokyo Summer https://www.youtube.com/watch?v=YAq1EUg15bk 8月は不思議な月だ。 時間の感覚がわからなくなるし、生死の境目もあいまいになる。 僕はベッドで目を覚ます。寝る前に見た天気予報は酷暑を告げていたが、目を覚ました僕は長袖のシャツを着ている。 窓際では「彼女」が髪を乾かしている。 「ああ、またか。」 くたびれた顔でため息をつく。僕はまた、戻ってきてしまったのだった。 「君は本当に変わら

『ブラックアダム』新予告編&ポスタービジュアル公開

【棒と穴を巡るヘンな物語】映画『地下室のヘンな穴』感想

変な映画ばかり撮り続けているカンタン・デュピューという監督がいる。自我に目覚めたタイヤが人を殺しまくる『ラバー』や、鹿革ジャケットに異常なほどの愛情を持つ殺人鬼が巻き起こす惨劇『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』など…ね?変な映画ばかりでしょ? カンタン監督はフランス出身の映画監督で今年48歳になる。これまでも奇天烈な作品を世に送り出し、フランスで唯一無二の地位を確立している。 そんなカンタン監督が2022年に製作した映画『地下室のヘンな穴』もかなり奇天烈。「入れば半日時が進む