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資料(Esoteric & punk)

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主に(ポスト)パンク、ヨーロッパ的秘教音楽。忍冬資料室 https://atochietebura.com/DATA/esotericindex.html の転載。
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#オカルティズム

エルフの子供たち~サイケデリックとJ.R.R.トールキン

エルフの子供たち~サイケデリックとJ.R.R.トールキン

『ユリイカ』2023年11月臨時増刊号「総特集=J.R.R.トールキン」購入に伴い、同誌1992年7月号のトールキン特集号を棚から引っ張り出して併読している。前者は今日ならではの視点(木澤佐登志『トールキンを読むシリコンバレー』、井辻朱美『ファンタジーの祖型はなぜトールキンなのか』など)もあるが、新しい視点が得られるというよりは、見え方が変わるといった方が正しいか。古典だけに時代が持つモラルの変化

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パストラル憑在論 Andrew ChalkとRobert Haighについて

パストラル憑在論 Andrew ChalkとRobert Haighについて

 『MUSIC + GHOST』で主に取り上げた英国のGhost Box Recordsは、本国の音楽ジャーナリズム内で憑在論(hauntology)の実例とみなされている。マーク・フィッシャーやサイモン・レイノルズが指摘した、失われた未来を幻視する方法論としてのサンプリング、過去を現在に召喚することへの執着という共通項で、Ghost BoxはBurialなどの作家と同じカテゴリに入れられていた。

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Ghost Box的憑在論・Radiophonic Workshopから英国地下音楽まで

Ghost Box的憑在論・Radiophonic Workshopから英国地下音楽まで

マーク・フィッシャーが2014年に上梓した『わが人生の幽霊たち――うつ病、憑在論、失われた未来』によって、憑在論(Hauntology)の名は音楽ジャーナリズム内に広く伝播した、という前提で話を進める。憑在論とはジャック・デリダが提唱した概念で、大雑把に言えば「すでにないもの」と「いまだ起こっていないもの」、過去と未来という不在のつがいが、現在に幽霊のような普遍性を放つ状態を説明したものである。フ

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『Live and Let Live』増補改訂版のおしらせ

『Live and Let Live』増補改訂版のおしらせ

2016年に自費出版した『Live and Let Live』という本に加筆・修正したものをnoteとBASEで販売します。記事単位でも購入できますが、マガジンごと買った方が多少お得です。オリジナルとの差異は
・誤字脱字の修正(随時更新します)
・2017年以降の情報を基にした加筆(全章合わせて1万字以上)
・図版の大部分とディスコグラフィーの省略(図版に関しては後日、アルバムジャケットなどを追加

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