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短編:練習07

にくしみ
木村はもうはるかのことなんか全く、どうでもよかった。
健やかに生活していようが今まさに死のうとしていたってそんなことはなんでもなかった。私のことをなんとも思わない人のことなんてどうでもいい。

すき
みちるははるかに何でもしてやりたかった。
私のしたことで、喜んでくれて私をいい人だと思ってくれるならどんなことでもしただろう。けれども、自分に何の見返りもなくたっていいとも思っていた。便利に扱われて都合の良いときだけ猫撫で声で呼び出されてそれだけで十分に舞い上がってしまうに違いなかった。

ねむけ(生理現象)
ゆきは強烈な眠気に襲われていた。
全身がふかふかと暖かく、まぶたが上下から閉じようとしている。
まばたきのたびにこじ開けるのが億劫だった。寝てはいけない、寝てはと思うのだが足のうらがあたたかく、凝り固まっている。横になりたい。全身の力をぬいてゆうゆうと足をのばして体を横たえる。頭の裏側が重くなりあっという間に体の境目を見失う。寝落ちるのに五秒とかからない自信があった。

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