Yasutoshi Murakawa

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  • アイアンガール ULTIMATE WEAPON譚

    アイアンガール ULTIMATE WEAPON譚

  • 案山子とラケット譚

    映画『案山子とラケット』譚 http://www.kakarake.com/ 2015年4月4日 全国ロードショウ!

最近の記事

Green Lies

□タイトル『Green Lies』 登場人物 浜田 千晶(17) 高校三年A組 佐藤 真由(17) 高校三年A組 千田 美紗(17) 高校三年A組 石川優里子(17) 高校三年B組 木島 加奈(17) 高校三年B組 ○都立青島高校・A組教室 夏服姿の浜田千晶(17)が、四葉のクローバーが押し花された、しおりを見詰めている。 千晶「……」 佐藤真由(17)、千田美紗(17)と共に、居残り掃除をさせられている。 真由が歩み寄って千晶に、 真由「まだ、電話してないんだ」

    • 青々

      この記事は、月刊『シナリオ』7月号(2016年)に掲載されたものです。  最近、特に青臭い。シナリオ講座生時代、「人間を描け」と、口煩く言われた。僕は、人を開腹して、臓物を曝き出す様な真似の、何処が面白いのかと、聞き流していた。しかし、脚本でメシを喰うようになって、ようやく最近、その意味を肌で判り始めた気がする。要は、「興味深い人物」を描かなければ、作品が面白くならないのだ。曝き出せれば上出来で、魅力的な人物を、どう描くか。今更、青臭く考えている。まるで、講座生の頃の様だ。

      • 故郷と案山子

        この記事は、月刊『ドラマ』6月号(2016年)に掲載されたものです。  現在、昼ドラ『サギ師リリ子』以来、お世話になっている、児玉宜久監督と、福井県を舞台にした映画の脚本を創っている。  福井には豊かな自然があり、長い歴史と文化がある。何より、人が良く、第二の故郷にしたい程の思い入れを抱いている。  脚本は、緻密にハコを精査し、ようやく初稿を上げた所である。今後の取材や打ち合わせで、作品をどこまで成長させられるか、楽しみで仕方がない。  最近、地方に縁がある。  昨

        • 映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』

          ※このnoteは、月刊『シナリオ』2015年5月号「シナリオ作家通信」に掲載されたものです。 『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』が4月4日から全国公開される。  映画は「ソフトテニスの映画を作りたい」と云う、戸島正浩Pの情熱から始まった。脚本の依頼は、東日本大震災の復興支援で交流のあった、井上春生監督から頂いた。  最初の打ち合わせで、磯貝誠Pから「亜季と珠子を、映画『最強のふたり』にしたい」との提案があった。立場も環境も違う二人が、何かドでかい事を成し遂げる

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        • アイアンガール ULTIMATE WEAPON譚
          10本
        • 案山子とラケット譚
          8本

        記事

          アイアンガール ULTIMATE WEAPON

          この原稿は『月刊シナリオ』2015年2月号に掲載されたものです。 『アイアンガール ULTIMATE WEAPON』を脚本した。 1月17日より、全国で順次公開される。  ストーリー案決定までには、様々なアイディアが挙がっては消え、多くの時間を要した。  「マカロニ・ウエスタンで行こう!」元信克則プロデューサーが路線を掲げてからは、早かった。第一稿を上げて以降、大幅な変更もなく、実際に撮影可能か否か、現場の状況等を見据えながら、順調に準備稿に進んだ。  それでも、決

          アイアンガール ULTIMATE WEAPON

          亜季と珠子と青空と

           映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』の魅力は、佐渡島で撮影された雄大な自然。田圃と森の緑のコントラスト。そして、主演を務めた平祐奈と大友花恋の功績が大きい。彼女たちは初主演という大役を背負って、明るく前向きに役に挑み、カメラの前で常に亜季と珠子であり続けた。  主人公、小田切亜季は東京からトラウマを抱えて、島を訪ねた中学三年生。それは若さ故の現実逃避と云える。閉塞した都会の生活に耐え切れず、父の住む島に新天地を求めたのだ。亜季は学校や家庭でトラブルを抱えている

          亜季と珠子と青空と

          早乙女クリス(アイアンガールUW)

          荷物を担いだクリスが歩いて来る。 ケントが待っている。 ケント「どうしても、出て行くのか?」 クリス「見付けたいモノがあるのよ」 ケント「記憶か。何故、そこまで過去にこだわる?」 クリス「どうして、テツヤがアンドロイドになったのか? 自分がいったい何者なのか。知りたいのは当然よ」 ケント「テツヤは死んだンだ、お前は生きてる。それでイイじゃないか。ここで、仲間と未来を築こう。や、あの、俺自身、クリスと……」 クリスがキスでケントの口を塞ぐ。 ケント「……」 ク

          早乙女クリス(アイアンガールUW)

          KIDS=ZERO(キッズ=ゼロ)

          ★この文章は、月刊シナリオ 2014年11月号に掲載された記事です。  脚本を担当した『KIDS=ZERO(キッズ=ゼロ)』という作品が、10月18日より、池袋シネマ・ロサで公開される。  この企画は、キッズ・アクションを定着させ、日本アクション界の裾野を広げようという、高い志で始まった。しかし、志向は高いが予算が低い。どうすれば、面白い作品が創れるか、当初は頭を悩ませた。そして、正義の味方と悪の組織という「勧善懲悪」の図式を打ち破る作品に挑戦出来ないかと考えた。それなら

          KIDS=ZERO(キッズ=ゼロ)

          村の仙人

          鏡八重という女性は、とてもチャーミングな女性だ。島で生まれ育ち、その土地に根を張って今まで暮らして来た。夫を亡くしてからは一人暮らしだが、山菜を採ったり、宅配の惣菜を注文したり、挙句は災害時の広報スピーカーまで設置して、人生を楽しんでいる。 八重婆から見れば、島を襲う高齢化、過疎化への対応に、手をこまねいている若者たちを、焦れったい思いで見ていたに違いない。しかし、村人たちも日々の生活に精一杯で、彼らに責任は問えない。問題は深刻の一途を辿るばかり。そんな時、八重婆は亜季と珠

          一生の宝物

          亜季と珠子は、廃校のグランドをソフトテニスのコートにしようと、草毟りを始めた。体育館に有った万国旗をネット代わりにして、コートもどきを作り練習を始める。 それを見守っていた村の仙人こと八重婆が声を上げ、村長にまで談判する。やがて、亜季と珠子の情熱に突き動かされた大人たちが、コート作りを手伝うようになる。そして、少女たちだけでは決して成し得なかった、本格的なソフトテニスのコートが完成した。 「努力は必ず報われる」真っ赤な嘘である。 世の中を生きて来た大人たちは、それを痛い

          泥だらけの青春

          「作っちゃおう、コート!」珠子が突拍子もない事を言い出した。 珠子は東京に行きたいが為に、亜季を誘ってインターハイを観戦に行き、その魅力にノックアウトされる。最初は亜希からソフトテニスを教えて貰うだけの約束だったが、練習場がないためコートを作ろうと珠子が提案した。 亜季と珠子は、真夏の陽射し照りつける校庭のグランド整備を始める。汗にまみれ、泥だらけになって、草を毟る中で、亜季のソフトテニスへの想いが次第に再燃して行く。 珠子「何か、思い出す。あの時の、インターハイの興奮

          泥だらけの青春

          やるしかないよね?

          ソフトテニスにトラウマを抱えていた亜季は、家庭の問題もあって傷心し、父が住む島へと移り住んだ。学校で出逢った珠子に巻き込まれる格好で、ずるずるとラケットを握る破目になる。 やがて、亜季はトラウマと向き合う覚悟をする。 「やるしかないよね?」人生からも逃げていた亜希は、ソフトテニスを始めることで新たな一歩を踏み出した。 経験者に話を訊くと、コートの上では対戦相手ではなく、自分との戦いだという事が判る。ソフトテニスには、そんな強さをくれる魔法がある。

          やるしかないよね?

          魂の鼓動

          「これが、ソフトテニス選手の魂の鼓動だ!」 西園寺馨にソフトテニス・プレイヤーの達観したセリフを言わせたい。そんな意見が出て、監督とプロデユーサーと三人で新宿の喫茶店に集まった。 柳葉敏郎さん扮する西園寺は、実業団のコーチを務めるソフトテニスを極めた存在。そんな人が語る座右の銘は、どんなモノだろう。プロデューサーは、ソフトテニスの醍醐味はボールの音ではないかと言った。コートで弾むボールの音は、硬式テニスには無い素敵な響きがあるという。監督は、イニャリトゥ監督の映画『21グ

          アイアンガール ULTIMATE WEAPON

          ○黒味      ――に英語と中国語でタイトルが流れる。 T  「2021年、第三次世界大戦が勃発。日本に原爆が投下され、     核の冬が訪れた。国連は日本を隔離地域とし、     周囲に高い防御壁を設置した」 T  「世界から孤立した日本政府は、組織化された民兵に攻撃され、     防衛軍が制圧にかかったが、激戦の末に敗退し、     事実上政府は崩壊した」 T  「その後、武器密輸で外貨を稼いだ軍事企業     『フォース・ダイアモンド(4thD)』が台頭し、     

          アイアンガール ULTIMATE WEAPON

          ジュリア(アイアンガール UWより)

          ○荒野(早朝)    クリスが力強く歩いて来る。    並んで、スナッチが歩いて来る。    対面から、ジュリアが歩いて来る。    二人、互いに警戒して距離を詰める。 クリス「(ジュリアを見る)……」 ジュリア「(クリスを見る)……」    視線を逸らさず、スレ違う二人。 クリス「!?」    と、殺気を感じて身構える。 ジュリア「イイ目してる。獲物を狩る野獣の目」 クリス「……奴らの仲間じゃなさそうね?」 ジュリア「あなた、同じ宿命を背負ってる。そんな匂いがする」 クリス

          ジュリア(アイアンガール UWより)

          ジェイル(アイアンガール UWより)

          ○ジェイルの営業所・所内 クリス「早く、手配書を……」 ジェイル「ああ、そうだった……。次の獲物は厄介だぜ」    と、賞金首の手配書をクリスに手渡す。 クリス「(見て)……500キャッシュ」    手配書には、ポイズンの顔写真が描かれている。 ケント「ポイズン……」 ジェイル「チャージと合わせれば、それで1万キャッシュになる。     いよいよ、ストレージが手に入るな」 クリス「ええ。それまで誰にも売らないで」 ジェイル「心配には及ばんよ。欲しがるのは、お前さんくらいだ」

          ジェイル(アイアンガール UWより)