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販売員の業績を伸ばすためには?アパレルからみる組織運営。

こんにちは。ひいろです。
最近、自炊したりと文明人的な生活ができているきが、、

昨日の朝食はチキンラーメンでした。

今日は名古屋大学大学院・経済学研究科の犬塚先生の論文

顧客志向と販売志向が販売員の客観的業績に与える効果
― アパレル企業における実証調査 ―

を読んだので書いていきます。

はじめに

モノを売る時に重視するべきことって何でしょうか?

その人にあった良い商品を提供して満足してもらうこと、
数をこなして売り上げを伸ばすこと、

人口減少や嗜好の多様化が進む中で
前者は重要だと思います。

しかし、やはり数を売らなければ
利益は伸びにくい
結果両方大事なように思われます。

今回の論文は販売員に対して

顧客志向と販売志向という視点と
個人レベルと集団レベルという視点からアプローチをすることで

販売員の業績(客単価売上客数)に
どのような効果が期待できるのかを検討します。

顧客志向と販売志向

販売員の行動や認知の概念に関して
顧客志向販売志向
広く知られています。

顧客志向とは
顧客の満足を優先して商品を提供すること

顧客のニーズに合わせて様々な商品を検討し
最善の商品を提供しようという考え方です。

自分がいいなと思った中から
それらの長所短所を説明してくれる店員さんや

とても相談にのってくれる店員さんがこれにあたります。

販売志向とは
販売そのものを優先して商品を提供すること

販売数に重きを置く考え方で

無差別に商品を勧めてくる店員さんや
商品のいいところしか言わない店員さんなどがそうです。

個人レベルでのアプローチ

個人レベルにおいて顧客志向・販売志向は
業績にどう影響するでしょうか?

今回の業績とは、
客単価売上客数の2つを指します。

まず、
顧客志向は販売員の業績を高めると考えられます。

高い顧客志向は
顧客の長期的な満足を獲得
それが、さらなる購買行動を促すと考えられるからです。

同じ系列店でも
お気に入りの店員さんがいる店で
買いたいなと思ったり

その店員さんがいる日に
買いたいなと思ったりすることがあれば

そういうことです。

サービスに満足を覚える顧客は
それによって高価な購買もいとわない傾向
にあり

特に客単価に対して正の影響を与えると考えられます。


販売志向も顧客の購買行動を促すと考えられます。

しかし、販売員の関心は顧客ではなく、
販売員自身にあり、

販売活動が顧客満足に結びつかない可能性が指摘されています。

よってその場合は
販売志向の効果は購買の頻度を高める事のみに留まると考えられます。

以上の議論から2つの仮説を提示します。

1a:顧客志向が高い販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
1b:販売志向が高い販売員は
担当顧客のべ数(販売客数)が多い

組織レベルでのアプローチ

店舗としての業績目標は
どう影響するのでしょうか?

顧客志向や販売志向は個人レベルだけでなく、
組織レベルでも機能すると考えられています。

顧客志向に関して
個人ー状況理論
によれば

組織や企業の志向が販売員の行動指針となり
販売員個人の言動にも影響するなら
個人レベルでの顧客志向と同じように
組織レベルでも販売員の客単価を高めることが予想される

販売志向に関して
財務的価値志向に関する報告では

販売志向を有する組織では
販売員はその期待に応えようと
個人の業績を高めるように動機づけられると考えられる

また、販売志向は
安定的な個人属性というよりは
組織の雰囲気に左右されやすい志向だと考えられており

組織レベルでの販売志向は
販売員の”頑張り”を周囲に示しやすい販売客数に対して
正の影響
を及ぼすと考えられます。

これより2つの仮説を提示します。

2a:顧客志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
2b:販売志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客のへ数(販売客数)が多い

仮説のまとめと実験

4つの仮説をまとめます。

1a:顧客志向が高い販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
1b:販売志向が高い販売員は
担当顧客のべ数(販売客数)が多い
2a:顧客志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
2b:販売志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客のへ数(販売客数)が多い

研究では
実際の大手アパレルチェーンのデータを用いて
これら4つの仮説を検証しました。

実験の結果と考察

結果として

支持ー1a:顧客志向が高い販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
一部のみ支持ー1b:販売志向が高い販売員は
担当顧客のべ数(販売客数)が多い
不支持ー2a:顧客志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客の平均購入金額(客単価)が高い
支持ー2b:販売志向が高い組織で働く販売員は
担当顧客のへ数(販売客数)が多い

という結果になりました。

客単価に関しては
顧客志向のみが寄与

販売志向は個人・組織双方のレベルにおいて
正の影響は見られませんでした。

販売客数に関しては
販売志向が影響を与えていた

顧客志向の寄与は見られませんでした。

この結果について

顧客志向を高めた販売員
顧客の満足を優先するため
短期的な業績を犠牲にしている可能性があげられます。

また、
客単価に関して

個人レベルでの顧客志向が影響
組織レベルでの志向の共有は意味がないことが示されました。

よって以下のことが考えられます。

客単価を向上させるには
販売員個人に対する施策(教育等)が有効的

一方で、
販売客数に関しては

個人レベルよりも
組織レベルでの販売志向が影響しやすいという結果になりました。

これより

販売客数を増やすためには
販売員個人に対する施策よりも
店舗全体で「売ろう」という士気を高める工夫が必要である

と言えます。

最後に

顧客志向と販売志向は
時と場合によって使い分ける必要があると思います。

たとえば、単価の安い100円ショップなどは
販売志向のほうが有効的かもしれません。

高級ブランドでは
顧客志向がスタンダードであると感じます。

また、
顧客志向を質
販売志向を量だと考えた時、

今回の結果は組織運営の在り方だと言えます。

スポーツチームで考えた時、

チームとして○○回こなそう!などと
目標を立てることで練習量を確保

そして、1人1人に対して

どのように改善すべきか
そのためにどのような練習が必要なのか
をアドバイスすることで、

練習の質を高めることができるのではないかと思います。



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