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わたしの漫画が出来るまでー資料読みとノートー


現在、ある青年誌の担当さんに送ったプロットが通り
その制作準備をしています。

作っている作品は第一次世界大戦で
フランス軍に従軍していた画家見習いの少年と
軍人相手の娼婦との淡い恋のお話です。


実はプロットが通ったのは2月末で、
もう3ヶ月以上も経ってしまっているのです。。。

その間何をしていたかというと、
資料読みとノートとりをしていました。


果たしてこの作品が世に出るかは分かりませんが、
これから自分を叱咤するために
単発的ですが、マンガが出来るまでの過程を
紹介してゆけたらと思います。



まず、図書館からざっと当時の資料を借りてきてパラパラと
読みはじめます。

読むといっても、教科書みたいな内容のものは眠くなるので
自分の触手が動く本を選んでゆく。。。という感じです。


気に入った本は自分でも購入します。
購入先はAmazon、ヤフオク、日本の古本屋から。

「フランス人の第一次世界大戦」は、
当時の兵士や民間人、捕虜たちの手紙から考察した資料で
400ページ以上もの大ボリューム。
まるで映像のように当時の情景が浮かび上がるのは
著者の熱量の凄まじさと、当時の唯一の通信手段であった
手紙というあたたかみ所以かと思います。

洋書でも、画像が多いと良き資料になります。こちらはドイツ軍の軍服かな。
機関銃や大砲に関してはそれ専用の画像資料がまだ必要ですね。。。


並行して第一次世界大戦のドキュメンタリーや、映画もちょこちょこと
見始めます。

ピータージャンクソンの「彼らは生きていた」は以前、映画館で観ました。

カラー映像と、兵士たちの歌声が印象的で、とても感銘を受けた
ドキュメンタリーです。


映画を観ながら、ビビッときたシーンや
学べる部分はささっとメモをとってゆきます。

演出や、背景など、資料になるところはとっても多い。


YouTubeでも、フランスやドイツで製作されたドキュメンタリーを
見てゆきます。映像の世紀も。

また、「軍服」に関する資料も見始めます。
階級や所属部隊によって異なるところや、
背嚢の中身なども見てゆきます。


わたしはマンガを描く時、人物のバックグラウンドや時代背景が
確率していないと、筆が動きません。

足場がないと不安に感じるタイプなので
当時兵士はどういう風に過ごしていたか、
銃後と前線との乖離や葛藤、
塹壕での日常、後方勤務、負傷兵はどういう風に治療してゆくのか。。。
などなどを資料を通して追ってゆきます。


そこで、最もその光景が頭に入りやすいのは
従軍した作家の作品です。

レマルクの本著は本当に映像がまざまざと浮かび上がりました。

なかでも、レマルクの「西部戦線以上なし」は最も強い
衝撃と感動を受けました。

レマルクはドイツ軍の兵士として従軍しており、
この「西部戦線以上なし」の内容は元々は3倍もの量があったそうです。
そこから推敲を何度も重ねたため、非常に完成度の高い作品となっています。

亡くなった兵士に蝶がとまる。。。というシーンは
本著で登場するのですが、
大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」でも出てきますね。


これは、と思った本は、綿密に作品の模写ノートを取りながら読み込みます。

ノートを取ることで当時の息遣いがわたしの頭に刻み込まれてゆくので
この過程はかなりの根気を要しますが、
自分にとっては非常に大切な作業です。

自分もそこにいるかのような、憑依をさせていくことが
わたしが歴史にアプローチしてゆく方法です。

こちらはフランス軍の兵士として従軍したバルビュスの
「砲火」のノート。

ノートは赤文字で書いています。

資料を読んでいるときに、思いついたマンガのネタは、
すぐに青文字で書き留めます。
これが使えるかは不明ですが、一瞬の閃きはとっておきたい。


バルビュスについてはnoteで読書感想文も作りました。



包帯所の様子。兵士は負傷するとまず包帯所に護送され、野戦病院に移る。
突撃の様子。


背嚢に入れる持ち物は各軍、そう変わりはない。


そして、今日やっと上巻を読み終えた
イギリス軍に従軍したグレーブスの著作。

グレーヴスはパブリックスクールで生活し、将校として
戦地に入りました。

一介の兵士のレマルクやバルビュスとは異なる
いわば特権階級の身分です。

なので、将校の立場からみた戦場を知ることができます。

当時は将校と兵士は線引きがなされて、
休む掩壕も異なり、入る慰安所(娼館)も区別されていました。

真面目で堅牢なドイツ軍のレマルク、
抒情豊かな筆致のフランス軍のバルビュス、
皮肉めいたブリティッシュジョークを交えつつ高潔さを感じる
イギリス軍のグレーヴス。。。

どの著作も読んでいて熱中しました。

フランス女性は兵士にとっても、憧れだったんでしょうか。。。


こちらは戦場での娼館を知るためのノートとり。

前線と離れたところに慰安所が設置され、
兵士相手の娼婦は、将校相手の娼婦の10分1の金額で、
10倍の相手をさせられていたようです。。。

こういう部分も、漫画で描きたいと思っています。

ブックカバーは自分でデコパージュしたもの。
フランス語、全然わからん。。。。


資料読みは大抵喫茶店です。

スタバやキーコーヒー、イタリアントマト。。。
長時間座っても痛くならないソファがある喫茶店で、
一、二時間程度読んでいます。


けれど、毎日投稿している漫画の作画が時間がかかる場合や
子供が早く学校から帰ってくるときがとても多いので
なかなか資料読みの時間が取れないことがネックです。


また、今は物語の舞台を、一体どこに、何年にするかも
まだ決まっておらず、足場があやふやで不安に感じる
ところでもあります。


例えば日本だったら、1944年の戦争末期の大阪。。。だったら
住んでる国なので土地や風土、時代の空気がわかるのですが、

フランスのどの地域の、どの戦場。。。となると、
フランス語も分からず、現地にも行ったことがないので
まじお手上げ状態。笑


なので、結局日本人でも知っている人が多い戦いが
設定になってしまったりする。

そこのもどかしさを今感じているところです。

たぶん、自分がやってることって、
例えば「ラストサムライ」とか「サユリ」のように、
一体どこの地域の時代のサムライだよ。。。
芸者でも着物こんなに着崩して着ねーよ。。。

という外国からみた当地と現地のギャップとの
ツッコミが入りそうな予感がする気満々。。。。(゚o゚;;


。。。。こんな風に、
今はまだ何を作るかもわからない粘土を
こねくり回している状態。


次はいつになるかわかりませんが、
イメージボードが溜まればまたこちらで発表したいと思います。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます😊


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