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【UFC287感想戦】アデサニヤ王座奪還 覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くこと

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


・はじめに

この記事は4月に行われた「UFC287」の感想を書いたものです。
もしまだ試合を見ていない方や興味があるけど視聴方法がわからない方がいたら下部リンクのUFC Fight Passに登録することをおススメします!毎週日曜日をMMA観戦で豊かな日にしましょう!


・強さか華か ”どっちか”ではなく”どっちも”を求められる修羅の国UFC

今回の「UFC287」はアメリカのマイアミで行われました。
ブラジルやアブダビ、ロンドンとすでに様々な国で行われている今年のUFCナンバーシリーズですがやはりアメリカでは盛り上がりが一味違う気なします。それぞれの土地縁のファイターやVIPが観戦に来るのがUFCでは珍しくない光景ですが今回のリングサイドでは凄い光景が見れました。

奥から、
マイク・タイソン(元ボクサー。説明不要伝説のヘビー級王者。)
キッド・ロック(世界的アーティスト。All Summer Longなど数々の世界的ヒット曲を制作。)
ドナルド・トランプ(元アメリカ大統領。生粋の格闘技好きとしても有名。)
ダナ・ホワイト(UFC代表。UFCを世界最大のMMA団体にまで押し上げた功労者。)
となかなか凄いメンツで仲良くMMA観戦というわけです。今のMMAひいてはUFCというコンテンツの力を感じる1枚ですね。

そんな有名人たちが見つめる今回のUFC287ですがプレリムに今回のメインカードに出場するアデサニヤとも対戦経験のあるケルヴィン・ガステラムが出ていたり若干18歳の無敗の新生ロサスJr.が出ていたりと流石ナンバーシリーズという力の入れようです。

そんな中で個人的最注目カードはロブ・フォントvsエイドリアン・ヤネスのボクサー対決です。どちらもボクシングが得意な選手ですがフォントは直近はジョゼ・アルド、マルロン・ヴェラのランカーに敗れ自身も35歳と立ち位置に不安のあるベテランに対してヤネスは無敗でまだ29歳と勢いのある若手ファイターと対照的な構図のマッチメイクです。
UFCファンの中で盛り上がるカードの構図で”黒星がついてきた10位前後のランカーvs若さと強さを兼ねそろえた超新星”という物がありますがこのカードは正にそれに当てはまります。ベテランが若さを跳ね返すのか、それとも超新星が勢いで踏み台にしてしまうのかといったような感じですね。こういう容赦のない新陳代謝イベントをブッ混んでくる実力第一主義なのがUFCの良いところですね。

結果はフォントの1RKO勝利でした。
ボクシングが得意な両者がいきなりパンチの打ち合いの展開になりヤネスのカウンターをフォントがヘッドスリップ(頭を滑らすように動かして相手のパンチをよける技術)後に右フックを合わせてダウンを奪いKOで仕留めました。無敗の強豪が当たり前のように連敗中のランカーにはあっさりと敗北してしまうUFCの修羅っぷりが感じられる試合でした。

セミメインではギルバード・バーンズvsホルヘ・マスヴィタルが行われました。
ギルバード・バーンズは柔術がバックボーンの選手でその実力は世界柔術選手権で4回の優勝をしているなど世界でもトップレベルです。さらにパンチでもストライカー相手に打ち合いの距離の攻防を仕掛ける強さを持つオールラウンダーな選手です。
対するホルヘ・マスヴィタルは堀口恭司と同門のアメリカン・トップ・チームの選手でキャリア52戦を経験している大ベテランです。また不良からUFCで勝ち上がったりその華のある見た目とバチバチに打撃で勝負するファイトスタイルでUFCでもトップクラスの人気のある選手です。ただ現在は3連敗中で今回敗北したら引退も視野に入れているとまさに崖っぷちの状況です。

結果はバーンズの判定勝利でした。
1Rはマスヴィタルのローキックを軸にした打撃に手を焼いていたバーンズでしたが、2Rから早々にプレッシャーを強めて早い時間帯から組んで削るプランに変更してそのまま試合終了まで押し切りました。バーンズの桜蘭遂行能力が光る試合でしたね。
しあいまえの宣言通りマスヴィタルはこの試合を持って引退をしました。UFC参戦当初はあまりぱっとしなかったものの、当時元Bellatorウェルター級王者であり元ONEウェルター級王者でUFCに電撃参戦してきたベン・アスクレンをわずか5秒で飛び膝KOして勢いそのままこちらもUFCの人気選手であるネイト・ディアスとの試合に勝利したことで一気にスターダムに駆け上がった選手でした。その華のある見た目と言動で非常にファンが多く、コロナ禍の2020年7月に行われたカマル・ウスマンとのタイトルマッチでは2020年最大のPPV購入数130万件をたたき出しました。最近ではその知名度を生かして自身の団体を設立していたりとセカンドライフも順調そうです。

個人的にはコナー・マクレガーの登場によりより観客を集められるファイターの”華”というものがUFCで重要視されていくなか、それをうまく創って自身のプロモーションに最大限利用する意もあのファイターのビジネスモデルになったのがマスヴィタル最大の功績かなぁと思います。
ただマスヴィタルも華だけの選手ではなくUFCで16年在籍し続ける実力がある上澄みの選手です。強さと人々を引き付けるモノが両立して初めて成立する商法であることは言うまでもありませんがね。


・通算成績1勝3敗 ただ何よりも重い1勝

イズラエル・アデサニヤとアレックス・ペレイラの最初の対戦は2016年のGLORYでした。勝利したのはペレイラでしたがかなりきわどい試合でアデサニヤ勝利の声も多く上がりました。その次は2017年3月でアデサニヤが2Rにダウンを奪うもぺレイラが3Rに伝家の宝刀左フックで逆転KO勝利をしました。その後アデサニヤは2018年にUFCに参戦して瞬く間に王座にへと昇り詰めペレイラは2019年にGLORY史上初めての2階級制覇王者へとなり、それぞれの道で頂点を極めこの因縁もこれで終結かと思われていました。

それがまさかの2021年にペレイラがUFCに参戦することで再スタートするとは思いませんでした。とんでもねぇストーカーぶりで驚いたことを今でも驚いています。ただこのUFC参戦というのもペレイラ自身UFCでのアデサニヤの活躍を見てキックボクシングでのこれ以上の地位(金銭的、知名度的)は難しく考えMMAへの転向をしたというわけです。

キックボクシングという競技が抱えている問題の1つとして「団体が乱立して王座の価値が薄れている」というモノがあります。日本だけでもK-1、RISEを始め様々な団体があり世界にはGLORYなど正に星の数ほどの団体がキックボクシングにはあります。そこはMMAと同じですが大きな違いはUFCのような明確な頂点を決める団体が無い事です。また市場もMMAやUFCに比べると小さいと言わざるを得ないというのが現状ですので、ペレイラのMMA転向もやむなしといったところだと思います。

また当時のUFCでのアデサニヤは絶対王朝を築いていた王者ですが半面試合では類まれなるスタンドの技術で相手に何もさせない所謂”ストライカーの塩漬け”で勝ち進んでいて、その能力や華は評価されていても盛り上がらない試合をするということで激しい打ち合いが好みのアメリカの観客からは不評でした。
そのアデサニヤに対して悪い空気感が漂っている中にキックボクシング時代にアデサニヤを2回倒しているペレイラがUFCにやってきたもんだからUFCも何とかしてアデサニヤとペレイラを戦わせるムードを頑張って作りました。下位の選手と当てて経験を積ませてペレイラと相性が良い上位ランカーを当てさせてランキングを挙げることでアデサニヤと戦う状況を作ることに何とか成功しました。恥も外聞もないゴリ押しで草生えますね。ただこれにはペレイラの年齢が35歳とファイターとしてはあまり長く試合できないことが関係してそうですね。

そうして大人たちの思惑あってかペレイラがUFCに参戦して1年後の「UFC281」でアデサニヤvsペレイラのミドル級タイトルマッチが行われました。試合は1Rにアデサニヤがダウンを獲りKO目前まで追い込まれるも5Rにペレイラがまたしても左フックでぐらつかせてそのままTKO勝利でアデサニヤから王座を奪取しました。

いやぁ正直ペレイラが勝つとは思わなかったですね。攻略としては誰も出来なかった”アデサニヤをフィジカルとスタンド技術で押し込む”を実行した感じでした。通常時は100㎏以上体重があるフィジカルとGLORY2階級王者だったスタンド技術を持っているペレイラしかできないですけどね。

ただUFCも今までのアデサニヤの功績をかんがみて「UFC287」にてペレイラとのダイレクトリマッチを組みました。アデサニヤは4年ぶりの挑戦者としてリベンジと王座奪還を誓い自身を3度倒したペレイラに決着戦を申し込んだ形です。

試合は2RアデサニヤのKO勝利で王座奪還に成功しました!!
展開は前戦と似たような流れのキックボクシングのような打撃戦でした。1Rはお互いローキックなので様子見をしていましたが、2Rにアデサニヤの左ミドルに合わせてボディストレートで金網際に押し込んだペレイラ。そのままコンビネーションで仕留めようと打撃をまとめて自身最強の武器の左フックを出したものの、それにヘッドスリップで避けてアデサニヤの右フックがヒット!起きようとしたペレイラに右フック→左フック→パウンドで追撃を浴びせて失神KOをさせて見事アデサニヤが王座奪還に成功しました。

この試合の勝因は何と言ってもアデサニヤの”覚悟”でした。
もちろんペレイラがまだMMAの打撃の距離感に完全に適応していないことやアデサニヤのサウスポーからのミドルキックやハイキックを多用して距離をうまく制したこと、過去の試合でもペレイラの左フックに対してカウンターを合わせていたシーンがあったなど勝因自体は複数あるのですがそれらをこの人生最大の窮地で成功させたアデサニヤの覚悟あってのモノだと思います。

これでミドル級はアデサニヤがまた王座に再就職してペレイラはロバート・ウィテカーやマルヴィン・ヴェットーリといったようなアデサニヤに機銃を飲まされ続けたミドル級ランカーとの対決かぁと思ったらまさかのペレイラがライトヘビー級に転向を表明しました。
元々アデサニヤとの試合後に自身にMMAを叩き込んでくれた元UFCライトヘビー級王者グローバー・テイシェイラの仇討ちで当時の王者のイリー・プロハースカに対戦をアピールしていたり自身の年齢による減量への負担などいつ階級転向してもおかしくない状況でしたがこんないきなりするとは思いもよらなかったです。
おそらくUFCとしてもペレイラがこのままミドル級にいるとアデサニヤとの因縁がちらついたりミドル級の猛者たちにせっかく付けたペレイラのメッキが剥がされてしまっての商材としての価値低下を嫌ったからかなぁと思います。個人的にはロバート・ウィテカーのような打撃が出来るオールラウンダーとの試合が見たかったです。

アデサニヤの次戦は現ランキング6位ドリカス・デュ・プレシが濃厚そうです。現在UFC5連勝3つのKOと1つの一本勝利と試合決定率も高くアマチュアK-1で活躍した高いストライキング能力が特徴です。

とにかく打撃でガンガン前に出るスタイルで一発もある非常に強力なストライカーです。またアデサニヤに初めてMMAで黒星を付けた元UFCライトヘビー級王者ヤン・ブラホヴィッチも対戦をアピールしたりと再就任したばっかのアデサニヤを休ませる気はないそうです。
ただ自身最大の仇敵を完璧な形でリベンジに成功した今のアデサニヤならどうとでもなりそうです。今新たに一歩踏み出す”覚悟”を手に入れたアデサニヤを中心にしたミドル級がまた面白くなりそうです。


・おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
記事中に何回も言いましたが今UFCを見るならUFC Fight Passがおススメですので登録しましょう!
さらにU-NEXTが「UFC287」から視聴可能となりました!また他にも多くの格闘技団体の視聴が出来るようになったりと今まさにU-NEXTの登録に1番ベストな時期ですので皆様も登録して豊かな格闘技ライフを楽しみましょう!

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