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#エッセイ

父との別れ、いつかくる自分が死ぬ日についての想像力

父との別れ、いつかくる自分が死ぬ日についての想像力

父の日は中学生くらいから、ずっと嫌いだった。僕の父は、僕が中学一年生の時に亡くなっている。

父のいない父の日は、改めて喪失をまざまざと見せつけられ、周囲からのよそよそしい気の使われ方も嫌だった。自分ではどうしようもない事だからこそ、歯がゆく、焦燥した思いだけがくすぶっていた。

父との別れ、それは、今から23年前。

1995年のゴールデンウィークが、別れの始まりだった。

その年は、まさしく激

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大切な人を亡くしたときに

家族を失って立ち直れないという話を聞くようになった。

よく書いているが、私は8歳の時に母をがんで亡くした。幼い頃から、従姉妹、祖父母、友人など、なぜか人を弔うことが多い。2年前も大切な人を亡くし、その時はさすがに死んでしまおうかと考えた。とはいえ父はまだ存命で、自らの人生を不幸だとは思わない。

死別は人が生きていく上で経験するかなり大きな絶望だ。回数を重ねれば慣れるものでもなく、精神が強くなる

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