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上村一夫 噴出するエロス。「黄金街」

昨夜はこの悩ましきマンガのおかげでうまく眠れず
おかげさまで寝不足である。


現在Amazon unlimitedで無料で読めるので
昭和のエロスの聖水を思い切りかぶりたい方はおすすめ。


舞台は新宿ゴールデン街。

19歳の日疋倫太郎はピンク映画の助監督である。

彼が煩悩蠢くゴールデン街で出会った女たちの
性の生き様を映画を撮るように描いているのだが、


まあ、濃ゆい。。。。


主人公の倫太郎のお父さんは
10歳の少女を強姦、殺害した元エロ作家であり
現在無期懲役の服役中である。


この設定だけでも引くのだが、
複雑な家庭環境で育った割には
好青年に育ち、エロスに対して冷静な眼差しと
紳士的な自制心を持っており
映画監督を目指しているところが好印象。


しかも、彼と冒頭で知り合った女学生の少女は
オンザロックを飲みながら(←未成年)
彼のお父さんのやらかしたことに対して


「あたしにはわかるわ。。。
女はその頃が一番スケベエなんだもの。

完全なる娼婦の時代よ。。。。」


と言ってのける。


ハア❓(゚o゚;;

と突っ込んではいけない。


上村一夫を味わうには
現在のコンプライアンスを一旦消去させて
立場や年齢、地位や職業なんてものを超えたうえで


ただ目の前にいる女

目の前にいる男

として慈しみ、愛し、身も魂もすべてを
貪り尽くすような感覚を持って
味わうべきなのだ。。。


刃のような研ぎ澄まされた感覚を保ちつつも
普段放出してはならぬ抑えられた野獣性の開放を
マンガを通して見せつけられる。


オーガズムの果てのカタルシス。。。。


ザ、昭和、と一言で片付けるのは
本著に対して失礼であろう。



「自瀆。。。。‼︎

この美しい少女には
その言葉が一番美しい。。。。

それはオナニーでもなく
マスターベーションでもなく
ましてや手淫でもなく
自らを瀆す自瀆でなければならない」


上村一夫の真骨頂は
艶かしく妖しい光を放つ女性像と
登場人物たちの燻る内面を見事に活写させた
高い文学性にあると思う。

まるで読者をもゴールデン街に誘い
夜更けまで飲み明かし翌朝までガンガンと響くような
漫画である。(ちなみにわたしは酒は飲めない)


秘めた暴力性を孕みつつも
美しく残忍に仇花のごとく散ってゆく女たち。。。。


翌日使い物にならぬのを覚悟のうえで
真夜中の読書をおすすめしたい。


https://kamimurakazuo.com/book/golden/






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