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ムダに教養がつくかも知れない不定期な雑学講座の連載(講義中は寝ないこと)~世界宗教の基礎知識3「キリスト教」をひもとく第1講          「聖書」の世界 その9

福音書のむすびに

キリストの復活の描写は、文学的な観点でいえば、
磔刑までの具体的な叙述に対し、めちゃ抽象的です。

 このあたりの「ノリ」が
いわば「宗教」の本質なのかも知れません
現実の「イエス」に対する、心からの「贖罪」と、
彼が言った「純粋な信仰」が、
その使徒たちに受け継がれたと言うことです。

すなわち、「あたしは罪深いバカだ」と、
心底自覚することから、本当の信仰が生まれると言うことです。

 ここで、イエスの教えは
「神の子=キリスト」の教えとして成立したといえます。

 さて、復活したイエスは弟子たちの前に次々と姿を現します。
そして、あらためて神の国についての教えを説いたのです。

 「死後、裁きを受ける」

という言葉は、キリスト教ではよく聞くフレーズですが、
実は当時のユダヤ人の根本思想の中に、
死んだ者は死者の国に行くと考えられ、
そこに行く前に一度復活して神の裁きを受けて、
どのような国に行くかを決められると信じられていました。

 ですから、イエスの復活の逸話も、
この時代の社会の中で、どのような展開になるのか。
そう言った意味でイエスが「神の子」であるという願望が、
当時のユダヤ人の社会の中にあったのかも知れません。

 宗教の成立過程は、社会学や心理学。
はたまた政治学のように、いろんな要素が絡んで
考察しうるものですから、このあたりは、
非常に興味深いです。

ともあれ、「イエスの復活」の逸話は、
イエスが人間から神になったことを意味します。

イエスの死によって、
人々と神との間に「新たな契約ができましたよ」という事になるわけです。その根拠としての記録(経典)が
新約聖書=新たなる神との契約の書。という形になるのです。

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使徒言行録

新約聖書には、いままでご紹介した
「福音書=イエスキリストの生涯や教え」の他に
弟子たちが、その後にどのような布教を行ったのかが記されています。

 その始まりがこの記述です。

 イエスが復活した後、50日たったあとのことでした。
十二使徒たちは最後の晩餐が行われた場所に集結します。

その時です、
突然激しい風が巻き起こり、炎の舌のような者が現れました。
そして、それはイエスの予言通り、精霊が一人一人に降臨したのです。
そして使徒たちは
世界中の国の言葉を話せるようになっていました。

 精霊の力に満たされたペトロは、
群衆に向かって説教を始めました。
まるで、イエスが憑依したがごとくです。

すると三千人もの人々が洗礼を受け、信徒になったのです。
 
 こうして、ペテロを中心とした、
神への信仰を中心とした共同体が成立していきました。
これがキリスト教会の始まりだと言われています。

そして、ペテロは「初代ローマ教皇」と位置づけられています。

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