【受賞作発表】ひらづみ短歌コンテスト ~お題:読書~
入選作
サルトルを初めて読んだ夜に見た亀を助けて溺れゆく夢(岩本稔)
犯人を知ってる推理小説を読んでる気分で「好きだ」と言った(さつき)
鞄へと詰める文庫を遠足のおやつのやうに吟味してゐる(小金森まき)
次点
終わらない日々に栞を挟むごとロックアイスを傾けている(中型犬)
重すぎず軽すぎなくてあの人を明るく照らす本をください(中型犬)
本棚の本が半分かぶるよな相手と出逢う夢を見ている(外山雪)
いま君を笑わせるのはどこのだれ?きっと本など読まない女(As slowly as possible)
月面で寝そべるような特別へ君から借りた本に誘われ(As slowly as possible)
どしゃ降りの夜にはひらく本の傘 うずくまるより雨宿りする(真羽貴子)
君がいてわたしが本をめくるこの世界はいつもかんぺきになる(楼瑠)
新しい頁をめくる喫茶店 このまま秋になればいいのに(安西)
時々は思い出されて少しだけ役立つ君の栞になりたい(山田もめん)
そんなにも君を夢中にさせている物語の中にわたしも入れて(山田もめん)
本燃やす炎のあかるさ恐れたりブラッドベリが描きたる夜の(小池ひろみ)
再会の十五少年漂流記手に取るわれは古稀を過ぎたる(江戸川散歩)
紫陽花の咲かない梅雨のやうだつた本を忘れた待合室は(小金森まき)
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