ドラゴン目黒仮

14:殻

これまでのDragon Eye

ーーーーーーーーーーー

 少女は走った。タマゴンがいる洞窟へ!村を出て森に入り買い物かごを放り投げ。必死で走る。

 しかし、森の中に入り少女の育てる野菜畑を少し過ぎたあたりで失速し始める。街から洞窟までの距離を全力で走れるほどの体力を持ち合わせた人間などいるはずがないのだ……。

 それでも少女は足を止めなかった。体力を回復させながら少しでも早く洞窟にたどり着こうと一歩一歩足を前に出していく。

 少女は歩きながら森の中を観察した。そしてすぐに森の中の異変に気が付いた。動物たちの気配が全く感じられなかったのだ……。

「森が……静かすぎる……」

 少女がそう呟いた瞬間、静かな森の中に聞きなれない音が響いた。ガチャ!ガチャ! 音が耳に入ると同時に姿を少女は姿を隠した。少女は音が聞こえた方向を確認する。そこにはいたのは10人ほどの軍人だった。

 もう森の中を捜索してるの! と驚いた少女は身を隠しながら洞窟へ向かく速度をまた上げるのだった。その時の少女の耳には軍人たちの会話は耳に入っていなかった……。

「いいかお前ら!明日の本軍の到着までにこの森を一通り捜索し、ドラゴンがいそうなポイントに目星をつけておく!発見しても戦闘はしない!その場合は本軍の到着を待ち、合流後全軍をもってこれを退治する!いいな!」

 隊長らしき人物が部下たちに現状把握を兼ねた声をかける。

「了解であります!」

 部下たちが声をそろえて返事を返した。その時、彼らのすぐそばを1人の少女が通り抜けた! しかし、そのことに気が付く軍人は誰もいなかった。

 そこからの少女は一度も止まることなくタマゴンがいる洞窟まで走った。何度か勢いあまり転んでしまったが、すぐに起き上がりまた走り出した。

 少女が洞窟に着くころには彼女の服は泥だらけで、呼吸は荒れに荒れていた……。

「ハ~ハ~ハ~ハ~」

 少女の呼吸が洞窟の中にまで響いてるような感覚に襲われる。ドクン!ドクン! と心臓の鼓動もいつもの何倍もの大きさで少女の体内で鳴り響いていた。

 少女は洞窟の入り口で足を止めて呼吸を整えていた。それと同時に気持ちも整えていた。日は少し傾きかけていた。後ろから太陽の日を浴びて、少女の影が洞窟の中の黒に吸い込めれていく。

 「こんなに真っ暗だったかな……」と囁いて少女はまた大きく息を吐き出す。

 呼吸はまだ完全に整っていなかったが少女は洞窟の中に入っていった。そこからはいつも以上に慎重に少しずつ前に進んで行く。まるで初めて洞窟を訪れた時のような速度で……。

 少女はついにタマゴンが眠る洞窟の奥にたどり着いた。しかし、そこにタマゴンの姿はなかった。少女の目にはいっていたモノは……。 

 バラバラに砕け散った……卵の殻。

 そして……小さなドラゴンがそこにいた!

読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。