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バルサミコのポテンシャルは煮詰めた時に発揮される

少し前の事だけど、「10,000人カレー」というイベントに参加した。多摩川の河川敷で、個性豊かな約15ほどのチームが、それぞれ趣向を凝らしたカレーを提供し、お客さんは2,000円を払えばどのカレーでも食べ放題という、とてもピースでハッピーなイベントだ。

僕らは、間借りカレーグループである「ツギハギ」として5人で参加した。

今回ツギハギとしては、様々なビンダルーを作るというコンセプトでイベントに挑んだ。ビンダルーというのは雑に言うと、ビネガーで酸味を効かせた、少しポルトガル風のポークカレーだ。(詳しくは「ポークビンダルー」でググるとたくさん出てきます)

メンバー達は「リンゴ酢を使ったポークビンダルー」や「塩鯖に中国の鎮江香酢を使ったビンダルー」、「ココナッツビネガーを使った夏野菜のビンダルー」など、各自趣向を凝らしたビンダルーを作った。

そんな中、僕はバルサミコ酢を使ったポークビンダルーを作った。ポークビンダルーは一般的にワインビネガーを使う事が多いのだが、それをバルサミコ酢に置き換えたイメージだ。しかしまぁ、ぶっちゃけた話、バルサミコ酢を使ったポークビンダルーはよくあるレシピで、ググればたくさん出てくる。

しかし、僕は最初からバルサミコ酢を入れただけのポークビンダルーを作ろうなんて思ってはいなかった。今回のレシピは最初からビジョンが浮かんでいたのだ。

イタリア料理をやっていた頃、常々、バルサミコ酢のポテンシャルは煮詰めた時に発揮されると思っていた。バルサミコ酢を約1/4量ほどになるまで煮詰めると、まるで蜂蜜のように甘くなり、酸味は程よく薄れ、旨味と深みが凝縮されて抜群に美味しくなる。

このソースを、バニラアイスにかければ一風変わったスイーツができるし、フレンチやイタリアンのように牛肉や鴨肉のローストにかければ、濃厚な甘みが肉の旨味を引き出し、かすかな果実味が口の中を爽やかにしてくれる。

ただ煮詰めるだけで、様々な料理を引き立てる万能で洒落たソースが完成するのだ。(詳しい作り方はページ下部をご覧ください)

このソースをカレーに入れたら絶対に美味しくなるという確信があった。案の定、メンバーのジュンはベタ褒めしてくれたし、カレーの世界で一番有名な憧れのMさんに食べていただいた時には、口に入れた瞬間に「あ、うまい!」と言っていただけた。あの「あ、うまい!」は反射的に思わず漏れてしまった言葉だと思う。反射的に漏れたリアクションに嘘はないはず。一番憧れている人物に美味しいと言ってもらえた。僕は心の中でガッツポーズをして、椅子に座り、こみ上げる嬉しさを誤魔化すかのように空を見上げて、缶ビールを口に含んだ。あぁ幸せ..。

バルサミコポークビンダルー
酸味と甘味、豚肉の旨味が夏にぴったり!
煮詰めたバルサミコ酢を入れているので色も濃いめ。

今回も元イタリア料理人として、バルサミコ酢というイタリア料理のエッセンスを上手く活用できたのではないかと思う。バルサミコ酢を使ったポークビンダルーはたくさんあるけれど、バルサミコ酢を煮詰めて仕上げたポークビンダルーはありそうでなかったような気がしている。

毎回イベントをやる時に意識する事は、ありそうでなかったものを創ることだ。これまであまりやられていないメニューアイデアを閃いて、形にして、しっかりとしたクオリティで提供できた時は、何事にも代えがたい喜びがある。だからカレー活動は続いていくのだ。

ちなみに僕の本職は、Webやアプリなどのデザイナーなんだけど、デザインする行為とカレーを作る行為はほぼ一緒だ。チームでブレストをするところから始まり、ユーザーの事を考えて、企画して、形にして、適切に提供をする。さらに告知だって、営業だってする。毎回振り返りもして、次回に活かす。カレー活動のPDCAはぐるぐる周ってどんどん成長している。具体的に作るものがカレーなのか、Webやアプリなのかの違いしかない。カレー活動は、僕のデザイナーとしてのスキルもどんどん上げてくれている、一石二鳥なライフワークだ。この事については今度詳しく書こうと思う。

話は逸れたけれど、バルサミコポークビンダルーは僕のスペシャリテ的なメニューになる予感がしたので、今後もどこかで作るかもしれません。その時はぜひ食べに来ていただけると嬉しいです。

超簡単!煮詰めるだけのバルサミコソースの作り方

材料
バルサミコ酢 400ml(適量で良いが400mlくらいだと作りやすいかも)
蜂蜜やマーマレード 適量

作り方
1. 小鍋にバルサミコ酢を入れる。
2. 強火にかける。沸騰してきたら中火くらいに落とす。
3. バルサミコ酢が1/4量になるまで煮詰める。
4. 適切な濃度になったら、お好みで蜂蜜やマーマレードを入れて完成。

こんな感じで沸騰させて煮詰める。
時々、鍋を揺すって焦がさないようにする。
それほど繊細ではないので、どんどん沸騰させて大丈夫。

艶が出て、とろみがついてきたら完成。
味見するとかなり甘い(味見するときに酸の蒸気でむせる可能性があるので気をつける)。
水分を詰めすぎてしまった場合は、少し水を足して濃度を調整してみてください。

このソースを例えば、ステーキを斜めに薄切りにしてタリアータ風にしたものに、かけてみると急にお洒落で美味しい料理になります!煮詰めるだけなので超簡単!失敗も殆どしないと思うので是非チャレンジしてみてくださいね。

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