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バークレーの思い出#12 弱者に優しい街・バークレー

 バークレーは弱者に優しい街でした。街には、多くのホームレスがいましたが、表立って排除されたり、手荒に扱われているところを見たことがありません。スーパーマーケットや本屋などの人の出入りが多い店には、決まってホームレスがいました。常連客とは顔なじみのようで、お互いに挨拶を交わしていたりするのをよく見ました。

 ホームレスの目的は、商品を買った後のお釣りの小銭をもらうことです。決まり文句は、「Donation, please.」です。直訳すると、「寄付して下さい」となります。ホームレスたちは、出入口の近くの邪魔にならないところに座っていて、プラスチック製のカップ(ヨーグルトの容器?)を置いています。このカップに、小銭を寄付してもらいます。

 私がアメリカに行ったのは四半世紀前くらいでしたから、バークレーに行く前は、近所でホームレスを見たことがほとんどありませんでした。そのため、バークレーで多くのホームレスを日常的に見る光景には驚きました。しかし1年後、日本に戻るとホームレスの増加が日本でも社会問題となり、新聞やTVで連日のように取り上げられるようになりました。

 ホームレスと同じくらい目についたのが、車椅子の人達です。車椅子は歩道を通りますが、歩道の終端は段差が無いように、どこも緩やかな傾斜になっていました。そのため、一人でも車椅子で行動しやすいようでした。バークレーでは、車椅子の人達も、健常者に混じって普通に生活をしていました。なので、バークレーでは、車椅子を見ても違和感を感じないようになっていきました。でも、二人乗りの車椅子で、「イェー」と言いながら元気よく暴走(?)しているコンビを見た時には、さすがにびっくりしました。

 意外に思うかもしれませんが、バークレーのアメリカ人は老人や子供にも優しく、当時は子供が小さかったので、子供を連れて散歩していると、よく話しかけられました。また、BART(地下鉄)に子供と乗車していた時も、必ずといっていいほど席を譲ってくれました。

 最近のバークレー事情を知りませんが、変わらずに弱者に優しい街であり続けて欲しいと願っています。

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