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vol.10 ジーンズの魔法 【ピリッとアクセントが効いた 枝豆わさびのおにぎり】

「大切に履きつづけていけるような、上質なジーンズが1本欲しいのよね」

友人がぽつりと放った言葉に激しく反応しました。わたしも同じことを考えていたから。


その友人と会うのはコロナ禍以前ぶり。会うといつもおしゃべりが止まらなくなるのと同時に、買い物モードが一瞬でトップギアに入ってしまいます。友人とは好きなテイストが似ていることもあり、一緒にショッピングすることが楽しくてしかたないのです。

そんな友人とさっそく、ジーンズ探しをはじめました。


直接触れることを忘れた数年間

わたしが気になっているブランドを伝えると、「それならこのセレクトショップに入っているよ」と情報通の友人。地方に住んでいると直接目にすることができない洋服が多くて、それだけでもう嬉しくなってしまいます。

何でもネットで購入できる日常は確かに便利。思えばここ数年は実店舗で買い物する機会が極端に減っていたんですよね。

家にいながらクリックひとつで欲しいものを届けてもらえるなんて、すごくありがたいのだけれど、心のどこかであっけなさも感じはじめていました。いくらおトクに手に入ろうとも、ポイントが多くつこうとも、なぜか満たされない謎の感情。まったくワガママなものだと自分で呆れてもいました。


実は今年の年始、手帳のウィッシュリストに「実店舗で素敵な販売員さんと出会いたい!」と書いていたのです。この人ならと思える販売員さんにアドバイスをいただいてみたいなって。

凝り固まった“自分好み”の世界に、ちょっと息苦しくなっていたのもあるかもしれません。


友人が連れて行ってくれたお店に足を踏み入れてみると、それはもう魅力的なアイテムがずらり。ワクワクしながら、お目当てのブランドを集めたコーナーに向かいます。

「あぁ、素敵。」ジーンズの色あせた感じとか、手触りとか、それこそ香りまで。スマホ画面からでは読み取れないナマの魅力を前に、じんわり感動が広がっていきます。……こういう感覚、すっかり忘れてしまっていたな。

お金を払って新しい洋服を迎え入れる。その過程において、ここ数年のわたしは効率ばかりを求めてしまっていたことに気づかされました。


人の熱感を目の当たりにしたとき

「そちら、限定品なんですよ。大胆なフレアが特徴です。」絶妙な距離感から、販売員さんがそっと声をかけてくれます。

少し話を聞いただけで、このブランドに詳しい方なんだろうなと感じるほど、彼女の説明はわかりやすくて的確。こちらが選びやすくなるポイントを、本当にさりげなく提示してくれるのです。

ご自身も愛用されているというアイテムについては、ほかと比べた履きごこち、シルエット、丈感などを実体験から教えてくれました。わたしのヘンテコな質問にも、根気よく惜しみなく知識を分けてくださる姿勢が真摯で。

「今日は見るだけ。なんなら後でネット注文してもよいのだし。」まだそんな風に思っていたわたしの心が、じわじわと開かれていくようでした。


そして思ったんです。この瞬間、わたしは人の熱量に心を打たれているのだと。

接客から、温度を感じていました。大勢に向けた広告ワードではなく、わたし個人に伝わるよう選んでくだった、その販売員さんならではの言葉。それは大幅なプライスカットでもなく、たくさんのポイント付与でもない、また違った種類の付加価値。

これから人生の一部をともにする洋服に、販売員さんの接客があたたかな記憶をプラスしてくださったのです。


背筋が伸びるジーンズの魅力

こうしてお気に入りのジーンズが、新たにワードローブに加わりました。

ジーンズってカジュアルな洋服なのに、履くと気分がシャンとするから不思議。

在宅ワークでラクな洋服ばかり選びがちだった日々にはかなりスパイシーです。姿勢や体型の変化がわかりやすいアイテムだと思うので、少しは緊張感を持たねばなと焦っています……。

自分の中でストーリーのある洋服が持てた喜びを、これからも大切にしていきたいから。

ジーンズと一緒に年齢を重ねていく。

新たな目標までできて、大満足の買い物体験でした。友人にもスペシャルサンクスを!


- ONIGIRI recipe -

おにぎりの具材としてもお気に入りの「枝豆」に、少しアクセントを加えた大人のおにぎり。ツンと鼻の奥を刺激する「わさび」と、食欲をそそってたまらない「マヨネーズ」は、ぜひお好きな量で調整してみてくださいね。


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