11:あなたの名前は……
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大きな影の中で少女は息を殺し、固まっていた。
影は全く動かない。ただ、その場で動かずに少女を覆っていた。
顔を上げてその影の主を確認しようとしたが、恐怖が邪魔をして顔を上げるという簡単な行動すらできなかった。
極度の緊張の中、呼吸を長く止めることが難しいことは誰でもわかる事だろう。
少女はギリギリまで呼吸を我慢していたが我慢の限界はすぐに訪れた……!
「ハーハーハーハー!」
止めていた反動でいつも以上に呼吸音が大きくなってしまう。
洞窟の中に少女の呼吸音が響き渡る!洞窟の中を反響して隅々まで響き渡っていった!
少女は覚悟を決めていた。こんなにも盛大に音を出しているのだから影の主も少女を無視することはないだろうと……。
しかし、影は……影の主は動かなかった。
何故?と疑問に思う少女。
答えを知るには頭を上げるしかなかった……。
少女は意を決して頭を上げ、影の主を確認しいた‼
そのにいたのはドラゴン……では……なかった‼
そこにいたのは……いや、それは……。
「たまご?」
少女の目に入ったモノは大きな大きな卵だった。
少女はあまりの大きさに一瞬何なのか理解できなかった。確かに見た目は卵以外の何物でもないのだが、大きさがあまりにも規格外なので卵であるという確証が持てなかったのだ。
しかし、それは大きさこそ常識を逸脱していたが紛れもなく卵だった。
大きな大きな卵だった。
その時、ゴン!と鈍い音を立てながら一瞬卵が揺れた‼
同時に少女もビクン!と体を揺らしながら驚いた‼
「この卵……生きてる!」
少女は卵の中に生命が宿っていることに気が付いた。
それと同時にある疑問が少女の頭の中に浮かんだ!
「あなた……もしかして……あのドラゴンの卵なの?」
少女は答えが返ってくると期待して声を出したわけではなかった。自分の頭の中の疑問を言葉にすることでまとめたいだけだっのだが……。
その時、卵はまたゴン!と鈍い音を立てながら揺れた‼
あまりのタイミングの良さに少女は驚いた!そして、笑ってしまった‼
「ハハハ!やっぱりあなたドラゴンの卵なのね!今ちゃんと返事もしたものね!ハハハ!」
少女は笑いが収まると同時に卵が置いてある洞窟の中をもう一度しっかしと確認した。
どうやらこの洞窟はこの空間を最後に道は続いていないようだった。道は少女が進んできた一本道だけ!そして、この洞窟にはドラゴンの姿はどこにもなかった……。
少女は昨日のドラゴンの姿を思い出していた。並みの生物なら到底生きているのが信じられないほどの傷を負ったあの姿を……。
「あのドラゴンはもう……」
その時また卵が揺れた……。
少女は目の前にいる大きな卵を見ながら囁いた。
「私とあなたは一緒ね……どちらも、1人ぼっちだは……」と。
少しの間、沈黙が流れた……。
そして少女が突然ある提案をあげた‼
「そうだ‼あなたに名前を付けたあげる‼」
少女は卵に名前を付けると言い出したのだ!少し空元気にも思えたが確かに楽しみながら少女は考え始めた!
「そうね~~!あなた、ドラゴンの卵なのよね~」
また、タイミングよく卵が揺れる!
「あなた私の声が聞こえてるのw?少し待っていい名前を付けてあげるから!」
「ん~~……」とうなりながら少しの間考え込む少女!
そして少女が大きな大きな卵に名前を決めた‼
「あなたの名前は……タマゴン‼」
「ドラゴンの卵だから、タマゴンよ‼」
また卵が……いや、タマゴンがタイミングよく揺れた‼
「やっぱり私の声が聞こえてるのねw‼」
少女の笑い声が洞窟の中に響き渡った‼
読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。