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ユーザーの行為をもっと多面的・連続的に想像する。(問題解決に効く「行為のデザイン」思考法)

村田智明著「問題解決に効く「行為のデザイン」思考法」を読みました。

わたしは、マーケティング業務に携わるなかで、いかに「伝わる表現」をするかが気になって、「広義のデザイン」に関する本書を手に取りました。

行為のデザインとは

■行為のデザインとは(p27)
人や情報、環境を含んだ中で「行為がスムーズに美しく振る舞われるためにどうあるべきか」を考えるデザイン

例えば、電気のスイッチと電球の位置関係がわからず、正しく電気を操作するまでに、何度も間違えてしまう「バグ」。レジでおつりをもらう際にお札やコインをしまうために、何度も財布を閉じたり開いたりする動作が起きてしまう「バグ」。このようなスムーズに行われない行為の原因を取り除き、より美しく振舞われるようなデザインを「行為のデザイン」と定義している。

「バグ」が生じないスムーズな行為が導かれるデザインをするためには、直線的・縦割りの開発プロセスではなく、開発設計の初期段階であるプランニング段階から様々な職種・立場の視点を取り入れてデザインを行う必要がある。その結果、開発設計による「後戻り」のリスクが減ったり、ユーザーに愛されより長く使ってもらえる製品やサービスの開発が出来たりする

著者があとがきでも触れていたが、「長く使ってもらえる製品」ができるという点が、プロダクトそのものとしても、持続可能性という観点からも、すごく魅力的だと感じた。

行為のデザイン×マーケティング

「行為がスムーズに美しく振る舞われるためにどうあるべきか」を考える視点は、アウトプットをするすべての人が活かせる視点だと思う。

マーケティング業務では以下のようなアウトプットがある。

■マーケティング業務アウトプットの例
Webサイト設計/Webコンテンツ作成/展示会現場デザイン/顧客アンケート作成/広告パンフレット作成/メルマガ作成/業務マニュアル作成/社内プレゼン作成/社内ガイドライン作成

Webコンテンツ作成を例に考えると、設計段階で営業や技術、Web作成担当者など様々な立場の人が関わっている。そして、Webコンテンツのユーザーも、様々で顧客企業担当者、顧客企業担当者の上司、営業などが異なる立場異なる目的でWebコンテンツを利用する。

これまで、Webコンテンツ作成のプランニングはマーケティング職で主導していた。そのWebサイトは「ユーザーの行為がスムーズに美しく振舞われる」ようなデザインだったかと問われると、自信を持ってYESとは言えないなと感じた。

多種多様なユーザーが立ち止まることなく利用できるデザインのWebコンテンツを作成するには、①コンテンツ作成のプランニング段階から、営業職や技術職のメンバーの視点や意見を取り入れること。そして、②様々な立場のユーザーの行為(=空間、時間、目的)を想像することが大切だと感じた。

まとめ

広義のデザイン、プロダクトデザインについて、もっと学んでみたい、こんな仕事をしてみたいと感じた。

広義のデザインの考え方は、なにかアウトプットをする際に、誰でも活かせる視点だと思う。

マーケティング業務に携わる中で「伝わる表現」がしたいと思い本書を手に取ったが、「伝わる」という瞬間的な捉え方ではなくて、ユーザーの行為(=空間、時間、目的)を多面的に連続的に想像しながら、ユーザーに愛され、長く使ってもらえるようなアウトプットが出せるようになりたいなと思うようになった。