喫茶店のある日常

当店のスローガンめいたものがようやく決まった。
『喫茶店のある日常』。
日常の中の喫茶店でありたい、
そして、それを自らの日々としたい、
私のスローガンであり、ひばり珈琲のスローガン。

数年前から
自営業の先輩に、店のコンセプトやどうしていきたいかを紙にでも書いてごらんと、言われていた。
頭の中にあるのに、わざわざ書かんでも、と思いつつ
書き出してみると、案外難しい。

何を目指しているんだっけ?
店で私は何を実現したいんだ?
そもそもどういうふうに生きていきたいんだろう?

よく言われる、企業理念、経営理念、行動規範、みたいなのね。
存在意義、私がそれをやる意味、
どうやってそれを実現する?
どういう気持ちで働いていく?

多くの疑問が浮かび、
その時、ようやく

書く、書き出す、ことの大事さを
ふわっと実感した。

そして、3年経った今、
その時書いた、一枚のペラっとしたA4用紙を読み返している。

驚くことに、今とあまり変わっていない。
目指すものやしたいこと。

そして、実現できているかといえば。

実現し続けている途中、ともいえるが、
進んでるとは言い難い、
不完全燃焼。

去年の今頃始めた試みに、

「ひばりのお昼ごはん」がある。

来る人が安心して食べられる、
みんなが健康になる食事を提供したい。
外食を、空虚でなく、
一人で食べても、体も心も満ち足りた気持ちのできる体験
であって欲しい、
その時間を過ごせる場所が喫茶店であればいいな、

それには、ごはんだ!

そんな気持ちだった。

しかし、常連様はじめ、お昼ご飯を利用していただいた
大方のお客様の案じていた通り、半年足らずで終了。

私の体力や気力が持たなかったのだ。

お昼を提供しつつ、
喫茶の方の時間も邪魔しない、

昼の一度機に固まってしまう、
いつも座れる人が座れない、

しっかりと予約制が望ましいのだろうけれど、
それだと日常らしくない、
あくまでフラッと訪れて、食べてもらえて
珈琲だけの今までも喫茶のお客様も尊重して。

理想はあれど、体は一つ。
(アルバイトさんが頑張り屋さんだったので何とかできたが)

おいしかったと言われたり、新しいお客様が常連様になって
くださるたび、喜びを覚えたけれど

う〜ん、果たしてこの疲労感はなんだ?!

朝、焦って仕込みをし、ドタバタのまま昼を迎え
お弁当を作り、お昼ごはんの提供をし・・・

食べてくださる人の笑顔がそのうち見えなくなっちゃった。
来週の献立に追われ、仕入れに追われ、仕込みに追われ
提供に追われる。
常に全力を超えて走り続けて、なんか違うなと思った。

やりたいこと、だけど、
やり続けられることって何だろう。

やりたいことはやはり変わらない。
喫茶に来てくださる多くのお客様はもちろん、

珈琲と縁がない方、
店の前を通るだけの方、
そんな人たちの、日常の一部に入り込みたい。

みんなに少しずつ関わりたい。

その想いは変わらず、
欲張ったまま。

それから何か月かパワーチャージして、

今度は野菜。
以前野菜を委託販売していた時から、
野菜を売るって楽しいなと感じていた。

百円の大根でこんなに幸せな笑顔を見せてもらえるんや、
私も三百円くらいの果物で夜ご飯の後が楽しみになれる、

そういう心の温め方をしてくれる商材、一番短なもの、野菜や。  

実際は利益率がピカイチ安い、野菜という商材。
多くの人に止まられている。
儲からん、しんどいだけや。
少しやっただけでも、野菜でやっていく、のはこらどうやったら
できるんかいな、と疑問が浮かぶ。
でも楽しい。企業理念とも合致する。
気の済むまで進むぞ。


珈琲を毎日2杯飲む人はそこまでいないけど
野菜を一日2食摂る、これって普通なことだと思う。

用がなくても
少し覗いて行こうかしら?
そういう小さな動機でも足を運んでもらえる店作り。

そこで安心して働く人の場を作る、仕事づくり。

そのための働き方づくり。


当面の課題はこれだ。
つまり全部。




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