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感謝の気持ちが自分も周りも幸せにする ~カフェ オーナー Yさんにお聞きしました~

八ヶ岳のふもと小淵沢で、20年間以上カフェを営みつつ、3人の子どもを育て、今は何人もお孫さんのいらっしゃるYさん。

いろいろなお話を伺いましたが、特に家族と子育てについては、改めて自分も考えさせられることがたくさんありました。

Yさんは、お子さんが小学生の頃には、「勉強しなさい」と、うるさく言うのではなく、「あなたにそれは必要なんじゃないの?」という言い方をしていたそう。

例えば「計算ができないと、お釣りを間違えてもらってもわからなくて損をするから、算数はちゃんとやっといた方がいいわよ」というように。

これは大人同士の話でも大事なことだと思うんですよね。

例えば仕事でミスをした部下と話すべきことは、「何故こうなったのか」「今後の解決策はどうしたらいいのか」といったことで、頭ごなしに叱ることではないと思うんですよね。

「何のためにこれをやるのか」を自分で考える癖をつけるためにも、小さい頃から、勉強する意味について話したりすることはやはり大事だなあと改めて思いました。

私自身を振り返ってみると、あらゆることを「やりなさい」と言われて育てられていました。

それが嫌でも、我慢したり、親が怖くて仕方なくやっていたことがたくさんありました。

人生設計も、親の言うとおりにしないと生きていけないということを、多分20歳くらいまで思っていたと思います。

何かおかしいなあと思っていましたが、「ああ、私には、自分で考えて自分の足で立つ」という概念が無かったんだなあと気づいたのは20代後半でした。

そういうことに気づくきっかけは、それまでの人生の中でたくさんあったし、同じような教育を受けても、ちゃんと自立できる人もいると思うので、それができなかったのは自分の責任だなあと思えるようになった時から、自分の人生がもう一度始まった気がしています。

そういったこともあって、自分がたとえば仕事などで、誰かに何かを教えるときは、「これは何のために必要なのか」と説明することにすごく重点を置くようになった気がします。

もうないとは思うのですが、万が一子育てをするようなことがあったら、私も子どもにたいして「なぜそれをやるのか」ということを、いちいち話せたらいいなあと思いました。

また、Yさんは、自分がなるべく前向きな言葉だけを発して生きていくことを気をつけているそうです。

そのために必要なのは「感謝」だと仰っていました。

今年は特に自然災害が多く、長いあいだ停電したり断水したり、そういう状況の中で困っている人の様子がテレビやインターネットでたくさん伝えられました。

そんな状況を目にすると、今家があり、プライバシーが守られて、仕事に行くことができ、ふつうにご飯を食べて、トイレが自由に使えて・・・そういった当たり前のことが、実は尊いことなんだななあと改めて思う機会が最近多くありましたね。

だからいつも、当たり前に感じていることにこそ、感謝をして生きていきたいと思いました。

そうはいっても、時にはついマイナスな発言をしてしまうことも、やはりあると思います。

Yさんは、マイナス発言をしてしまった瞬間に「あっ、言っちゃったけど今のなし!」というふうに、自分で否定するそう。

これはいいなあと思いました。

つい言ってしまうのをやめるのは難しいけれど、そんな時「あっ、やっぱり今のなし!」って口に出して言ってみようかと思います。

心では、思うのですが、口に出すのが大事なんじゃないかなあと思いました。

自分の子どもに対しても、「賢いね、よくできたね、えらいね、いい子だね、すごいね」と、前向きな言葉で育てれば、大概いい子になるとのこと。

自分のことを振り返ると、私自身は否定の言葉を言われていたことの方が多いなあと思ったんですよね。

また、あるラジオを聞いていた時に、そこで話していた子育ての先生が、悪い子育て方法について「こういう育て方は百害あって一利なし」と言っていたのを聞いたことがあります。

その時、「そのダメな育て方をされてきた自分はどうしたらいいんだろう」って思ったんですよね。

親を否定すると自分自身を否定することになって、生き辛くなってしまう・・・・そういう人はたくさんいるとYさんも仰っていました。

ここにおいても、やはり感謝が大事という話になりました。

親に対して感謝するということは、素直にできる人もいるけれど、そうじゃない場合もあると思います。

でも、親に対して「私の命を作ってくれた人だ」と思うことができたら、親に対する悪い気持ちが、すっと流れるのだと。

親の残念な行動に対しても、例えば飲んだくれの父親だったとしたら、「お父さんは私にああいう人にならないように教えてくれているんだ」と、反面教師として思えたら楽になるとも。

Yさんはお客さんなどと、「親のいいところを探そう」という話をすると、最初は親の悪口を言っていた人も、みんな親のいろいろなことを思い出しながら、自然に涙が溢れてくると仰っていました。

私も同じように考えてみたら、そういえば、私を喜ばせようとしてあんなものを買ってきてくれたなとか、病気の時はずっと看病していてくれたよなあと、たくさんのことを思い出しました。

改めて思い出してみると、親が幼い自分にしていくれたことなんて、かなり忘れていたことに気づいて、そうするとやはり感謝の気持ちが湧いてくるんですよね。

世の中はいろいろな親がいるけれど、自分が親から受け継いできた流れをまず、自分の中に認め、その上で悪いものは切り落とし、良いものだけを、子どもに、社会に伝えていけばいいのではないかと、いうお話しも聞きました。

私もこれまでの人生の中で、親も含め、自分が関わってきたあらゆる人たちに対して、感謝したいことは数えきれません。

そして、今この時代に生きて生活をしていく上で、例えば道路が整備されていること、欲しいものが買える場所があること、そういった必要なものが整えられているという世の中に対しても、ありがたいと思えることは、挙げてみたらきりがありませんね。

親との関係ということは、自分が生きてきた中で、何度も何度も考えたテーマでしたが、今36歳になった自分が、改めて親に対する感謝を考えたときに、以前には思えなかった気持ちがたくさん溢れて、Yさんの言うとおり、とても気持ちが楽になりました。

自分は未婚で子どももいないけれど、そういう自分でも、今あるものに対して感謝の気持ちを持つことで、心が穏やかになり、今までもらってきたものを返せるように生きていきたいと、自然に思えるようになりました。

そうは言っても、時に辛いことが重なったり、人に素直に感謝ができないときもまたやってくるかもしれません。

そんな時は、このカフェでゆっくり美しい外の景色を眺めながら、美味しいご飯を食べながら、Yさんとお話をして、前向きな気持ちになれるように、またここを訪れたいなあと思いました。

#インタビュー #子育て #家族 #親

いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。