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僕はここにいるよ

小さい頃、僕はブランコが好きでした。
動いている景色の中にいるだけで安心しました。

ブランコに揺られている時、自分が前に進んだら、景色は後ろに流れ、後ろに進んだら前に流れる。その繰り返しは、まるで揺りかごに乗っているみたいに心地よいものでした。

空と地面の間を行ったり来たり。
僕は、体が前に進む時以上に、後ろに進む時の方が、より気持ちよく感じました。
いつも走り回っていましたが、前に走ることはあっても、後ろ向きのまま後ろへは走ることが出来なかったからだと思います。

体に感じる風を背中で受けながら、そこにある空気を分けていく。

「ここにいるよ、僕はここにいるよ」
自分という人間の存在を、僕は、この地球に知ってもらいたかったのです。


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