火花

27歳。 日記、エッセイ、読書記録。

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記事一覧

小説 園 あとがき

こちらのあとがきは創作大賞2024へ応募するために書いた小説園のあとがきとして書かれたものです。 私はちょうどこの創作大賞2024の募集が公式から発表された時期に、鬱状…

火花
2日前
9

小説園書き終えました!読んでいただきたいです。お願いします!

https://note.com/hibanana/n/n28a300bf753b

火花
2日前
1

小説 園 第八話

相変わらず、エデンでの日々は意味の分からない問い合わせやクレームの嵐でストレスのかかるものであった。真辺さんに日々のストレスはどう処理しているのかと聞くと、枯れ…

火花
2日前
6

青春18×2君へと続く道を観て思い出した

サヨナラしたい青春が意外とみんなあるのではないだろうか。旅と恋と人生を描いた本作を観て、いつかの恋を思い出した。

火花
3日前
5

小説 園 第七話

僕の方から真辺さんを食事に誘ったことは自分でも意外だった。飲みに行きませんかと言ったところ、今度休みの日の昼に家に来るように言われた。お酒は数年前から飲まなくな…

火花
3日前
4

小説 園 第六話

真辺さんの穏やかで逞しい背中についていく。園芸担当の仕事は植物への水やりから始まる。 「大野さん、そもそもね、どうして植物に水が必要だかご存じですか?」 「水はね…

火花
3日前
5

小説 園 第五話

エデン町田店はJR町田駅からバスで20分走らせたところにあった。通勤手段が車でないとどうして車じゃないんですかと驚かれる。持っていないからだと答えたいし、購入費も維…

火花
6日前
3

小説 園 第四話

ツカツカと革靴の音が近づいて来て、すぐに店長だと分かった。半年も同じテリトリーで過ごすとそれが誰の足音か判別できるようになる。動き回る仕事だというのに、肩書きが…

火花
7日前
8

芽が出たよ

何かが変わればいいなと思ってまいたミニひまわりの種。芽が出たよ。

火花
9日前
10

小説 園 第三話

大学受験に失敗して、当たり前のように浪人生となった。高校時代勉強が上手くいってなかったことに向き合っていなかった。それに加えて高校から始めた硬式テニスが全く上手…

火花
10日前
6

小説 園 第二話

「大野さん、ごめん、クレームの電話なんだけど。いける?テーブルのパーツのネジ穴が潰れてるみたい。転送するね」 はあ、またかと思って嫌々電話に出る。 「お電話代わり…

火花
10日前
3

小説 園 第一話

「大野さん、ごめん外線でVU管のお問い合わせなんだけど出れる?」 「えっと、、VU管って何ですか?」 「調べたら塩ビパイプって出てる」 「塩ビパイプか、分かりました。…

火花
10日前
7

エッセイ どんなに悲しくたって別にいいよ

クリスマスに別れることなんてあるんだと思った。しかも振られた方ではなくて、自分から別れを告げた方だった。僕はもう会わないというのに、最後に手を繋いで歩いた。自分…

火花
2週間前
16

永遠

久しぶりに誘われたから誘いに乗った。新宿と聞いたから少しお洒落してチェックのセットアップを着てネオンが光る街に繰り出した。履く度に親指の付け根が痛くなるドクター…

火花
2週間前
5

車通勤じゃない人は初めてですね。 新しい店長は堤真一みたいな顔でぼそっとそう言った。そう、車を持っていないということ、そして車の運転に恐怖心があるという事実が僕…

火花
3週間前
4

やっぱりすこしさみしいね

異動があり、今の職場での勤務が残り2日となる。今日と明日で、たくさんのさよならがある。別なところで働くという実感がなかったのに、みんなが挨拶にくるものだから、さ…

火花
4週間前
6

小説 園 あとがき

こちらのあとがきは創作大賞2024へ応募するために書いた小説園のあとがきとして書かれたものです。

私はちょうどこの創作大賞2024の募集が公式から発表された時期に、鬱状態にありました。多くの人間との別れが重なる中で、孤独を感じるとともに、変わることのない自分と生活。何をしていても、楽しくない日々を過ごしていました。その日々の中で、小さなひまわりの種を植えました。きっかけは自分でも分かりません。何

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小説園書き終えました!読んでいただきたいです。お願いします!

https://note.com/hibanana/n/n28a300bf753b

小説 園 第八話

相変わらず、エデンでの日々は意味の分からない問い合わせやクレームの嵐でストレスのかかるものであった。真辺さんに日々のストレスはどう処理しているのかと聞くと、枯れた花や葉を取り除くように、嫌なことは自分の中から消すのだと言う。養分が意味のないものに費やされるのを防がなければいけないらしい。真辺さんのように簡単に消せるまでにはできないが、少し気持ちは楽になった気がした。それはミニひまわりの発芽が楽しみ

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青春18×2君へと続く道を観て思い出した

サヨナラしたい青春が意外とみんなあるのではないだろうか。旅と恋と人生を描いた本作を観て、いつかの恋を思い出した。

小説 園 第七話

僕の方から真辺さんを食事に誘ったことは自分でも意外だった。飲みに行きませんかと言ったところ、今度休みの日の昼に家に来るように言われた。お酒は数年前から飲まなくなったらしい。お互いが休みの日に僕は真辺さんの自宅に足を運んだ。予想通り立派な庭があって、たくさんの植物が植っていた。桜、藤、朝顔、マリーゴールド、ペチュニア、ナデシコ、デイジー。真辺さんは家の縁側に腰を掛けぼうっと庭を見ていた。
「真辺さん

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小説 園 第六話

真辺さんの穏やかで逞しい背中についていく。園芸担当の仕事は植物への水やりから始まる。
「大野さん、そもそもね、どうして植物に水が必要だかご存じですか?」
「水はね、光合成に使われるんですよ。水と二酸化炭素を原料に炭水化物を作って、酸素を放出するんです。なかなかやりますよね」
真辺さんは僕の答えを聞く間もなく答えた。ホースリールからホースを伸ばして、ポットの苗にまんべんなく水を撒いている。
「水はね

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小説 園 第五話

エデン町田店はJR町田駅からバスで20分走らせたところにあった。通勤手段が車でないとどうして車じゃないんですかと驚かれる。持っていないからだと答えたいし、購入費も維持費もないからだと答えたいところであるが、本当の胸の内は、自分の過ちで、誰かの命を奪う可能性に多大な恐怖心があった。車のないつまらない男として生涯生きることと、人殺しの罪悪感とともに生涯生きることのどちらの恐怖心が重いのか、両者を天秤に

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小説 園 第四話

ツカツカと革靴の音が近づいて来て、すぐに店長だと分かった。半年も同じテリトリーで過ごすとそれが誰の足音か判別できるようになる。動き回る仕事だというのに、肩書きが足元をおかたくしていて可哀想でもありかっこよくもあった。

「大野さん内示。町田店」

そっと静かに店長はそう言った。一瞬動揺して、整理するのに二秒かかった。店長は残念そうでもあり、言い慣れている様子でもあった。この会社は異動が頻繁にある会

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芽が出たよ

何かが変わればいいなと思ってまいたミニひまわりの種。芽が出たよ。

小説 園 第三話

大学受験に失敗して、当たり前のように浪人生となった。高校時代勉強が上手くいってなかったことに向き合っていなかった。それに加えて高校から始めた硬式テニスが全く上手くいかずにもがいていた。中学で培った学力と、サッカーで経験した成功体験が気付かないうちに僕のプライドの高さを上げていた。国立大学の大学院を卒業していた父は勉強が疎かになるくらいなら部活動を辞めさせてもいいのではないかと母に言っていた。しかし

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小説 園 第二話

「大野さん、ごめん、クレームの電話なんだけど。いける?テーブルのパーツのネジ穴が潰れてるみたい。転送するね」
はあ、またかと思って嫌々電話に出る。
「お電話代わりました大野です」
「2人がけのテーブルをね、昨日買ったんです。そしたら椅子のパーツのネジ穴が潰れてるみたいなんです。これじゃあ組み立てられないんです」
「商品に不備がありまして大変申し訳ございません。そちらの商品お持ち頂ければ、新しい商品

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小説 園 第一話

「大野さん、ごめん外線でVU管のお問い合わせなんだけど出れる?」
「えっと、、VU管って何ですか?」
「調べたら塩ビパイプって出てる」
「塩ビパイプか、分かりました。出てみます」
「ごめん!お願い!」

「お電話ありがとうございます。ホームセンターエデン伊勢原店大野です」
「あぁすみません、3メートルのVP管って取り扱いある?」
事務の田崎さんが聞き間違えたらしい。相手の声質で気質の荒い若い現場仕

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エッセイ どんなに悲しくたって別にいいよ

クリスマスに別れることなんてあるんだと思った。しかも振られた方ではなくて、自分から別れを告げた方だった。僕はもう会わないというのに、最後に手を繋いで歩いた。自分勝手でわがままで最低だと思った。

数日前に彼女の家に何気なく遊びに行き、一緒に近所のパン屋で買ったパンを食べていた。せっかく買ったパンをトースターで焦がしてしまったのを彼女はケラケラ笑っていて、これだけ笑ってくれるなら焦がしてしまってよか

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永遠

久しぶりに誘われたから誘いに乗った。新宿と聞いたから少しお洒落してチェックのセットアップを着てネオンが光る街に繰り出した。履く度に親指の付け根が痛くなるドクターマーチンの革靴を履いた。少しほこりがかっているところが自分らしいと思って指で埃を拭いた。
中華料理を肴に久しぶりに酒を交わした。いつ会ってもその目を見ると好きかもしれないなと思ってしまうものだから、ずるい女だなと思う。それと同時にそんな単純

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車通勤じゃない人は初めてですね。

新しい店長は堤真一みたいな顔でぼそっとそう言った。そう、車を持っていないということ、そして車の運転に恐怖心があるという事実が僕にとって、男として価値を下げているのではないかというコンプレックスだった。
男に望まれるものに車と運転があると思う。いい車に乗っていればそれはお金を持っていることをすぐさま示し、例えいい車に乗っていないとしても、車の運転は求められる。そも

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やっぱりすこしさみしいね

異動があり、今の職場での勤務が残り2日となる。今日と明日で、たくさんのさよならがある。別なところで働くという実感がなかったのに、みんなが挨拶にくるものだから、さよならが突きつけられてさみしくなる。
会えると思えば会える関係なんかじゃなくて、行ったら会える、そんな関係は実は尊くて短い。教室のクラスメイトとか、職場の同僚とか、同じ空気を吸った回数だけ、さよならがさみしい。
自分の登場人物がどんどん増え

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