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東洋医学講座 149

〇肝と東

一日では朝、一年では春に東気が旺んになり、この期は東方より大気圧が西方に向かって流動しているのであります。

自分を中心とすれば、東方から春気、朝気の酸素性の陽遁の大気が流れ来ます。この大気は生物生成の気であり、また、肝気を旺んにする気であって、この気を受けないものは老衰が早まり、筋硬縮を起こし、肝害するものであります。

東方の陽気を防ぐものは、発展・成長することができません。

▽〝東〟はどんな働きをするか?

東とは方位のことでありますが、では、なぜ方位があるのかを考えてみます。

○方位は立体で成立する

東と西に家が並んでいる場合、東の家Aの西位は、西の家Bの東位に当たり、西と東は同一点になります。そうなりますと、方位というのはないのでは?ということになります。落語の八さん熊さん式にいえばそのようになってしまいます。

実は方位というのは、立体で成立しているもので、平面的にみるとおかしいことになります。

では、立体的に考えてみます。すると、Aの家の西には東の太陽は当たりませんが、Bの家の東には当たります。また、Aの西面には東の風圧もかかりません。東西南北は平面でみれば一面になりますが、立体でみれば、その面の働きは全部違う気が働いています。

例えば、北面は熱い風圧がかかることは一年を通じて1日もありません。わずかに北側は夏の間だけ、朝日が短時間差し込んできます。北面は冷気の風圧がかかります。

反対に、南面は夏場の間は陽が家の中に入りませんが、陽が短く、寒くなるにしたがって陽が入り込みます。

このように、北面と南面を比較してみても、いかに方位というものが自然の働きを持っているかが分かると思います。自分自身だけで、自然の中で生活をしているのならば、方位は関係なく無視できますが、ひとは家という場で生活をしているので、当然方位に縛られてきます。好むと好まざるにかかわらず、方位に縛られています。

▽〝東〟の働き

では、その方位の東とはどのような働きをしているのでしょうか?これが本題です。

東は、一日では朝、一年では春に、東面から旺んに風圧をかけます。

この東の気は酸素性の大気であり、春や朝に東面から入り込んできます。西側にも東の気はありますが、西側には東気の風圧はかからないので、その働きはありません。東の大気は、生長・伸長・陽動の働きをして、ひとの生長に必要な新芽細胞を作り育てる気を含む大気です。もし、この東気をふさいでしまえば、東の気は入らず、生長・伸長の気は不足します。

仕事面においては発展の気が失われて、体においては肝機能の低下を促し、生気が不足し、老化しやすくなります。

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