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東洋医学講座 276

〇脾と口唇

▽口唇の診断の仕方

目が心の窓であるならば、口唇は消化器の門であり、脾胃の華であり、その栄気は口に通じて五味を知覚します。口気は鼻柱を昇って走り、眉間の印堂部に通じ、印堂から脳に通じています。鼻は「花」なりといわれ、鼻全体は脾力をみるところですが、口唇も一枚の花に当たり、やはりここでも脾の状況が分かります。

口腔から肛門まで一つの臓器とみれば、口唇はその消化管の門にあたり、その色が悪ければ、消化管の機能の不調を示し、脾の働きが悪いことが分かります。

次に、口唇の診断として、口唇が乾くものやはしゃぐものには、胃熱が存在します。乾く場合は胃炎の兆しがあり、特に冬に、はしゃぎが多くみられるのは、腎旺期であるのに腎に十分な力がないからであり、腎力の低下を示しています。口角が荒れているのは、ほとんどが過食によるものですが、胃熱によっても起こることもあります。この過食ですが、不良の油分を多く摂った場合に出るようです。

口唇の色が黒いのは、胃腸が悪いか、他の疾病とみます。また、口唇がねばついたり、つるつるしたりするのは、痔疾や性器疾患の疑いがありますが、これらは他の症状も合わせて診断しなければいけません。

ところで、脾胃が健全であれば、口が大きく、しまりがあり、それで血色がよいものであります。反対に小さい口は、脾胃力が小さいことを示し、食欲もあまりありません。

口唇が薄いものは、辛口のものを好む傾向があり、過食はできません。性格的には情が薄く、多弁の人が多いようです。また、口唇が厚いのは甘味を好み、酒も強いようです。ただ、情が厚いものの、ものごとに溺れやすい傾向があり、口は重い反面、気が向くとよくしゃべります。

女性で口が歪んでいるものは、だいたいにおいて子宮異常を示し、前屈や後屈があります。相学では、口は女性性器を表すといわれます。また、性格的にはどちらかといいますと、素直ではない人が多いようです。

口唇が黄色いのは、脾病の現れであり、とくに口唇は腎と深い関係があり、脾と腎の合併した病とみます。

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