抑圧

わたしが育った環境は制限が多くて
やたら過干渉でプライバシーも無く
そのくせネグレクトな一面もあって
身体的に放置された部分も多かった

結果大人になっても残ったことと言えば
人の顔色を伺って期待通りに動くクセや
低すぎる運動能力と健康とは言い難い体
それらをある意味生育環境のせいにする
ひねくれた恨みに似た感情を持つわたし

してはいけない行為が山ほどあったり
見てはいけないテレビ番組があったり
幼い頃には周りの話題についていけず
放課後一緒に遊ぶこともなかったから
長く続く友人関係を築けるほどの人が
出来たのが奇跡的でありがたいことだ

テレビゲームは禁止だったけど
大人になってもハマらなかった
漫画の類も禁止されていたけど
これは大人になって反動がきた

してはいけないことはたくさんあった
していいことを思い出しにくいほどに

母が良く子どもたちに言っていた
したいことと
していいことと
するべきこととは違う
一番は活動のこと
次が周囲に関わること
最後に自分のためのこと

それが正しかったのかどうか
大人になった今も分からない
ただ分かっているのはそれが
今も覚えているほどわたしを
縛りつけた指針だったことだ

していいことはたくさんあると
大人たちはいつも言っていたが
彼らは自分たちが子どものとき
そうした抑圧下になかったのだ
むしろ経験していなかったから
子どもたちには課せたのだろう
どれほど重荷になるか知らずに

もう忘れてしまいたいと思ったり
そっとしておきたい記憶だったり
関わり合いたくもなかったりして
いろんな考え方があるだろうけど

たぶんまだもがいている
抑圧の下で失ったものや
消えない傷があることや
過去は変えようもないと
思いの丈に合った方法で
これからももがいていく