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[詩]泡々と港


ほころぶ、と口に出すとき、
じっさいに頬がゆるむ感覚がするけど、
それが今あるんだ、まさに。
きっと大丈夫だ、と口に出すとき、
往々にしてほんとうは震えていたけど、
それが今はそうでもなくて、
浮きぶくろが膨らむように身体が軽い。
消えない痕を残したまま、
星になるより簡単に幸せになるのだろう、
と口に出すとき武者震いがして、
なにもかも溶けていくような安心が、
束の間だったとしても訪れる。
街はわたしを見下ろして光っていて、
それがどんな意味なのかわからずに、
笑っている、あたらしい冬のはじまり。

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作詩初めです。
2021年もよろしくお願いします。

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