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「細雪」中 日常生活でも、飽きない

洪水のシーンが印象的でした。

ちょうど、雨の日の電車の中で読んでいたんですよ。

ゴトンゴトンと、曇った音が鳴っているのを聴いていたらベタですが物語の世界とシンクロしているような気がして。

この電車の周りが雨で埋まっていたらどうしよう、みたいな。

そんな気分になったんですよ。

それもそれで乙なものでしたので、ぜひ。

雨の日の細雪を試してみてください。

この細雪には、無駄な文章が全然ないなって感じるんですよね。

読んでいて飽きてきそうな装飾が丸ごと取り払われている、みたいな。

だから、こんなに長くても飽きないのかなと思います。

それにしても、よくこんなに簡潔な文章でここまで書き続けられるものだな、と。

普通の日常を描いているようなのに、そこで起きる事件の発想がすごいなって思いました。

洪水などなど、モデルがあったのかはわかりませんが思いつくのがすごいなと思いました。

板倉の死とか、思い切ったな〜って出来事もありましたし。

登場人物の死って、書くのに勇気がいると思うんですよね。

「細雪」がこれからどんな展開になっていくのか。

なんかちょっと、不思議な感じがします。

落ち着いている、というか。

クライマックスがないのか、小さめのクライマックスがたくさんというのか。

現代のよく読む小説とは、違うなって。

だから展開、と言っても先を読むのとは違うと感じるんです。

どこで物語がふっと途切れてもおかしくないような。

そういうところ、「雪国」を読んだときとも似ているのかも。



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