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L.E.T.による対立解決ー「メソッドIII」と「価値観の衝突」の違いを理解することで無駄なエネルギーを使わない

 L.E.T.(リーダー・エフェクティブネス・トレーニング)において、非受容、私たちが問題を持つものとして、「メソッドⅢ」と「価値観の衝突」がありますが、異なるアプローチを提供しています。それぞれについて、私も過去に取り上げてはいますが、比較する観点で改めて取り上げてみたいと思います。これらの違いを理解することは、それぞれの概念が対処するニーズや状況を把握し、適切な解決戦略を選択するために重要になります。

 これらの違いは主に対立の性質、存在するニーズの具体性、および解決に向けたアプローチの違いにあります。

「行動の窓」においてはともに「非受容」「私たちが問題を持つ」領域

メソッドⅢ(No-Lose Method)

 メソッドⅢは「No-Lose Method」とも称され、双方の当事者がそれぞれ持つニーズを尊重し、双方にとって受け入れ可能な解決策を見つけることを目指す対立解決手法です。このアプローチでは、両方の当事者が具体的なニーズや要求を持っている場合に適用されます。メソッドⅢの解決策探索プロセスには以下のようなステップが含まれます。

  1. ニーズの明確化
    対立している各当事者のニーズを詳細に議論し、明確にします。

  2. 解決策の共同探索
    双方がニーズを満たす様々な解決策を共同で検討します。

  3. 解決策の評価と選択
    提案された解決策を評価し、双方が納得するものを選択します。

  4. 合意に達した解決策の実施と評価
    選ばれた解決策を実施し、その後の効果を評価します。

このプロセスは、対立を積極的に解決し、双方のニーズを同時に満たすための協働を促進することを目指しています。

価値観の衝突

 価値観の衝突は、具体的なニーズの衝突ではなく、個人の信念や価値観が対立している状況を指します。この種の衝突は、直接的な「解決」が困難なことが多く、異なる価値観を持つ人々が共存する方法を見つける必要があります。価値観の衝突を扱う方法には、以下のようなアプローチが含まれます。

  1. 価値観の認識と受容
    対立する価値観を認識し、それらの違いを受け入れます。

  2. 境界の設定
    対立を避けるために、どのように相互作用するかについての明確な境界を設定します。

  3. 相互理解の促進
    定期的な対話を通じてお互いの価値観を深く理解し、尊重し合う文化を育てます。

  4. 共存の道の模索
    異なる価値観を持ちながらも協力的に共存する方法を探求します。

 価値観の衝突では、直接的なニーズが対立するわけではないため、対立の「解決」よりも、どのようにして平和的に共存するかが重要な焦点となります。このアプローチは、異なる背景を持つ人々がお互いを尊重し、効果的に協働するための基盤を築くのに役立ちます。

まとめ

 「メソッドⅢ」と「価値観の衝突」の主な違いは「ニーズの具体性の有無」に関連しています。メソッドⅢは具体的なニーズが存在し、それを双方が満たす解決策を見つけることを目的としています。一方で、価値観の衝突は具体的なニーズよりも深い信念や価値観の違いに焦点を当て、共存の方法を模索するものです。ニーズもないのに無理矢理に解決をしてしまおうと思いがちですが、落ち着いて切り分けをして実践をすることで、無駄なエネルギーを使わずとも済むことも多いはずです。

異なる種類の議論に参加している2つのプロフェッショナルグループを描いています。一方では、「メソッドⅢ」のアプローチが示され、チャートや文書を使用して問題解決を図る様子が描かれています。
もう一方では、「価値観の衝突」を象徴するように、深い信念や価値観についての思慮深い対話が行われています。シーンは柔らかな画風で描かれ、協働的で内省的な表現に重点を置いています。


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