細雪2.0(その2 女性の群像悲喜劇)

『細雪』は4人姉妹の物語である。
どうもこの「4」という数字が気になってしまう。

『細雪』は、モデルとなった谷崎夫人の姉妹が4人であったことに帰結できるが、4人姉妹の物語あるいは4人の女性の物語は古今東西で複数存在している。

1995年に金井恵美子が80年代を舞台に4人姉妹を描く『恋愛太平記』を発表、2015年に三浦しをんが『あの家に暮らす四人の女』、2016年に綿矢りさが『手のひらの京』(こ

もっとみる

豊橋

実家に帰省。と言うか父親のお見舞い。

かなりやせ細っていたが意識はハッキリしている。

自分の場合、休みの日なんてほぼないからレッスン日をやりくりしてどうにか1日だけ時間を作った。

協力して頂いた生徒さんには感謝です。

癌は完治しないと思うけれど、上手く寄り添ってあげられるといいな。

***

母親から祖父の蔵書だった、谷崎潤一郎「鍵」の初版本を頂戴する。

棟方志功の版画からもエロス漂う

もっとみる

題:谷崎潤一郎著 「お艶殺し」「刺青・秘密」を読んで

谷崎潤一郎の主要な作品は今までに読んでいる。でも、結構短中編の作品があって少ずつ読んで行きたい。というのは、日本の文学における代表的な文体を知りたいためである。夏目漱石と谷崎潤一郎などが大切である。付け加えるとしたら森鴎外、三島由紀夫に大江健三郎でくらいか。でも、それ以上思いつかない。また、気付いたら当然、新しい作家も加えたい。なお、詩人は省きたい。詩人の文体を論じるのは別の機会にしたい。無論、谷

もっとみる

こじれる(谷崎潤一郎犯罪小説集/谷崎潤一郎)

悪いことがしたいな。

辻斬りのように男遊びをしたいな、というのは川村優奈の弁だけれど、
僕は、男遊びにも女遊びにも興味は無いけれど、
悪いことなら、してみたいな。辻斬りのように。

悪いことは、いけないこと。
指をきらきらと染めるのは良いことだけど、
手をどろどろに染めるのは悪いことらしい。

「手を染める」といえば、やはり犯罪だろう。
手っていうのは染めれば染めるほど、後ろ指を指されるものだ。

もっとみる

まちの陰翳

谷崎潤一郎が好きな僕でも、『陰翳礼讃』は手放しで支持できるようなものではなく、いかにもおじさんが好き勝手リラックスして書いたという感じに僕には見えるのだけど、なんせタイトルはカッコいい。

もう少し言えば、谷崎潤一郎の言わんとしていることが今さら分かるというか、こう、なんでもかでも西洋の合理に迎合しないで、この土地やこの土地に暮らす人々の性向に相応しい陰翳の妙を追及すれば、今頃日本って独自の発展を

もっとみる

谷崎潤一郎 「細雪」

1 萌え

 
 日本近代文学の大御所であるところの、川端・三島・谷崎に自分はあまり興味を覚えてこなかった。日本の近代文学を考える時、漱石・鴎外を頂点に徐々に下がっていく系列を自分の中で想像する。更に言えば、漱石を頂点として、太宰治と小林秀雄の三人で三角形を作り、その範囲が一番、文学の本質に響くと考えている。
 
 これは何故そう思うのかと言うと長くなるので省くが、とにかく谷崎潤一郎も川端康成も、

もっとみる

7月4日の日記

今日は11時起床。ちょっとえらい。大学のWi-Fi、信頼しますか?と出てきて、私は信頼を押す。友達の発言、他人に内的世界の話をしない。あの日の僕らにさよならとしょうがの味は熱い、を読む。
視野見、してるよ、してるよ、視野見。
それをなんて言うか知ってる?浪費って言うんだよ、まじか…私はまじめじゃないからどこまでも、まあ はあるにしても、留年がさしせまる程には危機感がない、危機感がないのか自己破滅衝

もっとみる

書籍紹介: 建築家ではないが、陰翳を礼讃したい

自分のバイブル的存在の書籍の中に、谷崎潤一郎著"陰翳礼讃"があります。

谷崎潤一郎さんは近代日本文学を代表する、明治末期から第二次世界大戦後の昭和中期まで精力的に執筆活動を続けて国内外から高い評価を受けた小説家の一人です。
本作品は1933〜1934年(昭和8〜9年)に雑誌"経済往来"で連載され、1939年に創元社より単行本が刊行された、自分が生まれる40年以上前に書かれた随筆。
彼が関西に移住

もっとみる

vol.50 谷崎潤一郎「卍」を読んで

すべて大阪弁の語りだった。そのせいか、とても情景描写がリアルで、露骨な表現もなんだか上品で、心地いい色気も感じた。

この小説、育ちの良さを感じる魅力的な若奥様「園子」が、生々しい同性愛の情欲と独占欲を、「光子」のバイな欲望を、中性的な男「綿貫」の価値を、不倫をした夫の裏切りを、とにかくややこしい愛の形を、作者に打ち明けると云う告白形式で描かれており、期待通りの谷崎文学だった。

しかし、せっかく

もっとみる

桐野夏生『デンジャラス』(中央公論新社)

2018年6月の読書記録。

桐野夏生『デンジャラス』(中央公論新社)読んだ。谷崎潤一郎と三人目の妻松子、その妹重子『細雪』の雪子のモデル)、松子の息子の嫁千萬子、の物語。重子の視点から、兄と姉の夫婦の愛情の揺るぎなさ、自分の薄幸さ、兄の寵愛が義理の息子の嫁に移っていく焦燥感を描いていて、これは小説だからすべてがすべて事実ではないだろうけれど、書くことの業、書かれることの業が執拗に追求されていて、

もっとみる